取材対象者:松村暁生さん(長野県安曇野市)。6.3haでリンゴ、モモ、ナシ、ブルーベリーなどを栽培
『現代農業』2026年1月号 「つるちゃんが見に来た!植物ホルモンに満ち満ちた果樹のせん定 リンゴ編」より
つるちゃんが道法スタイルと出合う
この冬もまた、長野の松村さんのリンゴ樹のせん定を紹介する。2024年4月号、25年3月号に続き、3年連続である。「あー、性懲りもなく、また同じ樹の記事か」と思うなかれ。今回はわざわざ福岡から、あの農系ユーチューバー、つるちゃんが松村さんの「道法スタイル」の樹を見てみたい、とやってきたのだ。
つるちゃんといえば、2024年、農文協から『超わかりやすい つるちゃんの 果樹のせん定完全攻略』を発行したばかり。その本の中でも、ジベレリン、サイトカイニン、オーキシンと、せん定に関係する三つの植物ホルモンの役割を紹介しているのだが、「植物ホルモンを万能なものであるように過信することに対しては、筆者は慎重派の立場です」とも書いている(同書p68)。
そのつるちゃんが、植物ホルモンを120%生かす道法スタイルでのせん定を9年間続けているリンゴの樹と出合う。どんな化学反応が起こるのか? 編集部も興味津々で取材に向かったのである。
道法スタイル
広島県でレモンなどを栽培する道法正徳さんが提唱する栽培法。元気な立ち枝を生かすことで植物ホルモンの活性を高め、無肥料で作物を育てる
立ち枝からの発根ホルモンが起点
まずは、松村さんのせん定法をざっと振り返っておこう。最大の特徴は、慣行栽培で「樹形を乱す」「いい実がとれない」とされる徒長枝(立ち枝)を積極的に使い、落ち着いた枝とされる横枝や、弱い下枝を使わないこと。勢いの強い立ち枝からは、発根ホルモンであるオーキシンが盛んに生まれ、これが起点となり、新根からジベレリンやサイトカイニン、アブシシン酸、エチレンなどの植物ホルモンがじゃんじゃん生まれるからだ。
具体的なせん定の手順は、まず、①「粗せん定」で大枝を落とす。これにより、摘果や収穫などの作業スペースを確保したり、込み過ぎたところや、高く伸び過ぎた枝をはずす。次に、②「中せん定」で、成り枝や枝の先端を整える。最後に、③「仕上げせん定」で、成り枝にある弱い花芽を除いていく。ここでは、①の粗せん定中に交わされたつるちゃんと松村さんのやりとりを中心に紹介しよう。
樹形は自由に、元気な枝を使う
――前年の取材で切った大枝の切りあとを見ての会話。
記者(以下、き) 1年前、ここの大枝を切ったとき、斜めに残す切り方が独特だなと思いました(下の写真)。
松村(以下、ま) 真上が平らになるように切り口を残すと修復がうまくいかず枯れ込みやすいんです。カルス形成に必要なオーキシンは重力に従って枝の下側を流れて、上側にある切り口に届かないから。こうやって、片側を残しておくと、発芽を促すサイトカイニンやジベレリンが作用して枝が出やすいんです。で、新しく出た枝からオーキシンが供給されて、サイトカイニンと協力しながらカルスが巻く。それをねらってます。
つるちゃん(以下、つ) その枝が出てくる確証がなくて怖い感じがしちゃいますが。
ま まー、モモとかに比べれば、リンゴは枝が出やすい。ただ、もし枝が出てこずに枯れ込んで腐らん病にかかったとしても、その下まで下げればいい(下の写真)。ぼくらが意図しているのは、樹形を自由につくることなんです。元気な枝が出てきたら、それを使うというのが基本。主枝がこう出て、そこから亜主枝がこう出るというふうにカチッと決めない。型にはめないで考えたほうが、若くて元気な枝を揃えられる。古くなった枝はどんどん外したいんです。
つ なるほど、若い枝で勝負するけん、骨格さえも流動的にする、ということか……
この続きは『現代農業』2026年1月号または「ルーラル電子図書館」でご覧ください。
元の記事には、以下の見出しが含まれています。
- 慣行栽培はアクセルとブレーキの加減が難しい
- 外に伸びる枝を切って内向枝を残す!?
- 慣行栽培は中央集権型、道法スタイルは地方分権型
- 養分分配よりも植物ホルモンの総量増
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第1弾がこの「つるちゃんと松村さんのコラボ」取材。1000円ぽっきりで取材に同行、視察に行けるようなもの。ぜひ、お試しください。
サンプル動画をご覧いただけます↓
動画は農文協のオンラインショップ「田舎の本屋さん」から購入できます。
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