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〈石灰防除〉イチゴ&キャベツの苗 炭疽病や黒腐病を効率的に防除

福岡・桒野くわの真光

筆者。キャベツとイチゴのほか、イネ約5ha、委託に応じて他の野菜も栽培

少しでも抑えられれば儲けもん

 1967年生まれの55歳。20歳の頃から、福岡県福津市で専業農家をしています。食品会社との契約で寒玉系の加工用キャベツを約5ha栽培、約30aのハウスでは、イチゴ「あまおう」を育てています。

 2007年頃、キャベツのセル苗で病気が多発し困っていました。黒腐病なのか何なのか、葉の色が黒っぽくなり、溶けたように腐ってしまいます。当時は殺菌剤を散布していましたが、広がってしまうとなかなか止まらず。今思えば、水やりのタイミングなども悪かったのかもしれません。

 そんなとき、購読している『現代農業』に、石灰を使った軟腐病などの防除方法が掲載されているのを見て、ダメもとで実践。石灰は価格も安いし、「これで少しでも効果があれば儲けもんだ」くらいの考えでした。

 実際にキャベツの苗に使ってみたところ、葉が明らかに分厚く変化。さらに抗菌効果のおかげか、ムシムシする悪条件でも、苗の病気が全然発生しません。手応えを感じ、イチゴの苗にも使ってみたところ、やはり病気が出にくくなりました。

動散で粉状消石灰を全面散布

 最初はアルカリで葉っぱが焼けてしまうのではないかと思い、石灰を水に溶かして、その上澄み液を散布しました。枯れないことが確認できたので、次は水で撹拌したものを散布。これでも全く問題ないとわかったため、使用2年目の08年から現在に至るまでは、粉状の消石灰を動力散布機で直接散布しています。

 現在はキャベツ、イチゴとも、苗の防除にのみ使っています(本圃の土壌改良には、苦土石灰などを利用)。両作目とも育苗期間中に2〜3回ほど、全面散布しています。

①キャベツ(ハウス育苗)

 病気が出やすい条件(高湿度など)のときに、予防的に散布しています。予防のタイミングを逃して病気が出てしまった場合にも、蔓延防止のために使用。ハウス内をサッサと歩きながら動力散布機を使い、葉っぱ表面がうっすら白くなるまで散布します。

②イチゴ(露地育苗)

 やはり、予防的に使用します。とくにランナーからの採苗、切り放し、葉かきのときには、炭疽病などの防除の意味で必ず散布しています。露地育苗なので、散布は風がないタイミングで。夕方で空気が重くなり、しっかり定着するであろう時間に実施しています。下の写真のように、葉っぱがうっすら白くなる程度の量を振っています。

雨よけハウスでのイチゴ苗への石灰散布(少し前の写真)。現在イチゴはすべて露地育苗だが、キャベツはハウス育苗のため、散布時はこのように真っ白になる。すぐに風呂に入れるよう、一日の最後に作業する
散布後のイチゴ苗。粉状の消石灰なら均等に散布しやすい。散布後3日くらいで葉が硬くなるが、数日間生育が停滞するので注意

苗の時期ならまきやすい

 両作物とも葉肉が厚くなり、葉がバシバシした感じというのでしょうか? とっても硬くなって、イチゴではアブラムシなどの虫も付きにくくなりました。キャベツでは育苗時期の黒腐病などの発生が減り、発生後の治療はさすがに無理ですが、散布すれば広がりを抑えられます。殺菌剤と比べても、効果は強い気がします。

 育苗時期なら散布面積が狭いので、散布にかかる労力も、石灰の量も少なくてすみます。消石灰は20kg700円程度と安価で、3〜4kgあればイチゴ苗2万株程度を防除可能。コストはほとんどかかりません。大面積での石灰散布は大変なので、本圃定植後は農薬を使っています。石灰で苗が強くなるためか、定植後も病気に多少かかりにくくなっていて、農薬の使用削減に役立っていると感じています。

 ただし、ハウスの中などで散布すると、消石灰の粉がブワーッと舞い上がるので、マスクの着用は必須です。一応、散布後はアルコールの摂取を控えています(笑)。

(福岡県福津市)

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