茶殻と桜エビのかき揚げ丼
斉藤勝弥
私は有機無農薬でお茶を栽培しています。四〇年ほど前(二〇代前半の頃)、煎茶の淹れ方を勉強するために、茶術(茶葉の内容に合わせて茶の淹れ方を判断する技術)の先生に弟子入りし、お茶を抽出したあとの茶殻の利用法についてもご指導をいただきました。
茶はもともと、岩の割れ目に生息し、根から強烈な有機酸を出して岩石を溶かし、ミネラルなどの養分を吸収して生きていました。それゆえ、お茶として飲むことで、ミネラルや水溶性のアミノ酸などが身体に取り入れられ、なおかつ心まで満たされます。
ところが、「出がらし」になった茶殻にも、お湯では抽出できないビタミンEや鉄分といった油性の成分がまだ残っています。これらの成分をすべて身体に取り入れようというのが、このレシピです。
水気を拭いた茶殻を細かく刻んで冷凍保存しておき、必要なときに使ってもOKです。また、このほかに、刻んだ茶殻を納豆に混ぜて醤油で味付けした「お茶の葉納豆」もかんたんでおいしく、ご飯がすすむ一品です。
(静岡県静岡市)
茶殻と桜エビのかき揚げ丼
【材料】(2人分)
・桜エビ(生、ゆで、干し いずれでもよい)1つかみ
・お茶を抽出したあとの茶殻 2回分(約40g)
・かき揚げ用の衣(小麦粉 1カップ、冷水 3/4カップ、卵 1/2個)
・天丼用のたれ(本みりん 50ml、濃口醤油 50ml、だし汁 100ml、砂糖 5g)
【作り方】
1.茶殻は布巾などで水分を軽く吸い取り、食べやすい大きさに刻んでおく。
2.衣をといて、桜エビ、茶殻を入れ、油で揚げ、かき揚げを作る(4枚くらい)。
3.丼にご飯を盛り、天丼のたれを少しかけておく。
4.かき揚げを天丼のたれに少しつけ、ご飯の上にのせる。
油に入れても茶殻がはねず、カリッとすぐに揚がる。少しのお茶の苦味とエビの風味がおいしく、軽い食感の天ぷらとなった。
*月刊『現代農業』2015年2月号(原題:産地農家の食卓レシピ(121)茶殻と桜エビのかき揚げ丼)より。情報は 掲載時のものです。