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【ヨトウムシ対策】イネ科の後の葉物なら、ハスモンヨトウの被害が出ない

ヨトウ

近年、よく見る害虫といえば、ヨトウムシ類。

「防虫ネットを張ったのに、葉物が全滅――」。就農後初めての深刻なハスモンヨトウ被害に直面した筆者は、原因を徹底的に検証。失敗から見えてきた、ハスモンヨトウ対策の実践を紹介します。

執筆者:小島直子(埼玉県飯能市)

『現代農業』2026年6月号「イネ科の後の葉物なら、ハスモンヨトウの被害が出ない」より

就農して初めての壊滅的被害

 2024年、例年通りに土づくりをして秋冬葉物を播きました。アブラナ科は前年に続き2年目でした。夏にダイズ緑肥を育て、8月に粉砕して耕耘し、9月中旬から順次タネを播き、防虫ネットを設置しました。

 どのウネも無事発芽しましたが、10月にほとんどの芽がハスモンヨトウの幼虫に食べられて消えていました。植えたばかりのブロッコリーやケールなども食べられてしまい、ほぼ全滅の状況に呆然……。就農して初めての被害を受け、改めてハスモンヨトウの生態を調べてみました。

1.寒さに弱く越冬しない

2.イネ科以外のほとんどの草を食べる

3.卵塊には、100~300粒もの卵がある

ヨトウ
ハスモンヨトウに食べられたブロッコリー

 24年の1、2月は気候が温暖でした。私は以前、ハクサイや山東菜の中で越冬するハスモンヨトウの幼虫を見たことがあります。被害を受けた畑でも、前年アブラナ科を育てており、越冬しやすかったのだと思います。また、冬にはこのアブラナ科に加えてクローバもあり、夏にはダイズ緑肥を栽培していたため、2の生態をふまえると、増殖のためのエサがたっぷりとありました。

筆者。5人家族で無肥料自然栽培に取り組む
筆者。5人家族で無肥料自然栽培に取り組む

もともと幼虫がいた?

 食害された野菜のうち、苗を植えたケールやブロッコリーを見ると、ハスモンヨトウの幼虫がいました。20mのウネ全体に広がっていて、3、4齢の幼虫が多かったので、外からネットの中に卵を産み付けられたのではなく、もともと幼虫がいたところにネットを掛けてしまったのだと思いました。すぐ取り除きましたが、数日後に行くとまたたくさんいて、結局ケールとブロッコリーは芯だけになってしまいました。

 コマツナ、カブ、山東菜など、小さいタネを直播したものは、いつのまにか全部消えていました。あとで防虫ネットを外したときに、終齢幼虫サイズのハスモンヨトウがたくさんいて、この子たちが食べてしまったのだと思いました。

 タネ播き前の耕耘をした9月15日はかなり草が伸びた状態でした。そこで無理やり耕耘してすぐタネを播いたのも、よくなかったかもしれません。たくさん残っていた幼虫を、ネットで覆ってしまったようです。というのも、この日に耕したけれどタネ播きせず、9月21日に再度耕耘してから播いたダイコンとホウレンソウが、わりと食害されずよく残っていたからです。

ハスモンヨトウの幼虫に食べつくされ、雑草すら残っていないウネ。10月にタネを播き直したところ(防虫ネットの中のようす)
ハスモンヨトウの幼虫に食べつくされ、雑草すら残っていないウネ。10月にタネを播き直したところ(防虫ネットの中のようす)
2024年のハスモンヨトウ被害 3つの原因

1.秋冬葉物の連作でハスモンヨトウが越冬しやすかった

2.夏のダイズ緑肥で繁殖させてしまった

3.播種前に草が多く、幼虫がいる状態で播種してしまった

前の冬が小麦だった畑は無事

 そんな中、キャベツとハクサイ、レタスの苗を定植した畑は、大きな被害を受けませんでした。ここでも定植後しばらくして、やはりハスモンヨトウが食害を始めました。幼虫の量が少なく、苗も大きかったので捕殺することで被害を食い止めることができました。出荷できる野菜があって本当に助かりました。

 この畑では、前の冬はタマネギと小麦を栽培していました。イネ科の小麦はハスモンヨトウが食べないので、繁殖、越冬しなかったのだと思います。夏にはダイズ(一部が緑肥)を栽培していた場所がありますが、その後作でも大きな被害は受けませんでした。

冬・夏とイネ科を育てる

 24年の被害と考察を踏まえ、昨年の葉物では以下を実施しました。

1.葉物をつくるときは、冬にイネ科の小麦を栽培した畑を使う

2.葉物前の夏も、ダイズではなくイネ科のソルゴーを緑肥として栽培する

9月3日、畑のソルゴー残渣。ソルゴーは6月21日に播種し、8月13日にモアで粉砕。8月22日、9月2日の2回、浅く耕耘した
9月3日、畑のソルゴー残渣。ソルゴーは6月21日に播種し、8月13日にモアで粉砕。8月22日、9月2日の2回、浅く耕耘した

 対策が見事に効果を発揮して、25年はネットの中に入り込んだハスモンヨトウの幼虫は皆無でした。

 防虫ネットなしで9月16日に播いたのらぼう菜は、隣接する畑で24年にハスモンヨトウが大発生していたにもかかわらず、虫害がほとんどありませんでした。

11月4日、防虫ネットをしなかったのらぼう菜(9月24日播種)。食害を受けず育っている。25年の葉物は9月上旬から下旬にかけて播種・定植した
11月4日、防虫ネットをしなかったのらぼう菜(9月24日播種)。食害を受けず育っている。25年の葉物は9月上旬から下旬にかけて播種・定植した

栽培中の産み付けにも注意

 冬と夏のイネ科でタネ播き直後のハスモンヨトウの被害は軽減できますが、いくつか注意点もあります。

 まず、防虫ネットを外したときに卵を産み付けられること。直播のハクサイや山東菜は途中ネットを外して間引くのですが……

この続きは『現代農業』2026年6月号または「ルーラル電子図書館」でご覧ください。

『現代農業』2026年6月号の巻頭特集「今だから知りたい 温暖化と虫の話」ヨトウムシ類コーナーには、以下の記事も掲載されています。

◆ヨトウムシ類

・ハスモンヨトウとシロイチモジヨトウにこっぴどくやられて考えてみた 豊嶋和人

・シロイチモジヨトウ大発生はなぜ?

・ヨトウムシ類大発生 四つのメカニズム 澁谷耕平

・不思議! ヨーグルトでハスモンヨトウがいなくなった(鹿児島・上野紀男さん)

・腐熟しかけの雑草堆肥に誘引 作物には寄せ付けない 高内実

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現代農業 2026年6月号

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