健康野菜キクイモが、人気急上昇中! 血糖値を下げるだけでなく、ストレスの緩和や胃腸にも、いいこといろいろありそうだ。現代農業2023年11月号の「キクイモ」特集のなかから、猪原さん(徳島県)のキクイモづくりの記事を一部公開します。
徳島・猪原佐代子

糖尿病の人を 1人でも多く救いたい
糖尿病死亡率全国ワーストランキング常連の徳島県。私も糖尿病を患う夫がいました。ある日、テレビで「天然のインスリン」と呼ばれるキクイモの存在を知り、さっそく探してみましたが、近所には売っていなくて手に入りませんでした。それなら自分でつくろうと思い立ち、テレビ局へ問い合わせ、キクイモ農家を紹介してもらいました。
キクイモについていろいろ勉強していくうちに、なんと徳島の山奥にある私の実家に大量に生えていたものが、偶然にもキクイモだったことに気付きました。大好きなショウガを植えたつもりが、見た目がそっくりのキクイモだったのです。
これがきっかけとなり、現在住んでいる藍住町から海陽町へ通う形で、本格的なキクイモづくりを始めました。当時 66 歳で、農業の経験もありませんでしたが、一人でも多くの糖尿病患者を減らしたい、また、村おこしにもなればと、たった一人で畑を耕し始めました。今では毎年300株ほど栽培しています。

絶対に連作しない

畑を休ませるためにも、いいキクイモをつくるためにも連作は絶対にしません。連作した圃場のキクイモは苦みがあり、残念ながら味わいのまったく違うものでした。連作障害なのか、病気にもかかりやすい気がします。味が落ちるということは、栄養価も下がっているのだと思いました。
そこで、キクイモを育てるためのエリアを二つに分けて、片方でキクイモを育てている間、もう片方には緑肥のクローバを育てたり、野焼きをしたりしています。完全無農薬、無化学肥料です。素人なので何もかも手探り状態ですが、近くに住む農業に詳しい方からいろいろとアドバイスをいただきながらやっています。
夫の糖尿病が改善!
キクイモの効果を実感したのは、なんといっても糖尿病患者である夫の数値が見事に改善されたことです。毎日のお味噌汁にキクイモを入れただけ。もちろん日々の運動など本人の努力も大きいのですが、約1年で注射器でインスリンを打つ必要がなくなり、今では健康な一般男性レベルまで数値が下がっています! これには本人よりも家族のほうがビックリ。
次女は腸の動きが活発になり、便秘が改善されました。3~4日に1回の排便が1~2日のペースに、しかも力まずに自然に出るようになりました。便秘が改善されたおかげで腸内環境が整い、肌つやもよくなりました。
予約販売するほど人気


これだけ効果があり、しかもおいしいキクイモを、多くの人に届けたいと加工販売も始めました。
商品は生キクイモ、乾燥チップス、みじん切りにしたキクイモを乾燥させた顆粒キクイモの3種類。販売経路はふるさと納税の返礼品の他に、ストアーズというサービスでネットショップを開いて販売しています。娘の運用するインスタグラムのアカウントで販売の告知、栽培の様子やレシピを発信しています。
人気なのはやはり乾燥商品です。生キクイモに比べて栄養価も大幅にアップするそうで、チップスなんかは日持ちがよく、おやつにもなり手軽に摂取可能です。ダイエット中や夜間でも罪悪感がなく食べられるため、美容・健康意識の高い方に人気で、ギフトにも選んでいただいています。コロナで会えない期間、離れて暮らすお子様の健康を気遣って購入される方もいました。天日干しと手作業にこだわってつくる乾燥チップスと顆粒キクイモは販売するとすぐに売り切れてしまい、予約販売をするほどです。
乾燥なら料理に使いやすい

娘たちに協力してもらい、レシピも開発。インスタグラムでも共有しています。生キクイモなら長女のイチオシはクリームシチューや豚汁などの、煮込めばいいだけの料理。お味噌汁、ポトフにも最適です。ジャガイモの代用のイメージといったらわかりやすいかもしれません。
次女は肉と合わせるのが好きです。キクイモのイヌリンという水溶性食物繊維は、糖や脂質を体外に追い出す働きがあるので、肉の脂が気になるときも安心して食べられます。生キクイモは皮付きのままみじん切りにして、ハンバーグ、つくね、肉詰め、鶏そぼろ、ミートボールなど、タネに混ぜ込みます。乾燥キクイモだとそのまま使えるのでもっと便利です。チップスはそのまま食べたりサラダにかけたり、とにかく手軽に食べられます。顆粒キクイモのイチオシレシピは炊き込みご飯。適量をお米と一緒に炊くだけなので何の手間もかかりません。
現代農業2023年11月号「おいしく元気にキクイモ生活」コーナーでは、以下の記事も掲載しています。ぜひ本誌(紙・電子書籍版)でご覧ください。
- メンタル も整う 発酵食品とあわせて食べて相乗効果 福田豊
- キクイモの有効成分をムダなく摂取するには? 松本雄一
- 倒伏を防いで収量アップ 加藤明
- キクイモってどんな植物?
今月号のイチオシ記事
2023年11月号の試し読み
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今月号のオススメ動画
図解 食卓の薬効事典
野菜・豆類・穀類50種
池上文雄 著
生活習慣病や認知症などの疾患が増える現在、健康志向も相まって、伝統的な日本食(和食)のバランスの良さが脚光を浴び、各地の伝統野菜や豆類の見直しも図られるようになりました。そのような中で、本書は、漢方の観点から、日々の食材となる野菜や豆類、穀物のもっている健康増進効果などの薬効について紹介しました。近年の日本人が軽視しがちな、あるいはあまり知られなくなった野菜などの食べ物としての種々の価値を見直し、摂り方や食べ方を正しく知っていただき、健康に生きるための参考になるようにと願ってまとめてみました。