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〈農業情報サイト「ルーラル電子図書館」をつかいこなす〉いまいち売れなかった「サラダセット」が一番人気に!!

師匠は両親とネットだった

 わが家は古くから代々続く農家ですが、大農家というわけではありません。プログラマーとして勤めている頃の私は、たまにイネ刈りを手伝う程度。農業の専門的な勉強や修業をしたことがなく、栽培の知識といえば両親の経験と、インターネットの断片的な情報に頼るのみでした。

筆者と家族。脱サラして2015年に親元就農。半農半IT「合同会社いろな」を立ち上げ、水稲7ha、少量多品目の露地野菜50a、イチジク10aを栽培する。

 結果、就農当時はやることなすこと失敗だらけ。野菜も満足に育たず、育っても病害虫にやられ、栽培が比較的簡単といわれるイチジクを、全滅させてしまったこともありました。

 さすがにこれはまずい。しっかり勉強しないと、と思い、いろんな本を読み漁るようになりました。まず、JAの農機展示会で『現代農業』の定期購読を申し込み、さらに、圃場に訪ねて来た農文協の職員に「ルーラル電子図書館」を紹介してもらいました。これが、なかなか便利だったんです。

オクラの密植、切り戻しに成功

 私は新しいもの好きということもあり、毎年のように新しい品目にチャレンジしています。その際に必要な情報は『現代農業』や「ルーラル」が頼りです。なかでもよくあるのが、『現代農業』の「品種特集」(2月号)で気になる野菜を見つけて、ルーラルで詳しい栽培方法などを調べるパターン。例えば2020年は、長崎県佐世保市の市川種苗店の記事を読んで、オクラ栽培にチャレンジしました。

 まずはルーラルで「オクラ」と検索して、過去の情報を徹底的に調査(気になる記事はプリントアウトして、自分用の資料集にしています)。今回は『現代農業』18年4月号の記事「オクラ 共育ちでまっすぐ軟らかい実が育つ」で紹介されていた「密植」や、「切り戻し栽培」を試して、どちらも大成功。10月を過ぎても、きれいなオクラをとり続けることができました。

「サラダセット」が売れるように

 少量多品目の野菜を農産物直売所に出品していますが、一番人気でよく売れるのは「サラダセット」。すぐにオシャレなサラダができると大好評です。

 しかし、じつはこのサラダセット、最初はベビーリーフを詰め合わせていたんですが、当時は売れ行きがいまいちよくありませんでした。

人気のサラダセット。レタスやカラシナなどの葉物野菜にミニカブやミニニンジンをミックスして160〜170円で販売。

 そこで、ルーラルで「ベビーリーフ」や「サラダセット」と検索して、過去の記事(合計約100本)を全部集めて徹底研究。葉物野菜のサイズを少し大きくしてより食感が楽しめるようにしたり、ミニカブやミニニンジンをセットにするアイデアは、『現代農業』09年2月号「各地のウワサのサラダセット拝見!」などを参考にしました。10年以上前の記事ですが、お客さんを喜ばせるアイデアは古くなりません。

 こういったピンポイントの情報(特定のテーマに関連する情報)を紙の本から探そうとすると、ものすごい労力がかかります。それがルーラル電子図書館なら検索一つで、簡単に一覧することができるんです。

圃場でもサッと調べられる

 ルーラルはスマートフォンでも見ることができます。圃場にいても調べごとができるんです。

 少量多品目の野菜を栽培していると、さまざまな病害虫に悩まされます。その種類も多様で、適用農薬もさまざま。とても全部を覚えきることはできないので、以前は写真を撮って、家に持ち帰って使える農薬を調べていました。

 でも今は、圃場で病害虫を見つけたら、すぐにルーラルで検索。そのまま防除法を調べて、適用農薬をチェックして即座に対応することができます。病害虫はもちろん写真付きで、診断のポイントもバッチリ。さらに動画(ビデオ)で詳細を見られるものもあり、初めて栽培する野菜でも安心です。

 リニューアルされて、スマホでの使い勝手はさらに向上しました。

動画をもっと増やしてほしい

 最近では、YouTubeなどで農作業の映像を公開してくれる農家が増えてきましたが、ルーラルにも動画コンテンツがたくさんあるんです。

 『現代農業』の取材映像や、農文協が出版しているビデオ作品など、これを見るためだけにルーラルの会員になってもいいのでは、という充実ぶり。今後はこの動画コンテンツがさらに増えることを期待しています。

 動画のよいところは、ベテラン農家が無意識にやっているワザを余すところなく見られるという点です。言語化することが難しくても、いつもの作業を映像に残すだけで、見る人のレベルに応じて、いろいろな気づきがあります。農家は「百姓」ともいわれるように、本当にさまざまな仕事ができないといけません。私のように専門的な勉強も修業もしていない新規就農者にとっては、例えばタネ播き一つ、かん水一つとってもわからないことだらけなんです。

 ベテラン農家にとっては「今さら」という基本的な作業も動画にしてもらえると、私のような新規就農者だけでなく、新しい作目にチャレンジしようとする人にとっても、とても参考になるのではないでしょうか。

 ぜひ、多くの人にルーラル電子図書館を活用していただき、コンテンツがもっともっと充実していくことを期待しています。

(埼玉県加須市)

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*月刊『現代農業』2021年1月号(原題「農業が面白くなるルーラル電子図書館(1)いまいち売れなかった「サラダセット」が一番人気に!!」)より。情報は掲載時のものです。