ワラビ・タケノコ・フキ・ウド 山菜のペットボトル漬け
福島・渡辺れい子
郡山市から車で約10分、日本三大桜の一つ、三春滝桜のある三春町で理髪店を営むかたわら農業をしています。70歳になりますが、右足の具合が悪い以外はどこも元気で、趣味のパッチワークや釣りも楽しみながら日々過ごしています。
とくに農業はあれこれ新しいことを試すのがおもしろく、7反の畑でいろいろな野菜づくりに挑戦し、直売所にも出荷しています。『現代農業』はたいへん参考にしていて、理髪店にバックナンバーも並べてあります。サトイモの逆さ植えやタマネギの踏んづけ植えなどのアイデアはどんどん実践しています。
重石を使った保存は大変
三春町は気候も穏やかで過ごしやすく、ここで暮らせることが本当に幸せです。春の楽しみといえば山菜採り。タケノコ、ワラビ、フキ、ウドなどが収穫できて、毎年この季節は心がワクワク。若い頃は足も悪くなかったので、山形県のワラビ園まで遠征し、たくさん採っては樽で塩漬け保存したこともありました。
今は家の近くに生える山菜を少しずつ採ったり、ワラビは家の裏の畑に苗を植えて育てたものを採ったりするだけで、樽で漬けるほどの量はありません。重石を載せるなどの力仕事も大変で、最近は塩漬け保存はしなくなっていました。
塩もみしてから詰めるだけ
そんなある日、知人が山菜の詰まったペットボトルを持ってきて、こうすると簡単に保存できるよと教えてくれました。それを聞いて、なんていい方法なんだろうと感動し、さっそく試してみました。
やり方はとても簡単です。山菜に塩を加えて手で何回もよくもんだら、ペットボトルにいっぱいになるまで、ギュウギュウ詰め込むだけ。それだけで重石をしなくても、ペットボトルの中は山菜からしみ出る水分で満たされ、空気に触れることはありません。物置など日の当たらない場所に置いておけば、冬になっても山菜が楽しめます。
おすそ分けにもちょうどいい
使うときは鍋で一度煮てから、そのまま冷めるまで置き、塩を抜きます。このとき、ワラビとウドは銅鍋で煮ると色が鮮やかに仕上がります。
さつま揚げなどと一緒に油で炒めたり、味噌汁の具にしたり、麺つゆに浸けてお浸しにしたり、好きな山菜料理にしていただきます。遠くに住む子どもにも送りやすいし、ペットボトルごと渡して簡単におすそ分けできるのもよいところです。
(福島県三春町)
ワラビのペットボトル漬けのやり方
よいワラビが採れました。さっそく保存してみます
1.ワラビは下茹で不要、生のまま保存する。まずは包丁で5~6cmに切る。
2.ワラビ1kgに対し塩200~230gを加え、手で40回ほどよくもむ。塩の割合はワラビ以外の山菜もほぼ同じ。塩は多いほど保存効果があるので、多少多めに入れても構わない。
3.ペットボトルに手で少しずつ詰めていく。塩もみの際に出た水も一緒に入れる。注ぎ口近くまでギュウギュウに詰め込むのがポイント
4.最後にふたをしっかり閉めれば作業は終わり。重石なしでも、ワラビから出る水分でペットボトル内が満たされ、空気に触れることなく長期間保存できる。ペットボトルの大きさは自由。ワラビ以外の山菜も漬けられる。ペットボトル漬けなら人におすそ分けするときも便利だ。
★使うときはペットボトルごと切る
調理する前に塩抜きを行なう。ワラビの場合は、沸騰したお湯で10分ほど茹でたら、煮汁ごと別の容器に移し、3~4時間おきに3、4回水を取り替えながら 漬け置きして塩を抜く。途中かじって味見しながら、よい塩加減になったところで取り出す。
〈フキの場合〉
・筋をとってから小さく切り、桶などに入れて塩を加え、一晩塩漬けしてからペットボトルに詰める
・フキはやや硬いので、使う前の塩抜きは、水の状態から始め、沸騰してから20~30分ほど煮る。あとはワラビ同様水を取り替えながら塩を抜く
〈タケノコの場合〉
・10~15分下茹でしてから小さく切り、塩もみをしてペットボトルに詰める
・使う前の塩抜きはワラビと同様
〈ウドの場合〉
・ウドの保存と塩抜きは、ワラビと同様
*月刊『現代農業』2019年4月号(原題:ワラビ・タケノコ・フキ・ウド 山菜のペットボトル漬け)より。情報は掲載時のものです。