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編集部も考えた 農家のリアルな声から見えてきた 米の適正価格

米価

編集部

『現代農業』2025年8月号「編集部も考えた 農家のリアルな声から見えてきた 米の適正価格」より

2025年8月号の巻頭特集は「農家がリアルに考えた 米の適正価格」。農家が実際の経費や値段の付け方を公開しつつ、自分の米の適正価格を語っていただいた。この記事では、それらの現場の声を聞きながら、見えてきた「米の適正価格」を編集部でまとめた。

慣行栽培の適正価格は?

 まず、米価が上がったことで、「そろそろ田んぼをやめようか」と思っていた高齢農家や小規模農家が、お客さんや地域、先祖代々の農地のために、もうちょっとがんばってみようという気持ちになれた、というのは「騒動」の中のうれしい一コマだ。

 そのうえで、いくらなら、今後も稲作を持続していけるのか? 適正米価のアンケートで一番低かった価格は、玄米1俵1万8000〜2万3000円という服部農園さんだった。愛知県の平場で106haを経営する大規模農家。地元JAの概算金が全国平均より1000〜2000円安いことを考え、控えめな値段を提示した。

服部都史子さんが米の適正価格について書いた記事「直売所でレジ待ち45分 こんな時こそ普段からの付き合いを大事に」(2025年8月号)
服部都史子さんが米の適正価格について書いた記事「直売所でレジ待ち45分 こんな時こそ普段からの付き合いを大事に」(2025年8月号)

 しかし、その他の農家はすべて2万円以上と考えた。もっとも意見が多かった価格帯は2万〜2万5000円。条件的にコストのかかる中山間地の小規模農家、高橋潤一さんが1俵2万2000円を適正価格としていることから、慣行栽培では1俵2万〜2万5000円が適正だとみていいだろう。

高橋潤一さんが米の適正価格について書いた記事「〈中山間3.3ha〉お互いさま価格で、1俵2万2000円 」(2025年8月号)
高橋潤一さんが米の適正価格について書いた記事「〈中山間3.3ha〉お互いさま価格で、1俵2万2000円 」(2025年8月号)

流通経費をプラスした店頭価格は1.75倍になると仮定すると、白米5kg単価は約3300〜4000円。小売り段階の適正価格はこの辺りといえそうだ。

有機で直接販売したら?

 一方、有機無農薬栽培では除草の手間と収量減のリスクが大きくのしかかる。

 農家が精米、袋詰め、発送までをやって直接消費者に届ける場合は山間地の鴫谷幸彦さんが人件費も含めて細かくコスト計算したところ、玄米1俵5万4000円(白米1kg1000円)だった。

さんが米の適正価格について書いた記事「〈中山間2.2ha〉減農薬・有機米の直売価格を自分の時給から決める」(2025年8月号)
鴫谷幸彦さんが米の適正価格について書いた記事「〈中山間2.2ha〉減農薬・有機米の直売価格を自分の時給から決める」(2025年8月号)

 平場の今井虎太郎さんによる算出では玄米1俵4万8000円とのこと。これを踏まえると、農家価格で玄米1俵4万8000〜5万4000円。消費者価格で白米5kg約4500〜5000円が妥当な価格と考える。また、今井さんによると、直販せずに卸に販売するなら玄米1俵3万円程度(店頭価格は白米5kg約4900円)とのことだ。

今井虎太郎さんが米の適正価格について書いた記事「〈平場3.4ha〉有機米、販売経費込みで1俵4万8000円」(2025年8月号)
今井虎太郎さんが米の適正価格について書いた記事「〈平場3.4ha〉有機米、販売経費込みで1俵4万8000円」(2025年8月号)

 なお、経済不況や物価高のなか、この価格では消費者が毎日の主食となる米を買い続けられないという場合、農家への所得補償の前に消費者に直接補助金を出すという、薄井吉勝さんの提案にも注目したい。

薄井吉勝さんが米の適正価格について書いた記事「〈平場14ha〉消費者にも伝えやすい ご飯1杯の値段から考える」(2025年8月号)
薄井吉勝さんが米の適正価格について書いた記事「〈平場14ha〉消費者にも伝えやすい ご飯1杯の値段から考える」(2025年8月号)

 これまでの米の値段が安すぎたと気づき始めた消費者の感覚を5kg2000円以下の古い米や緊急輸入でまた元に戻すより、まずは農家が再生産できる価格を示したうえで、消費者に直接補助を出す。国民的な議論の俎上にのせたい提案だ。

編集部の考える米の適正価格

米価

2025年8月号「考えてみた 自分の米の適正価格」コーナーには、小規模・山間地の農家から、平場で100ha以上つくる大規模稲作農家まで、様々な経営規模・スタイルの農家の記事が掲載されています。本誌またはルーラル電子図書館でぜひご覧下さい。

  • ケース1〈中山間2.2ha〉減農薬・有機米の直売価格を自分の時給から決める 鴫谷幸彦
  • ケース2〈平場14ha〉消費者にも伝えやすい ご飯1杯の値段から考える 薄井吉勝
  • ケース3〈中山間17ha〉平地30ha、中山間地20ha、1haでも試算してみた 北村佳秀
  • ケース4〈中山間3.3ha〉お互いさま価格で、1俵2万2000円 高橋潤一
  • ケース5〈平場3.4ha〉有機米、販売経費込みで1俵4万8000円 今井虎太郎
  • ケース6〈平場2ha〉今は赤字でいいので、への字米1俵2万4000円で 丸尾正志

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現代農業 2025年8月号

特集:農家がリアルに考えた 米の適正価格

定価
1,100円 (税込)