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〈農業情報サイト「ルーラル電子図書館」をつかいこなす〉有機JAS栽培の課題が検索で一発解決

現代農業や増刊『季刊地域』のバックナンバー、『農業技術大系』などがインターネット上で見られる「ルーラル電子図書館」。その活用方法を、愛用者に紹介してもらいます――。

山口県・石田俊文

石田俊文さんの写真
周防大島の絶景ポイント「天狗岩」に立つ筆者(67歳)。棚田や古民家の再生にも取り組んでおり、今最も関心のあるテーマは「石積み」

PDFで保存、クラウドで共有

 外資系の医療機器会社に定年まで勤務し、2014年に東京から瀬戸内海の島にIターン移住。若い頃に断念した有機農業に取り組み始めました。現在はレモン20a、野菜4a、イネ40aを有機栽培し、地元の個人客やマルシェの客を中心に販売しています。

 さて、私が『現代農業』の定期購読を始めたきっかけは、16年にオーガニック・エコフェスタに出展していた農文協のブースで、担当の方と話したことでした。新規就農して間もないこともあり、体系的な農業関係の情報にアクセスできればいいなと考えていたので、思い切って『現代農業』の定期購読と「ルーラル電子図書館」の年間利用契約を同時に申し込みました。

 ルーラルで検索してヒットした記事のうち、今後も参考にしたいものはPDFでダウンロード。パソコンの中に記事の種類ごとに分類して保存しています。アップル社のパソコンのデスクトップに保存すると、クラウドを介してスマホのiPhone、タブレットのiPadでも、同じように見ることができます。PDFで取っておけば、改めてルーラルにつながなくてもすぐに開くことができ便利です。

課題(1)育苗培土には竹パウダー

復活させた棚田
復活させた棚田。イネは主食用米のほか酒米も育て、山口県内の蔵元に納める

 幸運なことに、私は14年の移住後すぐに水稲有機栽培の師匠と出会うことができました。それからいろいろな経緯があって、およそ30年間も耕作放棄されていた棚田を開墾。15年より有機栽培を始め、さらに有機JAS認証の取得を目指すことになりました。

 想定外の急展開でいろいろな課題がありましたが、中でも有機JASを申請するうえで難しいテーマが二つ。一つは水稲の育苗培土です。JAS申請のためには、認定をとった資材を使うか、製造工程を明記できる自家製資材を使うかが必要です。安く手に入り、健苗が育つちょうどいい資材はないものか。そんな時、私の頭に思い浮かんだのが「竹パウダー」でした。

 移住前の視察時に島の放置竹林を目の当たりにしていたこともあり、移住後の私は、この有効活用に取り組んできました。大枚をはたいて微粉砕できるチッパーシュレッダーを購入、せっせと竹パウダーを作り、畑の土にすき込んでの栽培実験。1m2当たり10kgもの乳酸発酵竹パウダーをすき込んだ畑で栽培したところ、源助ダイコンがなんと桜島ダイコンのような形に肥大し、大いに驚愕した……といった経験があったのです。

 とはいえ、竹は水稲の床土にも使えるものなのだろうか。さっそくルーラルで「竹パウダー 育苗」と検索してみると、ズバリ!水稲の竹パウダー育苗の記事を見つけました(15年4月号)。乳酸発酵した竹パウダーに種モミを播き、覆土して育苗するというものです。

 酸度も調整していない培地で、ちゃんと発芽するのか?と気を揉みましたが、記事を信じて16年に使い始めてみると、心配は杞憂に終わりました。発芽も根張りも良好で、苗箱も軽量化できるといいことずくめ。チッソ分が不足気味ですが、これはフィッシュソリュブルなどの液肥で補えます。これで、課題を一つクリアできました。

課題(2)種子処理には酵母菌

竹パウダーで育てた苗の根張り。太いフェルトのようなマットができる。覆土には有機JAS認定のミミズ糞培土を使用

 もう一つの課題は、育苗前の種子処理です。有機水稲栽培農家が一番よく用いる種子処理法に「温湯処理」があります。ところが、私は立派な加温装置を持たないため、「60℃10分処理」といった細かい温度調節ができません。そこで、有機2年目の16年までは師匠に処理をお願いしていました。

 しかし、いつまでもおんぶにだっこではいけません。自分でもなんとかできる種子処理法があるはずだと思い、再びルーラルで「イネ 種子 処理」と検索。すると、「酵母菌で種子処理」という記事がヒットしました(04年3月号)。

 温湯処理のような熱処理をせず、昭和酵素の「Hi―S」という酵素の1000倍(水100LにHi―Sを100g溶かす)液に24時間浸けておくだけというシンプルな手法。微妙な温度管理のストレスがなく、常温で処理でき、さらに有機JASの資材証明も取れることがわかりました。

 この方法は17年から導入し、今年までずっと続けています。師匠にも伝えてみたところ、「温湯処理よりラクそうだ」と、酵母菌処理に転換してしまいました。手軽なのはもちろん効果も高く、導入以来バカ苗などの病気はまったく出ていません。

 これらの記事はプリントアウトし、とくに熟読しました。二つの大きな課題とも、ルーラルが解決に導いてくれたおかげで、16年に水稲の有機JAS認証をスムーズに取得。その後も順次申請し、今では野菜、果樹含めすべての圃場で認証を取得しました。

『季刊地域』は紙でじっくりと

 21年末からは、『現代農業』の兄弟雑誌である『季刊地域』の定期購読も始めました。自分自身も問題意識を持っている不在地主、ごみ処理、継業といった地域の課題について多面的に深掘りし、事例紹介もしてくれるありがたい雑誌です。ルーラルにも収録されていますが、ほとんどは冊子を読みます。やはり、じっくり読みたい場合には紙媒体がしっくりきます。

 最近の特集の中では、「ごみ処理は地方が一歩先を行く」(19年春号、バックナンバーで購入)が気になりました。とくに参考になったのは、葉っぱビジネスで有名な徳島県上勝町の「ゼロ・ウェイスト」(焼却・埋め立てごみをすべてなくす)宣言、その日本一のごみ分別に取り組む現場を取材したレポートです。「瀬戸内の島で暮らす自分にも、やるべきことが多くある」と考えさせられました。

 いろいろな刺激と有用な情報を届けてくれる農文協の出版物とサービスに、これからも大いに期待しています。

*月刊『現代農業』2022年7月号(原題:有機JAS栽培の課題が検索で一発解決)より。情報は掲載時のものです。

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