大型機械で大面積を耕作する北海道の畑作農業。トラクタの上からしか作物や土を見ていなかった農家たちが、大地に降り立ち、スコップを握り始めた。すると、いままで気にもとめていなかった土の中の小さな生きものが、気になってしかたがなくなるようなのだ。いま世界的に注目されているリジェネラティブ(大地再生)農業を実践する農家と、ミミズにまつわるエピソード――。
北海道・廣中 諭さん

枕地を耕さずにおいたら......
いままでミミズなんて気にもかけてなかったですが、ミックスカバークロップや省耕起をするようになってから、ミミズがいるかどうか意識するようになりました。

ダイズ畑で根粒菌を観察すると、ミミズが出てきたりします。たまに大きいやつも。ダイズは除草剤はかけますが、土寄せもカルチもしてない。あまり土を動かさないからだと思います。
去年、ジャガイモのウネを掘ってみましたが、やはりミミズはいませんね。土にかなり負荷をかける作物なので。ただ、例年、枕地も一緒に耕してましたが、去年はそのままにしておいたら、ミミズがたくさんいました。動画にとって仲間とシェアしました。わずか1、2mの距離なのに、生きものの生育環境がぜんぜん違う。山を背負ってる畑だから、ミミズも戻ってきやすいんでしょうね。

枕地を削ってミミズを探す様子(動画)
ミミズは土の生物性のバロメーター
ミミズは土の中の生物性を見るバロメーターですね。いままでは肥料や機械を使って化学性や物理性から土壌の改善を考えてましたが、いまは生物性も大事にするようになりました。
ミックスカバークロップを育てると、ハチ、チョウ、鳥といろんな生きものがやってきます。それって、どういう意味があるの?って聞かれることもありますが、そこはあまり考えず、生きものがたくさんくるようになったっていう目に見える変化を、事実として大事に受け止めることにしてます。野ウサギも隠れてますよ。ビートの芯まで食べて悪さする嫌なやつです。ウサギといっても小型犬くらいに大きくて、ぜんぜんかわいくない。でも、カバークロップの畑なら、いてもぜんぜん大丈夫です。
(談)
この記事の続きは『現代農業』2025年3月号をご覧ください
『現代農業』2025年3月号「ミミズは偉大だ! 畑のミミズ」コーナーには、この記事の他に以下の記事も掲載されています。ぜひ本誌でご覧ください。
- ミミズも微生物も人間もみんな友達 中尾太輔
- ミミズの気持ちがわかるかな? 金子信博
- 【図解】土をつくる 偉大なミミズの生態
- ミミズは自分で葬式をあげる神秘的な存在 高内実
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農文協 編
掲載記事400本、著者は350名を超え、農家も100名以上登場。全国の有機農業関係者みんなでつくる大事典。