栽培のコツ 試し読み 肥料・土づくり Q&A もっと知りたい菌根菌 2026-01-27 2026年1〜3月に『現代農業』の執筆陣を講師にむかえ、連続セミナー「いま注目の菌根菌とその仲間たち」を開催します。このセミナーの第1回目の講師である、酪農学園大学の小八重善裕さんに執筆いただいた現代農業2024年10月号の記事「Q&A もっと知りたい菌根菌」を一部公開いたします。セミナーの詳細はこちらから。 執筆者:小八重善裕(酪農学園大学) 『現代農業』2024年10月号 「Q&A もっと知りたい菌根菌」より 酪農学園大学の小八重と申します。大学では、作物栄養学の授業をしていますが、土と微生物のことばかり教えています。菌根菌の研究を始めたのは、2008年です。菌根菌は、長い植物との共生の歴史があって、植物の栄養にもいい働きをしていて、世界中どこにでもいるのですが、植物の研究分野でも、それを知っている人はひと握り。なんでこんなにすごいのに注目されないのか、不思議に思ったのがきっかけです。 筆者 Q 菌根菌ってどんな菌? いつ地球に現われた? A 植物の祖先が陸上に上がった4億5000万年前から共生。 菌根菌は、肉眼ではほとんど見えないのですが、根に感染してその中にびっしり菌糸がはびこり、根から土壌にむけて20cmくらい菌糸を伸ばしています。カビ(糸状菌)なので、もちろん植物にとっては異物のはずなのですが、菌糸が根の細胞の中にまで難なく入り込み、樹枝状体(アーバスキュール)と呼ばれる細かく枝分かれした構造をつくって、そこで養分の交換をしています。菌根菌は植物から光合成産物(糖や脂質)をもらい、植物は菌根菌からリン酸などの養分をもらっています。 菌根菌が植物と共生を始めたのは、植物の祖先であるコケが陸上に上がった4億5000万年以上前といわれています。コケには根がありません。土ができる前のやせた土地に、どうやって這い上がることができたのか? 今では植物は根で養分を吸収するというのが常識ですが、本当は、植物が根を持つようになる3億5000万年前よりずっと以前から、菌根菌との共生は続いていて、植物は土壌から効率よく養分を吸収できていたと思われます。 植物の祖先であるコケが陸上に上がった4億5000万年以上前から、菌根菌が共生していた。植物が自前の根を進化させるまでの1億年ほどの間、菌根菌が根の役割を果たしてきた Q 菌根菌にもいろいろな種類がいるって聞いたけど? A 畑によくいるアーバスキュラー菌根菌だけでも、200種類以上。 菌根菌は、文字通り、根に感染する菌です。根は根でも、生きた根に感染しています。そのような菌には、ランやツツジによく感染する仲間、木の根によく感染する仲間などがありますが、もっとも普遍的にみられるのは、アーバスキュラー菌根菌(AM菌)と呼ばれる仲間です。AM菌はほとんどの植物の根に感染しています。AM菌には200種類以上がいるといわれています。 アーバスキュラー菌根菌の樹枝状体。根の細胞内に入り込んで、養分のやりとりをする(写真提供:千徳毅) Q どういう土の中にいるの? A 畑はもちろん、イネ刈り後の水田にもいる。 菌根菌は、植物がいれば必ずいます。AM菌はアブラナ科やヒユ科、タデ科などの植物の根とはあまり共生しませんが、それら以外の植物の根には、必ず共生しています。畑はもちろん、水田でも湛水時にはいませんが、収穫後の刈り株(ひこばえ)や、生えてきた雑草にはすぐに感染します。 そして感染した枯死根や、そこで伸びた菌糸や胞子などが、感染源として土に残ります。アブラナや、ソバのような非宿主作物ばかりを栽培していると…… この続きは『現代農業』2026年2月号または「ルーラル電子図書館」でご覧ください。 好評いただいた「耕さない農業」「有機稲作」の連続セミナーに続く第3シリーズとして、施肥に頼らなくとも作物が育つ仕組みに迫ります。そこには菌根菌、糸状菌、チッソ固定細菌など、数億年も昔から植物の根と共生し、協力し合って生きてきた微生物の偉大な働きが。究極の低コスト農業への道を展望します。セミナーの詳細はこちらから。 Tags: 菌根菌