シイタケのホダ木に傷をつけて刺激を与え、増収を図るという方法が注目されています。収穫時期に合わせ、ナイロンコードやナタで刺激を与え、収量の維持と再発生を促している愛媛県の髙橋征敏さんの取り組みをご紹介します。
取材対象者:髙橋征敏さん(愛媛県西予市)
『現代農業』2025年11月号 「ホダ木を打つ、えぐる刺激は年々強く」より
低温・打撃・水分で刺激する
雨が降ったり、雷が落ちたりしてホダ木に衝撃が加わると、シイタケが発生しやすくなる。そんな肌感覚を持っている読者も多いだろう。この現象を活かした増収技術として、研究機関や生産者がさまざまなホダ木への刺激の与え方を検討してきた。
「三つの刺激を同時に与えると、より増収効果が出る」というのは、野村町横林地区のスギ・ヒノキ林内で原木シイタケを年間7000本栽培する髙橋征敏さん。ホダ木1000本あたり、乾燥シイタケで50kg以上を安定生産し続けている(地域平均はおおよそ30~40kgほど、収穫は10~4月)。刺激の与え方を試行錯誤してきた結果だ。
髙橋さんがいう三つの刺激とは、低温、打撃、水分。これらが適切なタイミングで、同時にホダ木に加わったとき、より発生が促されるそうだ。
さっそくホダ場へ行き、打撃を実演しながら解説してもらった。
発生2年目から打つ
やることはいたってシンプル。
植菌して1年が経ったホダ木は天地返し(上下をひっくり返す)するだけ。これによって軽い衝撃が加わると同時に、ホダ木内で水分が動く。あとは自然に発生適温まで気温が下がれば、十分発生する。
ビシバシいくのは発生2年目と3年目を迎えるホダ木だ。髙橋さんが打撃に使うのはナイロンコード式刈り払い機とナタ。菌は年数が経つにつれて感受性が鈍くなっていくため、打撃の強さも合わせて変えるのだという。
まずは、今年で発生2年目となるホダ場へやってきた。
「やってみましょうか」と髙橋さん。ナイロンコードでホダ木をバシバシ叩き始めた。まんべんなくしばかれたホダ木を見ると、傷はなく、叩かれたかどうかはわからない。
「これだけでも、生えやすくなりますよ。シイタケ菌は子孫を残すために胞子を飛ばすキノコ(子実体)を発生させる。刺激で生命の危機を感じると、より子孫を残そうとする力が働くんじゃないかな」
「ナイロンコードなら危なくないし、短時間でまとめて叩けていいやろってことで、うちの生産組合の皆はこうやりよるんです」
確かに、これは早くてラクそうだ。
3年目はナタでえぐる
続いて取り出したのはナタ。今年で発生3年目のホダ木をなでながら髙橋さんはいう。
「年々、ホダ木の表皮は硬くなって吸水性が悪くなるんですよ。3年目にもなると、雨が降っても浸みこまずに表面を流れる感じ。だからナタで深い傷を付けてやって、水分も浸透させやすくするんです」
「年々、ホダ木の表皮は硬くなって吸水性が悪くなるんですよ。3年目にもなると、雨が降っても浸みこまずに表面を流れる感じ。だからナタで深い傷を付けてやって、水分も浸透させやすくするんです」
ズコン、ズコンと豪快にナタを振る髙橋さん。結構傷が深いし、皮もはげちゃってるけど、大丈夫かな?
「ただの切り傷だけだと、水が浸透していかないんで。思い切って」
1本のホダ木に等間隔に三つずつ、えぐれた傷ができた(下の写真)。髙橋さんはこの深い傷を付けるために、ハンマーやクギではなくあえてナタを使っている。
このナイロンコードとナタによる打撃で、収量が発生1~2年目のピーク以降も落ちにくくなり、発生4年目までとり続けられる。また、いったん発生が終わったホダ木も、収穫時期のうちは、もう一度打撃を加えれば再発生させることができる。
雨雪の前の冷え込んだ日に
刺激を与えるタイミングは、シイタケ発生直前の、発生適温(品種によって異なる)を数°C下回ったとき。例えば、気温8°C以下で発生する低温性の品種であれば、5°C以下までぐっと冷え込んだ日、かつ、雨や雪が降る前を狙って打撃を行なっている。これによって、低温、打撃、水分の三つの刺激を同時に与えられ、効果を最大限発揮できる。
ただし……
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