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自分で火を焚き、煮炊きする。ウッドガスストーブでガス代1000円生活

山梨県・俵 裕子

筆者のウッドガスストーブ。ご飯を炊くところ

 二年前の師走、縁あって、八ヶ岳南麓に移り住みました。それまではずっと焚き火禁止の都市部に住んでいました。3・11を経てエネルギーを少しでも自給したいという思いが強まり、まず、暖房に薪ストーブを取り入れ、まもなく、モミガラでご飯を炊けるヌカ釜を購入。木の枝や廃材で煮炊きができるロケットストーブも自作し、使い始めました。

火の扱えない都会人だった

 私はアウトドア好きでもなければ、キャンプ経験もありません。火もろくに扱えない元都会人。ボタンひとつで着火する今までの道具と違い、当然扱いに手こずりまして、なにをするにも、それまでより三〇分から一時間多く時間がかかりました。それでも、火を焚くスキルを身につけたくて、毎日毎日、ロケットストーブやヌカ釜を使って、なにかしら直火の調理をしました。

 それは、働いてお金を稼ぐことと同等か、もしかするとそれ以上の「本当の生活力」につながるものだと思ったからです。

 火を見るのも好きでした。相当に、好きだったんだと気がつきました。疲れて帰って来てもわざわざ火で煮炊きすることも多いです。そのほうが疲れがとれる気がするほどです。

私が愛用する道具。左からヌカ釜、ロケットストーブ、ウッドガスストーブ2 個

氷点下の朝にお湯が沸いた!

 一年間ほぼ毎日、木の枝やモミガラの火で煮炊きをする生活をしたあとに出会ったのが、ウッドガスストーブです。なにやらコンパクトで燃焼効率もよいと聞いて興味津々、「もう十分〈焚き火モノ〉はあるのに?」と家族は呆れ顔でしたが、いそいそと情報を集め(『現代農業』二〇一三年十二月号が虎の巻です)、材料を集め、またもや新たな〈焚き火モノ〉を作ってしまいました。

 凍てつく氷点下の冬の朝、初の燃焼実験をすると、ボウル一杯分のマツボックリであっさりとお湯が沸き、「便利!」と大感激しました。

 ウッドガスストーブは、ちょっとお茶、ちょっとご飯というときに比較的早く調理できて便利です。移動もラク、燃料集めの負担も少なくて済みます。パスタもゆでられますし、カレーも煮込めます。仕事場が自宅で、時間の都合がつけやすいこともあって、ウッドガスストーブでの調理は毎日の暮らしにすっかり溶け込み、いまや毎月のガス代は月一〇〇〇円ちょっとです。

初心者もムリなく作れる

 正直にいうと、私はまだ火の扱いがヘタです。火を焚くという重要なスキルを取り戻している最中の初心者です。でも、もしかして、同じような焚き火初心者の方には共感してもらえたり、お伝えできることもあるかもしれないと、ブログで作り方を紹介したり、僭越ながらワークショップを開いたりもしています。

 私のウッドガスストーブはラフなつくりで、缶の内側にできる鋭利な切り口もそのままです。いろいろ試してみましたが、結局、当初の形で落ち着きました。工作のハードルを下げ、誰でもムリなく作れるようにするには、道具や工程をなるべく減らしたほうがいいからです。火を焚くには、これで十分使えますから。

 ワークショップでは、参加者の方からアイデアをいただくこともあります。先日も、参加者からの提案で内缶の穴の数を増やしたところ、さらに火がつきやすくなりました。相当大きな鍋でも調理できるとのことで、土鍋でご飯を炊いている写真をメールで送ってくださった方もいます。

 私は茹でる・煮込む・炊くという使い方しかしていませんが「自家製ソーセージを焼いた」「魚をあぶった」という声もいただきました。

 また、途中から炭を放り込んでおけば、長い間トロ火状態で放っておけて便利だそうです。その方は一日中お茶を保温して楽しんでおられるとのこと。

 まだまだ、もっといい形、便利な使い方がありそうです。

火が危険なのではなく……

 自分の手で作った装置で、自分の足で集めた燃料で、その日のご飯が炊けたとき、私はなんだかとても安心しました。火を焚くことが敬遠されることも多い時代です。でも、火が危険なのではなく、火を扱えない大人が増えることのほうが危険だと私は感じます。

 エネルギーを自分で作り出す楽しさ、誇らしさ。この小さな缶工作から、広がっていくといいなと思います。
(山梨県北杜市)

★たったこれだけの燃料で、カレーライス完成!

ウッドガスストーブで、ご飯1 合(2人分)と、カレー(4 ~ 5皿分)を作ってみました

<着火のしかた>

まずマツボックリを缶の中に入れ、マツバやスギの葉で着火。ようすを見ながら、隙間から小枝を足していく

<ご飯の炊き方>

火加減は調節できないので、水が沸騰したら中をときどき見て、いい感じに水分がとぶまで炊き続ける(約20 分)。
慣れれば、音や香りでわかります。その後、火から下ろして10 分蒸らせば絶品ご飯のできあがり(「赤子泣いてもフタとるな」と言いますが、蒸らしまではとっても大丈夫)


*月刊『現代農業』2014年12月号(原題「女子とて焚き火好き ウッドガスストーブでガス代一〇〇〇円生活」)より。情報は掲載時のものです。

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