小規模な「雨よけハウス」であっても、業者に施工を依頼するとかなり高額になります。2年前にブドウ栽培を始めた香川県の保科さんは、自主施工することで、業者の見積もりの4分の1の費用で済ませたそうです。その施工のノウハウをご紹介します。
取材対象者:保科寿行さん(香川県丸亀市)
『現代農業』2026年11月号「1人でブドウの雨よけハウスを作った」より
なんでもDIY
「このブドウの雨よけハウスも、あのイチジクの誘引棚も、畑の周りをぐるっと囲んでいるワイヤーメッシュ柵も全部僕が1人で作りました。あ、かん水装置も塩ビ管で自作したんですよ。水を流せば塩ビ管キャップにあけた小さな穴からシャワーのようにかん水できるんです。あの法面の防草シートも2日ぐらいかけて、1人で張りましたね……」
新規就農して2年前からブドウをつくっている保科寿行さん(44歳)。畑を案内がてらあちこちにあるブドウ棚や柵、コンクリの農道などDIYしたものを紹介してくれた。雨よけハウスはアーチパイプの高さが揃っており、サイドのパイプも真っ直ぐきれいに並んでいて、まるで業者が建てたみたい。
ハウス2棟で550万円の見積もり
もともと調理師として飲食店で働いていた保科さん。実家が米を15aほどつくっている兼業農家だったが、子どものころは家庭菜園の手伝いくらいしかしたことがなかった。しかし、調理師が激務すぎて生活に限界を感じ、実家の農地でブドウ栽培を始めることにした。
「当時、合計7aの雨よけハウス2棟の見積もりを出したら、550万円かかるって言われたんです。ハウス資材と施工費、かん水設備込みの値段だったんですけど。僕、お金がないから、だったら自分で建ててみようかなって」
飲食店で働いていたので、建築の知識はゼロ。ただ、子どものころから棚や椅子などの工作が好きだったので、「なんか楽しそう」と勢いで自主施工することにした。
動画サイトで見様見真似の独学
保科さんは元水田をブドウ畑にすることにした。泥土で水はけが悪く、土地が低いので、そのままハウスを建てると水が溜まりやすい。そこで山土を客土するところから始めた。
「バックホーの免許もこのとき取りました」
客土した山土の整地・転圧がすんだら、いよいよ雨よけハウスを建てる。根っからのDIY好きとはいえ、ハウスを建てるのは初めて。YouTubeでパイプハウスの建て方を紹介している動画を見漁り、どうやって建てるのか、必要な部材はどんなものがあり、どのぐらいの量必要なのか学び、農業資材店やホームセンターに発注した。その間なんと1週間。驚きの行動力だ。
「こんなのブロック玩具の『レゴ』みたいなもんですよ。部材を組み合わせて作るんで誰にでもできます」
パイプの深さも自分で決められる
業者に頼んで雨よけハウスを建てる場合、強風でハウスが持ち上がらないようにパイプを30cmほど埋め込むのがふつうだ。でも、保科さんの畑は冬に激しい強風が吹き、雨よけのビニールをはがしても風害が怖い。そこで、もっと頑丈に作りたいと、パイプを50~75cm打ち込んで建てることにした。
まず、ハウスの一番端にあたる部分に直管パイプ(柱)をパイプ打ち込み器で地面に打ち込む。このパイプを基準に、2m間隔で直管パイプをどんどん打っていく。
「この打ち込み器も作ったんです。ガンガン使いまくったので、パイプが当たるキャップ部分に穴があいてきちゃいました」
パイプを打ち込んだら、隣のパイプと打った深さが合っているかレーザー式水平器で確認。パイプにマジックで目印をつけて、高さが揃うまで打ち込む――という作業をひたすら繰り返す。
「水糸張って目印の深さまでパイプを打てばええですけど、糸にたるみが出てうまくいかなかったんです。それでひたすらレーザーで高さを合わせていました」
1棟2週間、4分の1の値段で建つ
柱となる直管パイプを立てたら、あとはひたすらアーチパイプや筋交いなどをジョイントで固定していく。自主施工なら筋交いを……
この記事の続きは『現代農業』2026年11月号をご覧ください。
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