5月号 栽培のコツ 果樹 2021年 匠の技に頼らない 楽々ナシ栽培 第5回 摘心はついで作業がちょうどいい 2021-04-05 福島県須賀川市・藤田忠内さん 結果枝から出た新梢を摘心する藤田忠内さん(写真はすべて依田賢吾撮影) 効率よく手を抜くために 藤田さんがナシの管理作業で、一番重要視しているのが「摘心」だ。結果枝から出る新梢を早い段階で摘んで、徒長枝になるのを抑える。 「摘心すると成葉化が早く進むから、栄養生長の期間が短くなって、生殖生長の期間が長くなる」。徒長枝を伸ばす必要がなくなった分の養分を、いち早く実に送ることができるからだ。そのため、以下のようなメリットがある。 日当たりがよくなって味がのる。 枝を伸ばす養分が要らない分、減肥できる(2021年3月号)。 徒長枝が減って短果枝が増え、冬のせん定にかかる時間が減る。 薬液もしっかりかかって、防除効果が高まる。 収穫が適期に揃うようになる。 だから、「少ない労働力で効率よく手を抜く」ために、摘心は「やんなきゃなんない必須の作業」なのである。 幸水の新梢。ハダカ芽の上で摘心する。うまくいくと芽は動かない。動いたとしても、ハダカ芽だけがヒョロヒョロ伸びて養分を引っ張る。その下のわき芽は動かずに花芽になる。なお、ハダカ芽がない(勢いの強い)新梢の場合は、葉を4枚残してカット(6月17日撮影) 1回目の摘心後に2次伸長した枝は、もう1回摘心する 摘果が終われば一段落…… 摘心の作業適期は満開後35~50日で、結果枝の上に伸び出した新梢の長さが20cm、生長点近くの幼葉の色が赤い頃。摘果はその前に終わらせるのがよいとされる(20年5月号)。 ところが、「それじゃ、作業期間が短すぎる」と藤田さん。労働力は家族4人。70aのナシ園だけでなく、ブドウ園が30a、田んぼも9haある。適期に作業が間に合わないこともある。必死になって摘果・摘心し終えても、しばらく畑から遠ざかるうちに、2次伸長して徒長枝乱立……なんてことも。 じつはナシの摘心がブームになった15年ほど前、普及所でも摘心栽培を推進していたそうだが、農家の受けは今ひとつ。「どうせ枝がまた出るのなら、やんなくても同じだ」と、やめてしまった人も多いのだとか。「摘果が終わったら、ナシの作業は一段落」というのが農家の心情らしい。 「ついで作業」に組み込む そこで、藤田さんは摘心の作業も「効率よく手を抜く」べく、ゆるい段取りに変えた。摘果を早く終わらせ、適期に集中して摘心するのでなく、摘果の「ついで作業」として摘心を組み込んだ。摘果も摘心も一気に終わらせないやり方だ。 5月中旬、 この続きは2021年5月号または「ルーラル電子図書館」でご覧ください *月刊『現代農業』2021年5月号(原題:摘心はついで作業がちょうどいい)より。情報は掲載時のものです。 5月号を注文する 最新号から定期購読する 今月号のイチオシ記事 2021年5月号の試し読み 密着!横田農場の春作業 リンゴの気持ち 樹の生理3 粗摘果のやり方 匠の技に頼らない 楽々ナシ栽培 第5回 摘心はついで作業がちょうどいい 今月号のオススメ動画 5月号の読みどころに戻る 「密着!横田農場の春作業」より 田植えをスムーズにする補助者の動き方 リンゴの気持ち樹の生理「粗摘果のやり方」より 果そう摘果のやり方 匠の技に頼らない楽々ナシ栽培「摘心はついで作業がちょうどいい」より 摘心のやり方 今号のオススメ動画は画像をクリックするとルーラル電子図書館へ移動します。動画は公開より3ヶ月間無料でご覧いただけます。 最新農業技術 果樹vol.6 農文協 編 リンゴ新密植栽培の可能性、実用化段階!カキのわい化栽培、摘心による枝梢管理で、省力・安定生産のウメ・ナシ、注目のクリ’ぽろたん’などを特集。その他、ポスト’ヘイワード’のキウイ品種、地球温暖化対策など。 ナシの作業便利帳 ★POD版 廣田隆一郎 著 収穫後から秋にかけての枝抜きや縮伐、秋根を大切にする土壌管理などで早期展葉をはかることが良玉づくりのポイント。幸水を中心に、高品質生産のための作業のしかた・コツを満載。 Tags: ナシ, 摘心