あいかわらず肥料・資材の値上げが止まりません。農文協から、作物の生育促進と食味向上、さらには地力アップに期待できるという「鉄」活用について、「農家が教える 鉄 とことん活用読本」という本が発行されました。この連載では、本書の読みどころをご紹介します。
タンニン鉄とは…?
鉄は生きものにとって最重要なミネラルの一つだが、自然界ではすぐに酸化して、水に溶けずに沈殿するので、循環しにくい。しかし、アミノ酸や有機酸が鉄を包み込んで錯体化(キレート化)すると、水とともに循環し、植物の根から吸収されやすくなる。従来、自然界での主要なキレート剤は、森の腐葉土に含まれるフルボ酸と考えられてきたが、より人間生活に身近なタンニンも鉄のキレート剤であり、鉄分循環のカギを握る物質として注目されだした。
農文協編 『今さら聞けない 農業・農村用語事典』 p88 「タンニン鉄」より
大阪・工藤康博さん、福島・月田禮次郎さん、京都・中村光宏さん
植物のもつタンニンと鉄を反応させてつくる、タンニン鉄。土にかけると植物が元気に。各地の農家が自分なりの作り方・使い方に挑戦中!

身近にいろいろタンニン素材
クリの新葉にも豊富(福島・月田禮次郎さん)


豆柿を求めて山へ(大阪・工藤康博さん)



田んぼでもタンニン鉄(京都・中村光宏さん)






*月刊『現代農業』2020 年10月号(原題:山で、畑で、田んぼでタンニン鉄をつくる)より。情報は掲載時のものです。
連載【鉄のミネラル力】(全5回)
- 第1回:お茶と鉄で野菜の味が劇的にうまくなる
- 第2回:かんたん液肥でつくる鉄ミネラル野菜
- 第3回:山で、畑で、田んぼで タンニン鉄をつくる
- 第4回:火山灰土の高原圃場で、糖度17度のスイカ
- 第5回:鉄茶で土がふんわり、アミノ酸たっぷりの葉物野菜に
鉄の効用やタンニン鉄の作り方、使い方がよく分かる新刊が出ました。
農家が教える 鉄 とことん活用読本
農文協 編
1,760円 (税込) B5 148ページ
「森は海の恋人」運動でも注目されるミネラル分としての鉄。野菜を大きく育て、美味しくするタンニン鉄、イネの根腐れ対策や環境の浄化に活躍する純鉄粉など、驚きの鉄の効果、鉄資材の作り方使い方を大公開。