『現代農業』2025年11月号の巻頭特集は、「やっぱり最高!米ヌカを田畑に」。米ヌカは肥料になるし、病害虫防除や除草にも使える、農家にとっては馴染みの万能資材です。試し読みとして、現代農業レジェンド農家直伝!米ヌカを”どっさり”使う秘訣を伝授する記事の一部を公開します。
執筆者:浜田 妙(高知県南国市)
『現代農業』2025年11月号 「レジェンド農家に学ぶ米ヌカどっさり活用術」より
資材高騰の折、タダで手に入るものを活用しない手はない。
わが家の米ヌカは夫がコイン精米機を回ってせっせと集めてきてくれる。米袋に五つもある日もあれば、半分しかない日もある。
令和の米騒動で米屋の店頭に白米しかなかった時期は、コイン精米機の米ヌカボックスも空っぽだった。今はみなさん手持ちの玄米をせっせと食べているのか、米ヌカはたっぷりある。最高の有機質資材がタダで手に入るのはありがたい。
私の敬愛する故・井原豊氏は、名著『家庭菜園ビックリ教室』のなかで米ヌカをどっさり使う栽培法を紹介していて、私も毎年カボチャなどのウリ類で実践している。
井原式カボチャ栽培
ムギのアレロパシーでカボチャが早く、おいしくできる
私がつくるのはトキタの「くり大将」。収穫したその日からおいしいという早生品種で、栽培法は、前年の秋にムギを播くことから始まる。カボチャ定植予定のウネに黒マルチを張っておいて、そのまわりのつるが這うスペースにムギを播いておく。井原式では普通の小麦とあるが、私はエンバクでやっている。
翌春になってムギの出穂期を目安にムギの上から米ヌカを10aあたり1t(乾燥鶏糞でもOK。この場合は700kg)と過リン酸石灰を100kgまき、カボチャの肥料とする。ムギは穂が稔る前に刈り倒す。これが敷きワラとなり、その上一面にカボチャのつるが覆い茂る。
カボチャ早出し 植え付け図
井原氏によると、ムギマルチはカボチャなどのウリ科植物の生育に劇的な変化を与える。ムギの根が出すアレロパシー(他感作用)で、カボチャのつるや根の伸びが抑えられ、実へ養分を送り込む力が強くなる。
実際、この方法でつくるカボチャは本当においしく、しかも受粉日から40日で完熟。標準より5日ほど早い。うどんこ病も来ない。生育日数が短いので、私は6月末から直売所に出し始め、7月20日頃まで、まだ誰もカボチャを出し始めていない時期に出荷し終える。四つ切りにカットして各250~300円で販売している。
カボチャ早出し栽培暦
自家用スイカ・カボチャの米ヌカ一発、不耕起放任栽培
これも非常におもしろい。井原氏の本で紹介されているスイカでやったところ、猛暑のあとの雨降りで完全に熟れないうちに割れたりしてしまったが、カボチャとマクワウリはうまくいっている。トウガンも今年初めてやってできた。庭の一角、畑の隅、耕作放棄地を利用する。苗でも直播きでもよい。苗を植えるところだけ掘り、あとは不耕起放任。草よけに古マルチやムギワラ、段ボールを敷いてもよい。
肥料は苗から半径1m離して米ヌカをドカッとドーナツ状にまいておくだけ。1本の苗につき、米袋一つ分の米ヌカでは足りない、2袋くらい使う。
草ボーボーになっても、背の高い草を刈るぐらいで、そんなに気にしない。草よりもウリの勢いが強いのでつるがぐんぐん伸びて実をつける。これもムギのアレロパシーをねらって秋にエンバクを播いておくと、つるが巨大にならずに効果的だと思う。
東山式サトイモ栽培
ウネ間に米ヌカ、草がおとなしく
サトイモはマルチなしでつくっているが、とにかく草に悩まされてきた。土寄せしても、メヒシバ、イヌビユ、ツユクサなど夏の強力な草がすごい勢いで生えてくる。
サトイモはマルチなしでつくっているが、とにかく草に悩まされてきた。土寄せしても、メヒシバ、イヌビユ、ツユクサなど夏の強力な草がすごい勢いで生えてくる。
『現代農業』2025年4月号p68を読んで、東山広幸さんのネギやサトイモ栽培での草対策を知った。除草と追肥を兼ねた一石二鳥の米ヌカ活用法だ。
これを参考にした私のやり方は、まずウネやウネ間に米ヌカを……
この続きは『現代農業』2025年11月号または「ルーラル電子図書館」でご覧ください。
本記事には、以下のレジェンド農家の米ヌカ活用術も載っています。
- 「東山式サトイモ栽培」(東山広幸さん)
- 「赤木式タマネギ栽培」(赤木歳通さん)
- 「薄上式土ごと発酵」(薄上秀男さん)
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