野菜と米の貯蔵・保存 とっておきのワザ
2025年12月号は、2014年12月号「貯蔵・保存のワザ拝見」特集以来、久々の貯蔵・保存をテーマとした巻頭特集となりました。
貯蔵・保存は作物にとって、収穫後に過ごす第2の人生のようなもの。地域ごと、立地条件ごとに気候風土が違うので、自分の土地と作物の性質を深く知って、いかに過ごしやすい環境を整えてやるか? まさに、農家の腕の見せ所です。
サツマイモの冬越し法
南国出身のサツマイモは、北に行くほど保存の難易度が上がります。そこで、日本列島のマップで冬越しのための農家の工夫を一覧にしてみました。
注目は保温性、通気性のよい身近な断熱材であるモミガラ。深い穴を掘ってモミガラでフタをしたり、コンテナボックスをまるごとモミガラで覆ったり……。
乾いたモミガラだけでなく、古い湿ったモミガラもショウガの保存に大活躍。自由自在に使いこなす農家の工夫に頭が下がる思いです。
野菜ごとの最適な貯蔵条件
最適な貯蔵条件は野菜ごとに違っています。最適温度、最適湿度などの一覧も入れました。意外かもしれませんが、0℃を好む作物がかなり多いこと、作物によって貯蔵限界の日数が大きく異なること、エチレンへの感受性についてなど、保存の科学をわかりやすく紹介した記事もぜひご覧ください。
モミ貯蔵の工夫
また、米価高騰で自分で米をつくってみた人や、新たに直接販売する人向けに、モミ貯蔵の工夫も集めました。硬い殻で外敵から守られているモミは、虫や病気に圧倒的に強いし、おいしさも保たれます。まさに「うまい、安い、エコ!」な方法です。
ただし、玄米の1.25倍の体積があってかさばるし、積み上げた隙間からネズミに侵入されてしまうのが難点。そこで、ビシッとキレイにパレット積みする方法を紹介した記事もあります。米袋が整然と積まれた圧巻の倉庫写真は必見です。
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まとめてみると、涼しくて風通しのよい環境で、外傷がなければ、作物は第2の人生を快適に過ごせるといえそうです。コンテナやモミガラなどをうまく使いこなし、最適な温度と湿度を確保。ネコも味方に、ネズミの侵入を許さない。これぞ、すべての作物に共通する農家の貯蔵・保存のワザ。その具体例が満載の一冊となりました。
その他の巻頭特集以外のコーナーも見どころ満載です。タイトルだけですが、一部ご案内します。
【みんなで農!】キャベツってね、○○なんですよ
【稲作・水田活用】冬の間の春・夏支度!? ドクター藤井の水稲高温対策講座
2023~25年は、3年連続で「もっとも暑い夏」となった。もはや異常な暑さが当たり前になり、「今までと同じやり方では米がつくれない」「高温時代の新しい技術が必要」といった声が聞こえてきている。この暑さでイネに何が起こっているのか。今からできる対策とともに、高温障害にくわしい藤井弘志さんに教えてもらった。
【野菜・花】急ぐな! アスパラガスの全刈り
気温が下がるとアスパラガスの茎葉は黄化する。この時期に茎葉でつくられた養分が地下茎に貯蔵されて、翌年の春芽が萌芽する養分となる。近年、秋の気温が高い日が続いて黄化が遅れ、転流不足になっている。養分転流を意識して全刈りのタイミングを見直した農家に注目。
【果樹】パートさんの上達が早いせん定&棚付け術
【山・特産】アーモンドの女王「マルコナ」
【畜産】北海道から ミックスカバークロップ放牧に挑戦
【くらし・経営・地域】柿、ブドウ、玄米で絶品まろやか酢
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