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あああ

【耕さない農業】もう古希だから、ラクラク不耕起栽培へ

自給菜園から大規模畑作農家まで、畑の一部で「ちょこっと不耕起」してみる人が増えてきました。動機はいろいろですが、この記事の執筆者のように、「なんとかラクをしたい」というのも一つでしょう。不耕起といえば、草ボーボーで野菜なんて育つはずがないと思われがちですが、実際にやってみるといいものが長くとれたようです!

執筆者:牛久保二三男(長野県松川町)

『現代農業』2025年10月号 「もう古希だから、ラクラク不耕起栽培へ」より

有機農業と出会って草の肥料効果を知る

 長野県南部の松川町に住んでいます。まだ勤めていた50歳の時に「循環型農業」にはまり、野菜栽培を始めました。会社と農業の二刀流を10年続けたら、直売所でファンもつき、これなら生涯できる!と考えて、定年退職して専業農家になりました。

筆者。8月8日に古希(70歳)を迎えた(尾﨑たまき撮影)
筆者(尾﨑たまき撮影)

 有機栽培に取り組み始めたのは、町のテレビ番組出演がきっかけです。町では遊休農地解消のために一人一坪農園を推進。ケーブルテレビで野菜づくりを指南する番組を制作することになり、なぜか私が指南役を務めることになりました。そこで、どうせなら農薬も化学肥料も使わない方法で取り組むことにしたのです。2020年には有機給食への機運も高まり、「ゆうき給食とどけ隊」が発足。私も現在、ニンジンなどの有機野菜を年間約2t、学校給食に提供しています。

 自然農法国際研究開発センター(松本市)の指導を受ける機会にも恵まれ、緑肥利用や太陽熱処理などの技術を学ぶことができました。有機農業に出会って一番の変化は、雑草との付き合い方でしょうか。それまで雑草は敵とばかりに邪魔者扱いしてきましたが、土をよくする有機物として逆に利用することに喜びを感じ、草が生えても気持ちがラクになりました。土手草もワザと伸ばして、刈ったら畑に入れます。ハンマーナイフモアやスパイダーモアをかければすぐ分解し、よい肥料となります。ニンジンも、土手際のものほどよく生長します。草の肥料効果はあなどれません。

ウネそのまま利用でラクラク農業

 ふと気付けば専業農家になって10年、農作業もだんだん負担になってきます。直売所で人気のキュウリ畑では毎年春に元肥を振って耕耘、ウネを立ててマルチを張って、アーチパイプ(キュウリパイプ)を組み立てて、秋にはまたそれらを片付ける作業が待っています。例えばアーチパイプの片付けひとつとっても、1組1組よいしょと抜いて、解体し、束ねて担いで50mほど運ぶ必要があります。年をとると、こうした作業のひとつひとつがこたえます。

 なにかいい方法はないか。そうだ!と思い浮かんだのが「耕さない農業」です。ウネやアーチパイプをそのまま使うやり方です。通路に有機物を入れていけば、耕さなくても野菜は養分のあるほうに根を勝手に伸ばしてくれるのでは、と考えました。

 以前は、不耕起栽培の畑なんて草ボウボウで、そんな中で野菜は育たない。見た目もよくないと考えていました。しかし私もいよいよ「古希(70歳)」を迎えます。少しは楽しみながら、ラクな農業をしたいと思うようになりました。

エンドウが6月末までとれた

 そこで昨年、自宅横の畑(約30a)で不耕起栽培を実践。キュウリを育てたウネに秋、そのままスナップエンドウ(スナックエンドウ)を植えました。

 キュウリの残渣は通路に置いて、モアで粉砕するだけ。アーチパイプを抜いたり、ポリマルチをはがしたり、トラクタをかける作業は省略です。おかげで2~3日分の農作業が浮きました。時間も節約できて、身体もとってもラクでした。元肥ゼロで肥料代も節約できました。

ウネそのまま利用でラクラク農業

耕さない農業を実践中の畑。アーチパイプは昨年から立てっぱなしでマルチも張りっぱなし。通路には作物残渣や刈り草などを置いていく
耕さない農業を実践中の畑。アーチパイプは昨年から立てっぱなしでマルチも張りっぱなし。通路には作物残渣や刈り草などを置いていく

 心配していた生育も順調で、隣の畑のスナップエンドウが5月半ばに黄色くなって収穫できなくなったのに、わが家の不耕起スナップはまだまだ青々としていて、結局6月下旬まで収穫できました。長年の土づくりの差もあるかもしれませんが、耕さないことで、根がかえって深く張ったのかもしれません。

スナップエンドウ
6月でも青々と育つスナップエンドウ

ウネと通路を入れ替えるパターンも

 スナップエンドウはキュウリのウネをそのまま利用するパターンですが、作付けの少ないナスやピーマンなどは、一作ごとにウネと通路を入れ替えることにしました。ウネと通路をそれぞれ同じ70cmとし、1年目は通路に生えた草や米ヌカ、植物残渣などの有機物をモアで粉砕して分解を促し、翌年はその通路をウネにします。連作障害を防いで、作物を育てながら土づくりもできると思います。

ウネと通路を入れ替えるパターン

通路の雑草はモアで粉砕。次の作はこの通路をウネにする
通路の雑草はモアで粉砕。次の作はこの通路をウネにする

 松川町の有機給食の取り組みは全国的に注目されるようになってきました。目標は100歳現役。不耕起栽培で生涯働ける農業、楽しい農業、地域に喜ばれる農業を続けたいと思います。

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現代農業 2025年10月号

特集:動き出した! 耕さない農業 ちょこっと不耕起のすすめ

定価
1,100円 (税込)