試し読み 果樹 品種 2026年 2月号 栽培のコツ 【失敗しないアボカド品種の選び方】露地でアボカド19品種に挑戦中 いちばん好きなのは「ピンカートン」 2026-01-22 近年、国産アボカドへの注目が高まり、全国各地で栽培に挑戦する人が増えています。しかし、「どの品種を選べばよいのか」「安定して実をならせるには」と悩む声も少なくありません。そこで今回は、静岡県で19品種のアボカドを栽培する内田勉さんに、おすすめの品種や結実率を高めるための工夫などについてご紹介いただきました。 執筆者:内田 勉(静岡市清水区) 『現代農業』2026年2月号「露地でアボカド19品種に挑戦中」より 魅力あるまちづくりを目指して 私が住むのは、駿河湾に面した三保半島。温暖な気候と水はけのよい砂地を活かして、昔から農業が盛んな地域です。しかし近年は、空いた農地と使われなくなったガラスハウスが目立つようになりました。 60歳になったら地域のために何かできないかと考えていた私は、その年齢を迎えた2020年、父から受け継いだ会社を兄に託し、農業に挑戦することにしました。これから就農を志す人たちが「農業するなら三保半島」と、この地域に根付いてもらえるような魅力あるまちづくりを目指してのことです。 筆者(65歳)。ひょうたん型でかわいい「ピンカートン」の果実とともに アボカド向きの条件だった ワクワクする作目として選んだのは、アボカド、バニラ、パッションフルーツ、サトウキビ。なかでもアボカドは、次の理由で導入を決めました。 ・地球温暖化の影響で、幼少の頃に比べて暑い日が増えた(アボカドは寒さに弱い・砂地で水はけがよい(アボカドは停滞水が嫌い)・農地にはコンクリート製の枠でできたベッド(下)があり、根域制限栽培ができる(アボカドは樹が大きくなりやすい) 冬場の露地の園地。年に5日ほど氷点下になるので、寒冷紗を使った寒さ対策は必須(26年は樹上にも展張予定)。樹はコンクリート製のベッド(幅90cm、長さ14m、深さ50cm)に植えてある 条件的に向いているし、なにより自分で育てて食べてみたい。そう考え、同年11月、知人の口添えで紹介された農地とガラスハウスを借り、アボカドの苗も約120本(19品種)購入しました。 気になる品種の苗を優先して購入 品種選びでは、カタログの紹介文から気になるものを優先しました。着目したのは、耐寒性の高さ、つくりやすさ、食味のよさなど。そのうえで、地域に合う品種が何かを調べたかったのと、一つの品種でも苗によって個体差があるのではないかと思い、それぞれ複数本購入しました。 たとえば、マイナス4℃まで耐えられ、国産アボカドでメジャーな「フェルテ」は17本、フェルテよりも耐寒性は低いものの食味濃厚で大玉になりやすい「ピンカートン」は10本。なお、最も耐寒性が高い「メキシコーラ」「メキシコーラグランデ」は5、6本にしました。比較的小玉とあり、商業的には難しいかなと考えたためです。 初なりの味は忘れられない 21年5月、購入した苗から生育のよいものを選抜し、60本を露地に定植。残りはガラスハウスに残してポット栽培をすることにしました。同年の暮れには、露地に先んじてハウスのピンカートンが果実をつけました。 自分で育てたアボカドを食べた瞬間の感動は今でも忘れられません。「森のバター」といわれる、濃厚で上品な味わい。それまで購入していた輸入物の「ハス」にはないとろけるような舌ざわりに、これが本物のアボカドだと感じました。以来、ピンカートンは思い入れの強い品種です。 1玉1000円以上で売れた 前後しますが、栽培にあたっては果樹に明るい庭師の友人からいろいろとアドバイスをいただきながら取り組みました。露地では、結実率を上げるために開花タイプ(下)の違う品種を1列ずつ交互に定植したり、収穫しやすいように樹の先端を止めて樹高を低く保ったり……。冬場の寒さ対策(3枚目の写真)なども工夫しつつ、22、23年は極力樹を育てるのに努めました。 アボカドの開花習性と、19品種の内訳 アボカドの花は、めしべが数時間活動したのち、いったん閉じてから翌日に再び開き、おしべが活動する。品種は、めしべとおしべの活動時間帯が異なる2タイプ(A、B)があり、混植すると着果が安定する。▼Aタイプメキシコーラ、メキシコーラグランデ、ウインターメキシカン、ピンカートン、ハス、リード、シャッタウアー、チョケテ、セルパ、ポペーノ、シモンズ▼Bタイプベーコン、フェルテ、エッティンガー、ズタノ、カハルー、モンロー、ミゲル、ロレッタ そうして24年の開花期(3月下旬~4月上旬)には、露地のほとんどの樹に花が咲きました。ハチなどの訪花昆虫が集まるよう、事前に樹間へ金魚草、ルピナス、アリッサムなどを植えていたことも奏功し、その年は9品種、合計約200個の果実が収穫できました。 果実は、栽培を手伝ってくれた仲間とともに食べたり、知人のシェフにお店で使ってもらえるようにサンプルとして渡したりしました。マルシェでは1g5円で量り売りしたところ、1000円以上で売れた果実もありました。* 25年度からは、静岡県がスタートアップ事業として始めた「しずおかアボカド産地化プロジェクト」の取り組みに協力させていただくことになりました。5月に開催されたフォーラムには120人の定員を超える申し込みが県内外からあったそうで、国産アボカドに対する関心の高さに驚きました。 *苗木の購入についての問い合わせ先は、2026年2月号をご覧ください 2026年2月号「アボカド品種選び」コーナーには、以下の記事も掲載されています。本誌または「ルーラル電子図書館」でぜひご覧ください。幸せアボカドライフのための品種選び 東愛理 ルーラル電子図書館は、年額制の有料会員向けサービスです。 ルーラル電子図書館の会員になると… 『現代農業』の最新号が電子書籍ですぐ読める 便利な検索機能で、『現代農業』の過去の記事が読み放題 動画で農機具のメンテや栽培のコツを分かりやすく解説 豊富な写真から、園地で病害虫をサッと特定、 登録農薬もすぐわかる ルーラル電子図書館についてもっと詳しく見る 現代農業 2026年2月号特集:続・品種と播き時 本気で見直すしかない 激夏をかわす新作型定価1,100円 (税込) 2月号を注文する 定期購読する Tags: アボカド