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〈農業情報サイト「ルーラル電子図書館」をつかいこなす〉軒下栽培で苗販売、学んだ情報がポップで活きる

庭先育苗で100品目の苗販売

自宅横の10aの畑で「土いじり」程度の野菜づくりをしていましたが、5年前の春、種苗店に野菜苗を買いに行ったところ、お店の会長さんから一緒に働いてみないかと誘われ、パートとして働くことになりました。

そこは良質苗の販売でプロ農家にも定評のある老舗種苗店で、辞めるまでの1年半で一連の育苗技術や接ぎ木のやり方などを学びました。

腐葉土づくりをする筆者

その後、JAの直売所で働く知り合いから苗を販売してみないかと誘われ、夢にまで見た直売所デビュー。今年で4年目を迎えました。

苗づくりは主に庭先と簡易温室、畑のトマト用ミニハウス(10m1棟)で、キュウリやナス、ピーマンなど年間約100品目の苗を仕立てて出荷しています。耕作放棄された畑を自然農法の実験畑として、売れ残った苗を植え、少量ですが、できた野菜を直売所に出荷したり、友達にあげたりもしています。

以前、野菜は苗を買って植えるものとばかり思っていた私が、今ではそのほとんどをタネから育て、出荷するまでになるとは。予想外の展開に、自分でも驚いています。

これも『現代農業』で読んだ「ハウスなし、トラクタなしで12a340万円稼ぐ」島根県浜田市・峠田等さんの記事(2017年4月号より連載)に感銘を受けて、苗づくりを始めたおかげです。

『現代農業』でタネ交換

以前は『現代農業』を図書館や友人から借りていました。定期購読のきっけは昨年、近くの知人からの紹介で農文協の普及職員の方が家に来て、熱心に勧誘されたから。その時、「ルーラル電子図書館」の説明も聞いて、一緒に使ってみることにしました。

『現代農業』で毎年一番楽しみにしているのは、品種特集の2月号です。ワクワクする品種に出会え、すでに自分が苗を販売している品種が紹介されたりすると「よっし!」と心の中でガッツポーズ。自分の着眼点は間違ってないと、自画自賛して思わず笑みがこぼれます。

自宅前の畑で余り苗を栽培。右奥にあるのが育苗用のビニールハウス
育苗スペースは自宅前やミニハウスだけ。家では峠田さん流の軒下栽培

「誌上タネ交換会」にも参加。昨年は「ジュウロクササゲ」や「ながちゃん南瓜」などを送り、希望した「魚住キュウリ」「イタリアンナス」などをいただきました。どれも大変おいしいと評判でした。とても素晴らしい企画だと思います。今年は「オカノリ」「はぐらうり」「ミニ大根」のタネを送りました。何が届くか楽しみです。

テレビよりも「ルーラル」

「ルーラル」は、そんな『現代農業』のバックナンバーが1985年まで遡って、いつでも何度でも気軽に見られるのが最大の魅力。パソコンは苦手ですが、タブレットでも見られると聞き、飛びつきました。

品種探しでは昔の2月号も参考になります。もちろんいずれも古い品種ですが、私の苗を買ってくれるのは、家庭菜園を楽しむ方たちです。市場出荷するわけではないので、市場性や棚持ちが少し悪くても、本当においしい品種のほうが喜んでくれます。昔からそういった視点で魅力的な品種を紹介し続けているのも『現代農業』ならではだと思います。その情報は古くなりません。

IDが届いた直後は1日に600回以上も閲覧してしまい、その後も毎日のように見ています。もう、テレビを見る時間はありません。

ポップづくりに便利

販売する苗には品種名と値段を書くだけでなく、ポップを作って、栽培して感じたちょっとしたヒントやおすすめレシピなどを紹介しています。ルーラルはその作成にも大変役立っています。福島県の品種名人、鈴木光一さんの記事を参考にしたり、マリーゴールドの苗に混植の効果を書いたり、キャベツやブロッコリーの「スーパーセル苗」をつくって、そのメリットを紹介したり。そのおかげか、売り上げは右肩上がりです。

JA水郷つくばの直売所(霞ヶ浦店)で苗を販売

つい最近リニューアルされた「『現代農業』『季刊地域』の用語集」も農業初心者には便利で、知らない言葉をクリックすると、簡単にその意味を調べることができます。「つぼみ菜療法」の項目に花粉症に効くと書いてあったので、去年は「つぼみ菜」や「オータムポエム」「ナバナ」などのタネをたくさん播きました。この春、さっそく試して、よければポップづくりに活かしたいと思います。

学んだことは、A6のノートにまとめています。アナログな方法ですが、書くことで頭により入ってきます。昨年10月からつけ始めたノートは、もう6冊目に入りました。

動画も見られる

ルーラルでは、農文協のDVDなどから動画が見られるのも嬉しいです。『野菜づくりのコツと裏ワザ』では、直売所名人の師匠(勝手にそう呼んでいます)、峠田等さんの技術も動画で見られます。私はそれを参考に腐葉土をつくり、せん定枝を焼いた木炭やモミガラくん炭を混ぜて苗用の培土を自分でつくっています。ポット上げする時に、培土がこぼれたり、根腐れするのを防ぐために底に腐葉土を敷くのが私のこだわり。木炭やくん炭効果で虫が付きにくく、生育もすこぶるいい苗ができます。

ルーラルでは他に病害虫や雑草を豊富な写真から調べたり、農業高校の教科書(『農学基礎セミナー』)、『日本の食生活全集』なども見ています。

コロナだからこそ

農文協の方が来た頃はまだ、新型コロナがこんなに大問題となり、長期戦になろうとは予想だにしていませんでした。今まで足しげく通っていた図書館にもまったく行けなくなりましたが、「ルーラル電子図書館」なら自宅でいつでも閲覧でき、時間を有効に使えます。

そうそう、このエピソードも皆さんにぜひともご紹介しなくては。

利用開始して間もなくの頃、「今日もたくさん検索するぞ」と意気込んでいつものようにルーラルを開こうとすると、タブレットの画面にアプリが見当たりません。「困ったらなんでも連絡してください」といわれたことを思い出して電話してみたところ、担当者がすぐさま対応してくれて、大変助かりました。

入会時は年会費が高いな(『現代農業』定期購読者は優待価格2万2000円)、その分でタネを買ったほうがよかったかなとも思いましたが、今となってはその元はとれた気がします。アクセス回数は、3カ月でなんと6000回に達しています。

(茨城県土浦市)


✳︎月刊『現代農業』2021年4月号(原題「農業が面白くなるルーラル電子図書館(3)軒下栽培で苗販売、学んだ情報がポップで活きる」)より。情報は掲載時のものです。