動き出した!耕さない農業 ちょこっと不耕起のすすめ
自給菜園から大規模畑作農家まで、全部の畑でなくとも、一部で楽しみながら始める「ちょこっと不耕起」を試す農家が増えてきました。また、海外発の段ボールと堆肥のマルチを使った不耕起栽培「ノーディグ(No-Dig)」や、「ライムギ押し倒しダイズ栽培」の魅力と難しさも見えてきました。
「ただどり栽培」にチャレンジ!
これから始まる秋野菜づくりでおすすめなのが、アブラナ科野菜の「ただどり栽培」ともいえそうなやり方です。
愛知県で不耕起農業を実践する松澤政満さんの技術を、大阪の吉村さんが「実際にやってみた」と報告してくれました。
夏草がぼーぼーに茂った草むらみたいな畑に、アブラナ科野菜のタネを花咲かじいさんのように播いていき、その後にモアで草を粉砕するだけ。比重の重いタネが地面に落ち、その上に草が被さって覆土の替わりをしてくれる。放っておくだけでダイコンなどがただどりできるという痛快なワザです。
いいものがたくさんとれる
直接的な動機はいろいろですが、「なんとかラクをしたい」というのも一つでしょう。
歳をとると「作業一つひとつがこたえる」と古希を迎えた長野の牛久保さんが始めたのが、ウネや支柱を連続利用するキュウリ後のスナップエンドウ栽培や、ウネと通路を入れ替えるだけの「ちょこっと不耕起」です。
不耕起といえば、草ボーボーで見た目が悪く、雑草に栄養をとられて野菜なんて育つはずがない、と思われがちですが、それがどっこい、いいものがたくさんとれる!
各記事の作物の姿にもぜひ注目してください。5月半ばに黄色くなるはずのスナップエンドウが6月でも青々と育つ写真や、不耕起・無肥料なのに、大玉トマトがまるでミニトマトのようにわっさわっさと茂り、玉太りしたトマトがたくさんぶら下がっている姿は圧巻です。
大規模でも「ちょこっと不耕起」
また、大規模畑作農家が挑戦する「ちょこっと不耕起」にも注目です。
アメリカのロデール研究所が開発した、「ライムギ押し倒しダイズ不耕起栽培」を挑戦する農家からも興味深い報告が集まりました。
冬越ししたライムギを春に粉砕せず、押し倒して敷きワラ代わりにして、ダイズのタネを播き、肥料なし、中耕・除草もなしで収穫してしまうという画期的な方法ですが、高温多湿で雑草の生育が半端ない日本ではまだ、「成功した!」といえる事例は見つかっておりません。でも、「晩播狭畦密植」と組み合わせたり、ライムギ押し倒しやダイズ播種のタイミングを試行錯誤しながら、一歩ずつ前へ進んでいる模様を紹介しています。きっと近い将来、続々と成功する農家が現れる未来が訪れそうな予感がします。
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「不耕起なんて難しい」と思うことなかれ。発想を転換して、畑の一部で「ちょこっと不耕起」してみれば、草や作物、土の力を味方にして、ラクして楽しく、気候変動の時代を生き抜く知恵がきっとみつかるはずですよ!
その他の巻頭特集以外のコーナーも見どころ満載です。一部ご案内します。
もっと自由に太陽熱処理
今や当たり前の技術になりつつある太陽熱処理。有機物や水をたっぷり入れて、太陽熱で蒸し込むと、病害虫や雑草を防除できる。おまけに微生物の働きで土がフカフカに!「こうじゃなきゃいけない」という決まりはないので、農家独自のやり方が生まれ、進歩し続けています。
いいぞ! 竹チップ・竹パウダーマルチ
竹チップを畑のマルチとして使ってみた実験や、竹林で利用するコツなど。
虫の糞は最強の肥料
小さな体で有機物をせっせと分解。出てきた糞には養分も微生物もたくさん含みます。カブトムシ糞、ミズアブ糞、ミールワーム糞、ミミズ糞など紹介。
バイオスティミュラント製品の最新動向
作物の葉に共生して、空中のチッソを固定する細菌資材が話題を呼んでいます。最新情報と実践農家のリアルな声を集めました。
農家の手作りバイオスティミュラント!?
光合成細菌・酵母菌液肥で、増収・減肥
お手軽 土壌のセルフ診断
見たり触ったりするだけで土の状態がわかっちゃう。そんな手軽な方法をご紹介します。
ネギのウネ間緑肥に本気で挑戦
果樹のチッソ施肥、秋はやめるべき!?
近年、秋のチッソ施肥をやめた果樹農家から「翌年の発芽がよくなった」「減肥につながった」などの声が届いています。各地の動きと農家の実践を追ってみました。
化成肥料の今を調べてみた、ほか
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