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〈農業情報サイト「ルーラル電子図書館」をつかいこなす〉従業員のロープワーク、トンネル張りが動画でレベルアップ!

岡山・佐藤匡

筆者(35歳)。(株)佐藤農産代表取締役。『現代農業』2021年4月号でレタス種子を土間で低温発根させる育苗を紹介(赤松富仁撮影)

田畑へ連れ出してくれた父

 1985年8月31日、酒米兼業農家に生まれました。小学校時代に不登校となり、中学校は養護学校中等部(現在は支援学校)に通いました。卒業後は全寮制の高校へ進学。少年期に感じた教育者への反発から教職を志し、大学へ進学。卒業と同時に教育の道へ入るものの、小学校のグラウンドでフラッシュバックを起こし、人生に絶望して精神疾患を患いました。

 部屋から出られなくなった私を、父が田畑へ連れ出してくれたことがきっかけで農業を手伝うようになり、社会復帰を果たしました。それからは農業へ勤しみ、10年前に父が他界したタイミングでレタス生産に取り組み、2019年に(株)佐藤農産を設立しました。

 現在は従業員7人で水稲2ha、レタス類7ha、ハウスパプリカ20a、夏秋ナス20aほどを栽培しています。

乗り気ではなかったけど……

 昨年、地元の後継者クラブの先輩からの紹介で農文協の職員に会う機会がありました。仕事柄さまざまな業種の勧誘があり、営業は基本的にお断りしているので、その時も先輩の紹介といえど、じつはまったく乗り気でなく、当たり障りない断り方を考えていました。

 しかし実際に話してみると、農業の奥深さを発信し伝えようとするその姿勢と熱意にひどく感銘を受けてしまい、その場で『現代農業』の年間購読と同時に「ルーラル電子図書館」も契約しました。

農作業ビデオでロープワークを統一

 ルーラルでよく観るのは「農作業ビデオ」の動画です。

 例えば、ロープの結び方。先日、従業員が軽トラックに管理機を載せる時、荷台に固定するロープワークができなかったので、別の従業員が結び方を教えていました。その様子を見ていると、従業員ごとにロープの結び方が違うことに気が付きました。

 結び方がそれぞれ違うと解き方もそれぞれ違ってきます。作業効率を考えると統一したいのですが、私がロープワークを教える時に、メモを取る人、動画を撮る人、見て覚えようとする人がいて、認識もバラバラになりやすく、技術を共有するのに苦労します。

 そんな時、農作業ビデオに収録されている『DVDブック ヒモ&ロープの結び方』の動画が役に立ちました。YouTubeにアップされている動画は個人の癖が見受けられるのに対し、ルーラルは基本に準じている気がします。私自身よく作業に自分の癖が出てしまい、やり方し方を感覚で説明してしまいがちですが、ルーラルはその辺りを理屈も含めてわかりやすく説明してくれるのでありがたいです。

『DVDブック ヒモ&ロープの結び方』より。管理機を固定するロープワークのポイントを参考にした

風に強いトンネルの張り方

 ビニールトンネルの張り方も参考になりました。レタスにかけるトンネルの張り方も従業員ごとに違いがあり、強風でも飛ばないがっちりしたトンネルのすぐ横で、マイカー線の張りがゆるくてビニールと擦れて穴が開くトンネルがあったりしました。

 そこで『直売所名人が教える 畑の作業 コツと裏ワザ』の「目指せ 風に強いトンネル」をみんなで観て、張り方を統一。今では従業員全員が同じやり方で張れるようになりました。指導する私としても「弱いトンネルを張ったのは誰か」と犯人探しをするような嫌な気持ちから解放されました。

 また、従業員が「サトちゃんの『一輪管理機 この設定でキャベツの土寄せ成功!』の動画は参考になった」といっていました。管理機でいつも土を飛ばしすぎて四苦八苦していたのが、動画を観て側板の角度を下げたことで改善されたようです。

 ここ最近はコロナ禍で視察にも行けないので、その代わりにもなって大変助かっています。

『直売所名人が教える 畑の作業コツと裏ワザ』より。風に強いトンネルの張り方と仕組みをみんなで観た

従業員のやる気を後押し

 私は人生をクネクネしながらも、今は農業を生業としています。農業に助けられた人間の一人として、同じように苦しんでいる人を農業でお手伝いしたいという気持ちがあります。

 自社の従業員には、十数年間引きこもり、家から出られなかった人もいます。私はそのような人を積極的に従業員として受け入れているのですが、みんな自己肯定感が低く、基本的に劣等感をずっと背負っています。それでも周りの従業員に追いつきたいと陰ですごく努力するのに、コミュニケーションがとれずになかなか聞きたいことが聞けなかったりします。

 『現代農業』は休憩室の本棚に毎月置いていて誰でも読むことができるのですが、なかには「本を読む」という行為自体が難しい人もいます。そんな人にとってルーラルは画期的で、動画で学習できる。自宅でも現場でもスマホ1台あれば気になることをいつでも気が済むまで調べられます。

 私に質問することができずにこっそりルーラルで調べていた従業員が、「『現代農業』に書いてある意味がわからないので教えてほしい」と聞きに来てくれるようにもなりました。

 自社には多様な人材がおり、過去には独立した従業員もいます。個人では情報収集がなかなか難しい農業技術。ルーラルは意欲のある従業員にとってもう欠かせないツールといえます。

 要望を挙げるとするなら、今後の農業の担い手となる若い世代の、後継者インタビュー動画を観てみたいです。

(岡山県岡山市)

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*月刊『現代農業』2022年1月号(原題:従業員のロープワーク、トンネル張りが動画でレベルアップ!)より。情報は掲載時のものです。