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あああ

【へのじいの今さら聞けないイネ講座】講座① イネの一生って?

2025年は、農家も消費者も、世間のみんなが米に大注目の年でした。「田んぼにも足が向くようになってきた」という農家の話も。激夏、異常気象で難しい時代ですが、今こそイネを、学び直すチャンスです。2026年1月号の巻頭特集「高温時代の米つくり超きほんのき」より、稲作ベテランの「へのじい」と稲作ビギナーの「への次郎」のやりとりによる「イネ講座」の一部をご紹介します。

へのじい
へのじいとへの次郎(2026年1月号 「講座① イネの一生て?」より)

『現代農業』2026年1月号 「講座① イネの一生って?」より

生育ステージが二つある

への次郎:『現代農業』2026年1月号44pに掲載されている新潟県長岡市の農業法人・ホープイン中沢は、植え付け本数を減らして、元肥も減らしちゃったら、穂が減って収量も減る気がする。どうして同じくらいとれるんだろう。はなはだ不思議だ。

へのじい:孫よ。ぜんぜんイネのことをわかっとらんのう。いい機会じゃ。わしがイチから教えてやるぞ。まず最初に、イネの一生を見てみようか。イネの生長は育苗期、分けつ期、幼穂発育期、登熟期と大きく四つに分かれとる。より大きくは、前半二つが栄養生長期、後半二つが生殖生長期に分けられるんじゃ。

次郎:聞いたことがあるぞ。栄養生長ってのは、実とかタネとかじゃなくて、葉っぱとか根っことかの体を大きくする時期だよね。

じい:そうじゃ。イネの場合、この二つの時期がカチッと切り替わるのが特徴じゃな。生育後半は子孫づくりに集中するようになって、栄養を全力で穂に送るんじゃ。トマトとかキュウリなど、茎を伸ばしつつ実をつける作物とはだいぶ違うのう。

次郎:へぇ~。そんなふうに考えたことはなかったよ。

じい:最初に登熟のための土台となる茎や葉をつくって、その土台の上で穂をつくる。このバランスがカッチリはまると、一粒のモミから一万粒の米がとれる、「一粒万倍」という潜在能力が活きてくるんじゃ。

分けつ、過繁茂にはご注意

じい:とはいえ、その前半、後半のバランスはとっても難しい。とくに問題になりやすいのが、栄養生長期の茎の増え方じゃ。下の図のように、栽培の違いでガラリと変わる。

次郎:えーっと、ズンドウ型、開張型、中間型か。いろんな育ち方のコースがあるんだね。茎の数は、分けつっていうわき芽みたいなので増えるんだよね(下の図)。

第1葉の脇から発生する茎を1号分けつ、第2葉からの茎を2号分けつと呼ぶ。分けつから出る分けつもあり、ネズミ算式にどんどん増える

次郎:あれれ、ズンドウ型はせっかくいっぱい増えた茎の数が途中から急に減ってるね。どういうこと? 茎をわざわざ間引いてるの?

じい:んなわけあるかい。これは、増えすぎた茎が穂になれず消滅してしまっている分じゃ。茎が増えすぎると、太陽の光が下のほうまで届かなくなったり、根っこからの栄養が足りなくなったりして、茎を維持できなくなる。この現象を過繁茂といって、穂にならず消えていく茎を無効分けつと呼ぶんじゃよ。

次郎:そうか。むやみやたらに増やしても、ムダになっちゃうんだね。

じい:残った有効茎も細いのばかりで、登熟する力も弱く、生殖生長期にも問題が出やすいんじゃ。

高温時代は最初控えめで

次郎:そういや「ホープイン中沢」のイネは、どのコースなのかな。

じい:もともとは、周りと同じようなつくり方だったというし、ズンドウ型に近かったんじゃろうな。それが、元肥を減らし追肥に力を入れるようになって、穂数型や太茎・大穂型に近づいたんじゃと思う。

次郎:ふーん。じゃあ、周りの農家はズンドウ型の人が多いってこと?
ムダが多いって聞いたばかりだけど、どうしてそうするんだろう。

じい:この問題は根が深くてのう。各地の栽培マニュアルは穂数型などをイメージしとるようじゃが、農家としては初期生育がいいほど安心じゃから、植え付け本数や元肥を多くしがちになるんじゃ。

次郎:うん。人情ってやつだね。

じい:それに、今は夏だけじゃなく春の気温も上がっとるじゃろ。初期に地力がたくさん出たり、生育が進みやすくなったりってことも起こりやすいんじゃ。野菜と違って過繁茂イネを間引くなんてやれっこないじゃろ。最初はやっぱり控えめにするのがおススメじゃ。そこで、元肥や植え付け本数が肝心になるんじゃ。

2026年1月号「へのじいの今さら聞けないイネ講座」には、以下の講座(記事)も掲載されています。ぜひ本誌または「ルーラル電子図書館」でご覧ください。

  • 講座② 元肥をどうする?
  • 講座③ 植え付け本数をどうする?
  • 講座④ 水管理をどうする?
  • 講座⑤ いよいよ追肥だ!

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現代農業 2026年1月号

特集:高温時代の米つくり 超きほんのき

定価
1,100円 (税込)