異常気象や面積拡大の影響で、「耕すのが当たり前」の北海道の畑作が、ここ数年で劇的に変化している。極力畑を耕さず、空いた畑には緑肥を混播して地力を強化する動きが、ますます広がりそうだ。
執筆者:廣中 諭(北海道置戸町)
『現代農業』2025年10月号 「ダイコンの穴がボコボコ ミックス緑肥&不耕起の畑はゲリラ豪雨に強かった」より
2016年に親元就農し、現在9年目です。作付面積は約72haで種子バレイショ、秋小麦、ダイズ、テンサイ、休閑緑肥の輪作をしています。23年より多品種ミックス緑肥と省耕起に取り組み、長期的な土壌環境の改善を目指しています。
わが家の畑はすべて傾斜があり、大雨での土壌流亡が毎年悩みの種です。また耕起による土壌環境の悪化についても考えるようになり、必要最低限の省耕起に取り組んでみようと思いました。そして、今年はダイズの不耕起栽培に挑戦しています。
5haで不耕起と耕起を比較
不耕起播種には、新たに導入したモノセム社製の真空播種機を使用します。真空播種機とは機械内部の真空圧を利用して、種子を1粒ずつ播種板に吸着させ、高速で正確な播種ができる機械です。
北海道内では広く普及しており、内部の播種板を取り換えることでダイズ、ビート、コーン類など、さまざまな作物に利用できます。本来は耕起された畑での使用を想定されたものですが、写真のような残渣を切り込むコールターと高圧スプリングのオプションを組み合わせることで、硬く残渣の多い不耕起の条件下でも確実な播種が可能となります。
不耕起に挑戦する畑は270×180mの約5ha。昨年の夏に秋播き小麦を収穫したあと、ミックス緑肥を栽培し、チョッパーで細断しました。その後、すき込むことなく表面に残渣が残ったまま越冬しています。昨年のミックス緑肥は無肥料にしたことや、播種後の豪雨で表層にクラストが発生したこともあり、あまり草丈は伸びませんでした。そのため越冬後の畑表面の残渣カバー率は50%ほどです。
今回は同じ圃場内に不耕起区(試験区)と耕起区(慣行区)を交互に作り、発芽率や生育途中の差、収穫量の違いをできるだけ大きい面積かつ地力の偏りが少ない状態で比較してみることにしました。
出芽が揃わずハト害が多い
5月21日に播種。このころには前作の秋播き小麦の野良生えが目立ったため、播種前に非選択性の除草剤で処理しています。はじめは今回導入した真空播種機でうまくいくか不安でしたが、コールターと高圧スプリングがねらいどおり硬い地面をしっかりと切り込んで、適切な位置にダイズを播種できました。しかし、耕起による整地をしていないため、畑には若干の凹凸や硬いところと柔らかいところの差があり、深さが安定しないことで出芽のタイミングにズレがありました。
わが家の畑は山が近いこともありハトが多く、発芽したての双葉をついばまれてしまいます。ダイズの生育が進むと食べられなくなりますが、発芽が揃わないことで耕起区に比べてハトによる食害が多いように感じました。
また、地面が硬いところと軟らかいところの差は、昨年の緑肥にチョッパーをかける際にトラクタが走行したタイヤの跡の影響があるように思います。これらの問題を解決するために、自動操舵技術を使って秋の緑肥処理の段階から来春の播種時に走行するラインと同じところを走るなどの工夫が必要です。
ダイコンで透水性アップ
6月11日に雹を含んだゲリラ豪雨が降りました。残念ながらこの時期は毎年恒例のようになっています。翌日に畑の様子を見に行くと不耕起区と耕起区で違いを発見しました。
耕起区は傾斜に沿って表土が流された跡がありましたが、不耕起区にはそれがありません(下の写真)。これは耕していないことで土壌構造が壊れていなく水のとおり道が安定していることや、緑肥のダイコンが分解されたあとの大きな穴がたくさんあいていることで、透水性が高まっているためと思われます。
土壌流亡については損失額など定量的な判断はできませんが、長期的に見ればこうした不耕起による表土の保全は大きな意義があるはずです。
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現段階での生育を振り返ると、不耕起栽培では秋の耕起作業や春の整地作業が省略できること、豪雨による表土の流亡を抑制できることが大きなメリットだと感じます。デメリットは播種段階で雑草の茎葉処理が必要なことや、播種深度のばらつきにより鳥害が大きくなるため播種機の入念な調整が必要なことです。
今後雑草の発生量や登熟の時期、収穫量の違いについて注意深く観察していきたいです。
「ミックス緑肥」については、2025年2月号に詳しく掲載されています。合わせてぜひご覧下さい。
特集「2025 ミックス緑肥元年!」
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