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【地球にやさしいケチケチ菜園 1】菌いっぱい、使い放題!光合成細菌を増やす

野菜作り大好き、光合成細菌の培養やおから堆肥、落ち葉培土の自作など、身近な廃材を徹底活用するアイデアマン・仁科浩美さんの新連載が、2026年1月号よりスタート! Webではその第1話を公開します。

この記事は、音声で聞けます→現代農業VOICE

菌液を持つ筆者。赤いほうは光合成細菌、白いほうは乳酸菌(写真はp39以外、編集部撮影)

執筆者:仁科浩美(岡山県高梁市)

『現代農業』2026年1月号 「菌いっぱい、使い放題!」より

根っからのケチ

 私は家庭菜園歴16年目。野菜づくりが大好きです。

 現在は週2日パートに出て、毎週日曜日に地元の直売所「やまびこ市場」やスーパーの産直コーナーで季節の野菜などを販売しています。主に出荷しているのはタマネギ、ジャガイモ、エンドウ、ソラマメ、イチゴ、ナス、ピーマン、キュウリ、ラッカセイ。他にキウイフルーツ、タマネギの苗、もち麦などです。あとは自宅用でブドウや冬野菜もつくっています。

 そんなわけで、とにかく忙しい。根っからのケチなので、低予算で簡単にできる「あるものでやる」をいつも考えています。

おからをもらって堆肥づくり

 特に「菌活」を意識していたわけではないのですが、薄上秀男先生の『発酵肥料で健康菜園』(農文協)を読んで、ボカシ肥料をつくってみようと思い、材料を集めだしました。ところが、本に書いてあった大豆粕が手に入りません。

 あきらめかけたのですが、おからならどうだろうと市内のお豆腐屋さんに電話をしました。訪ねると、たいへん喜んでくれたので、毎週おからをもらいに行くようになり、10年以上経ちます。今ではおから堆肥が主な肥料になっています。

「豆腐納豆液」で光合成細菌を培養

 『現代農業』を読んでいて、光合成細菌というものを知りました。ホームセンターやネットショップ、大学などから種菌を取り寄せて、粉ミルクなどをエサにして培養しようとしましたが、赤くならず、うまくいきません。やけになって、近くの溜め池で泥をとり、種菌培養中のペットボトルに入れたところ、何日かして底に赤いオリがたまっているのを見つけました。これは土着の光合成細菌では……。取り出したオリを改めて培養してみると、赤い液体になりました。その後、泥から光合成細菌を殖やすようになりました。

光合成細菌とは

田んぼやドブくさいところにいて、光合成をする微生物。空中のチッソを固定して、アミノ酸などをつくるため、作物の味をよくしたり土を肥沃にしたりする。菌液は赤くなる。

光合成細菌の殖やし方

①ペットボトルに溜め池の泥、水、付近の雑草を半分ほど入れ、豆腐納豆液(「豆腐納豆液のつくり方」参照)を上まで注いで、フタを閉める。

②日当たりのよい、暖かい場所に置く(32℃くらいがベスト)。

③液が赤くなったら、泥が入らないように別のペットボトルに移す。

*③は畑で使うだけでなく、種菌にもなる。豆腐納豆液を足せば、いくらでも拡大培養できる。

左から豆腐納豆液の原液、上澄み液、光合成細菌液
左から豆腐納豆液の原液、上澄み液、光合成細菌液

 ある日、テレビでハクサイの鍋に重曹を入れると豆腐が溶けておいしいというのを見て、これも培養に使えないかと考えました。また、『現代農業』には、光合成細菌は納豆菌と相性がいいと書いてあります。そこで、豆腐を液状にして納豆も追加。豆腐はタンパク質が豊富で、光合成細菌や納豆菌が殖えるのにちょうどいいはずです。「豆腐納豆液」と泥を混ぜると、真っ赤に! とてもうれしかったです。

エサとなる「豆腐納豆液」のつくり方

鍋に水(4L)を張り、豆腐(300g)を崩しながら入れる。豆腐は袋入りで、賞味期限切れを激安で買う。

①鍋に水(4L)を張り、豆腐(300g)を崩しながら入れる。豆腐は袋入りで、賞味期限切れを激安で買う。

2.鍋に水(4L)を張り、豆腐(300g)を崩しながら入れる。豆腐は袋入りで、賞味期限切れを激安で買う。
2.鍋に水(4L)を張り、豆腐(300g)を崩しながら入れる。豆腐は袋入りで、賞味期限切れを激安で買う。

②鍋に水(4L)を張り、豆腐(300g)を崩しながら入れる。豆腐は袋入りで、賞味期限切れを激安で買う。

冷めたらペットボトルに入れ替え、納豆パックを洗った水(納豆数粒でもOK)を加える。オリが沈殿したら、上澄み(豆腐納豆液)を別のペットボトルに移す。

③冷めたらペットボトルに入れ替え、納豆パックを洗った水(納豆数粒でもOK)を加える。オリが沈殿したら、上澄み(豆腐納豆液)を別のペットボトルに移す。

乳酸菌も酵母菌も

 毎日出るお米のとぎ汁で乳酸菌も培養しています。とぎ汁のほか、ヨーグルトや牛乳、豆乳などの容器を洗った液もペットボトルに溜めておき、いっぱいになる前に、カルシウム強化のため低脂肪乳と砂糖も加えます。白い液が分離したら、上澄みを使います。

台所に4Lのペットボトルを置いておき、米のとぎ汁と、ヨーグルトや牛乳、豆乳などの容器を洗った液を随時入れる。満杯になる前に低脂肪乳(写真)を足してカルシウム補給。砂糖も入れて発酵させる
台所に4Lのペットボトルを置いておき、米のとぎ汁と、ヨーグルトや牛乳、豆乳などの容器を洗った液を随時入れる。満杯になる前に低脂肪乳(写真)を足してカルシウム補給。砂糖も入れて発酵させる

 酵母菌も培養。ドライイーストと砂糖を少量、水に溶いてペットボトルに入れ、暖かい場所に置き、プクプクと発酵させます。

酵母菌 ドライイーストと砂糖を少量ずつ水に溶けば、プクプク発酵
ドライイーストと砂糖を少量ずつ水に溶けば、プクプク発酵

菌で畑がよくなる、作物が元気に

 三つの菌は作物や作業によって使い分けています。太陽熱処理( 2025年10月号p109)をするときは、いい菌を殖やす目的で3点セットを水に薄めてウネの表面にまきます。モミガラ堆肥、草堆肥、ボカシ肥料をつくるときは、発酵促進やチッソ補給、消臭などをねらって、光合成細菌を原液でかけます。

 イチゴやタマネギ、ブドウなどに光合成細菌と乳酸菌を水で薄めて散布すると、生長が進み、勢いが出ます。リン酸が効いているのか、ブドウは粒が大きくなります。冬野菜にはカルシウムなどのミネラルを補給するために、乳酸菌を水に薄めてまきます。

10Lのジョウロに水、光合成細菌(200mL)、乳酸菌(200mL)を入れ、タマネギ苗に散布。ウネは太陽熱処理してあり、ウネ間はモミガラを厚く敷き詰めて草抑え
10Lのジョウロに水、光合成細菌(200mL)、乳酸菌(200mL)を入れ、タマネギ苗に散布。ウネは太陽熱処理してあり、ウネ間はモミガラを厚く敷き詰めて草抑え

 薄上先生の本を読ませていただいて、人間も植物もいろいろな栄養素をバランスよく摂取することで健康でいられると考えるようになりました。菌を培養していて思うのですが、菌と材料にも相性があって、多様ないい菌が殖えて畑のバランスをとる手助けをしてくれているのではないでしょうか。

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現代農業 2026年1月号

特集:高温時代の米つくり 超きほんのき

定価
1,100円 (税込)