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勉強嫌いの私が、自分から学べるようになった

佐賀・山田浩史

筆者(37歳)。アスパラ18aの他、ブロッコリーやタマネギ、トウモロコシやカボチャを計約1ha栽培

兼業農家を目指し農業大学校へ

 私が両親の農業を手伝い始めたのは18年前、高校生の頃です。実家は米麦大豆を栽培する兼業農家でした。勉強が嫌いで、大学には行かず、就職して自分も兼業農家になるつもりでした。どうやったら兼業農家になれるかと考え、農業をしながら働けそうな職種を探していました。

 しかし、結局は就職せず、農業をイチから学ぶために佐賀県立農業大学校に進学。米麦の栽培やトラクタなど農業機械の操作を学んで、実家の手伝いに活かそうと考えたのです。

 入学した当初こそ、毎日の授業と実習についていくのに必死でしたが、農業大学校では、確かに家の農業に活かせそうなことをたくさん学べました。

 例えば病害虫についても、わが家では毎年同じ農薬を散布するだけだったので、殺虫剤や殺菌剤の種類や形状が、とてもたくさんあることに驚きました。

 実習で乗った乗用管理機にも衝撃を受けました。わが家で農薬散布といえば背負式の動力散布機でしたから、機械に乗ったまま、一人で防除作業ができることに感動しました。これなら母を休ませてあげられると思ったのです。

 慣行施肥、緩効性+穂肥、一発肥の3パターンで水稲の生育を比較したり、直売所の消費者動向を調査したり、論文のテーマも就農を念頭に選びました。

農協の職員になる

 卒業後に就職したのは、地元の農協です。米麦大豆の販売担当になりましたが、農業大学校で学んだつもりの知識が、農家相手になかなか通用しないことにまずショックを受けました。

 例えば農薬の種類や形状について知っていても、聞かれるのは希釈倍率の計算や混用の良し悪しなど。知らずに答えれば「間違っていたらどうすんの!」と怒られるばかり。農業は現場で学ぶことがいかに大事か、そのことを痛感した農協職員時代でした。

 しかし腰痛の悪化もあって農協を辞め、営業職や工場勤務など職を転々。農大で学んだことを生かせなくなるばかりか、仕事が忙しくて、実家の田畑からも足が遠のいていきました。

 そして実家は地域で立ち上げた集落営農に入り、収穫も共同作業となり、規模拡大や変化を目指すよりも、現状維持が一番となっていきました。

父が倒れ、アスパラ農家になる

 ところが6年前に、父が病気になりました。前立腺のガンでした。闘病もむなしく、力が入らなくなったと嘆く父。母だけで農業を続ければ体が持たないと思い、私は仕事を辞め、専業農家になる決意をしました。

 古巣の農協や普及センター、市役所に相談し、選んだのはアスパラガスです。アスパラを栽培する父の知人の元で研修させてもらい、収穫や選果、立茎のやり方など、一通りの技術を教えてもらいました。

 農業についてまた学び直す必要を感じた私は、『現代農業』を定期購読することにしました。『現代農業』には比較的アスパラの記事が多く、立茎が翌年の収量を左右することや、夏の病害虫を防いで光合成量を確保すること、pHメーターやECメーターの使い方も本誌で学びました。

左からECメーター、pHメーター、pH・温度計

病害虫の特定にカラー写真

 過去のバックナンバーも読みたい、ハウスや畑でも手軽に記事を読みたいと考えていた折に出会ったのが「ルーラル電子図書館」です。

 これは大変便利でした。例えば病害虫の特定。いち早く見つけるのは妻です。彼女は虫を探し出す能力が長けていて、見つけるとスマホで写真を撮って教えてくれます。私が知らない害虫の場合は、ルーラルの検索機能で探し、カラー写真を見て特定するわけです。カラー写真というのがポイントです。農協からもらう資料や、書籍の写真は残念ながら白黒が多く(農文協の本も!)、目が悪い私には判別がつきにくく、農薬散布をためらってしまうこともありました。成虫の写真しかなく、幼虫段階だと判断できないことも。病気なんて、よほど特徴のある病斑でなければ、白黒写真で判別するなどできません。

 その点、ルーラルは豊富なカラー写真で、さまざまな成長段階に応じた害虫の姿や、初発時や多発時の病気の様子を見ることができます。対応策や使える農薬もすぐ調べられるので、とても便利です。

 近年は猛暑で、アスパラでは特に夏の管理が翌年の収量に響いてしまいます。そこで最近は苦土石灰と酢で「酢酸カルシウム」を作り、積極的に散布しています。『現代農業』のバックナンバーを見てつくり始めたのですが、病気の予防に効いています。左ページの写真、7月中旬にしてはいい若茎だと思いませんか?

7月中旬の若茎

新たな繋がり、学びの入り口に

 雑誌やルーラルで知識を得るのはとても大事ですが、農業は人から学ぶことも大切です。農協や普及所センターの職員だけでなく、ルーラルや『現代農業』で知った肥料メーカー、種苗メーカーに直接電話して、いろいろ相談できるようになりました。「『現代農業』で見た」といえば、すぐ相談に乗ってくれます。

 アスパラでいえばパイオニアエコサイエンスだとかアグリ技研だとか。最近は日本有機農業普及協会で「BLOF理論」を学び、ミネラル優先の少チッソ栽培で病気を抑えようと取り組んでいます。水稲ではファイトクロームともお付き合いがあります。いずれも『現代農業』の記事や広告で知ったメーカーです。

 全国のアスパラを見ている担当者から学ぶことも多く、土壌分析もちゃんとやるようになりました。もっとも、最近はコロナの影響もあって直接会えず、ZOOMでやりとり、ということも多いのですが。

年会費の元を取るまで学ぶ

 人から学んだ内容も、ルーラルで確認したり、復習したりできます。気になる記事は、プリントして家族と共有することもできます。

 面白い動画もあって、例えば最近では、ネギの穴底植えに興味を持ちました。これがうまくいくなら、つまり土寄せがいらないなら、けっこう大面積をこなせるかもしれない。そう思い、来年挑戦してみるつもりです。

 大事なのは、勉強嫌いだったはずの私が、「積極的に学ぼう」「自分から学んだ」という気持ちになれたことです。妻からは、年会費の元を取るくらい学んで欲しいといわれています。ルーラル電子図書館をフル活用して、楽しく、アスパラを中心に、しっかり稼ぎたいと思います(ちなみに、父は手術が成功し、今も元気です)。

(佐賀市)

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*月刊『現代農業』2021年9月号(原題:農業が面白くなるルーラル電子図書館(7)勉強嫌いの私が、自分から学べるようになった)より。情報は掲載時のものです。