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あああ

「ピーマンってね、カリが絶対必要なんですよ」―カリ積極施肥で腐りにくく形のきれいなピーマンを連続収穫

執筆者:原 秀吉(茨城県)。ピーマン栽培歴は半世紀以上。

『現代農業』2025年7月号「ピーマンってね、カリが絶対必要なんですよ」より

ピーマン

菜園を楽しむ人のために、「野菜の気持ち」がわかるベテラン農家がアドバイス。苦すぎず、腐りにくく、形のきれいなピーマンを次から次へととる方法を教えてくれます。

定植して45日で決まる

 ピーマンの特徴は、枝分かれを繰り返し、その股のところに花が咲くことです。樹は最初に枝分かれした方向へ広がっていき、根も同じように伸びるので、その2本の枝がそれぞれ通路側を向くように苗を植えます。枝を誘引しやすくするためであり、隣り合った樹の根が絡まないようにするためでもあります。根が絡むと茎が細くなり、収穫量があまり増えません。

仕立て方(4本主枝)
仕立て方(4本主枝)

 樹を仕立てるときは、骨格となる「主枝」を4本つくります。まずは1番花(最初の花)の節から出る2本の枝、2番花の節から出る2本の枝を伸ばします。その後は各節から強い枝と弱い枝が出るので、強いほうを誘引して、主枝を延長。主枝以外の枝は「側枝」といい、果実をいくつかならせつつ、摘心して(先端を摘んで)込みすぎないように管理します。

 春に苗を植えたら霜が降りるまで収穫できます。節ごとに次々と果実がなるので、樹への負担は大きくなります。ピーマンは定植して45日が勝負。その間にどれだけ細い根を出せるかで収穫量が決まります。

細い根を増やすために

 まずは苗選び。ホームセンターなどで苗を買うときは、その良し悪しを判断しましょう。よい苗の条件は「双葉(子葉)が残っている」「本葉が交互に出ている」「茎が太く、節間が詰まっている」「本葉13枚以下(10枚前後)に最初の蕾がついている」「3本ではなく2本に枝分かれしている」などです。

いい苗の条件

 売り場では確認できないかもしれませんが、ポットを外してみると、白くて太い根が下向きに伸びているのも健全な状態です。花が咲いている、根巻きしているなど、老化している苗は避けてください。収穫量が落ちてしまうからです。なるべく若い苗を選びましょう。

 定植する前に畑の準備をしておきます。スコップなどで深さ30cmの溝を掘り、枯れ草や落ち葉、イナワラなどの有機物を入れ、その上に元肥としてチッソ、リン酸、カリが8%ずつ入った配合肥料(8─8─8)を1mにひとつかみまきます。有機物があることで、肥料が長持ちし、根張りもよくなるのです。

 石灰や苦土もまき、溝を埋め戻してウネを立て、マルチを張って、60cm間隔で植え穴をあけます。定植2日前、その穴に1~2lずつ水を入れ、定植後も1週間ほど毎日水やり。根づいたら、今度は水を控え、1番花が咲くまで萎れ気味にします。そうすると根が深く張るのです。1番花が開花したら、再びこまめに水を与えます。

 3番果を収穫したあと、元肥と同じ配合肥料を追肥として2株にひとつかみまきます。その後も樹の状態を見ながら10~20日に1回、追肥をしてください。

積極的にカリを効かせる

 ピーマンには特に肥料のカリが必要です。カリが欠乏して水分が多いと斑点病になり、乾燥気味だとうどんこ病になります。また、近年問題になっているセンチュウもカリが大好き。センチュウは作物の根に寄生して、樹を弱らせます。私の持論ですが、土の中にエサとなるカリが十分にあれば、ピーマンには悪さをしないようです。

 さらに、カリの働きで形のきれいなピーマンができます。以前、曲がった果実が多くて悩んでいたとき、なぜだろうと思って、それらをいくつも切って観察したことがあります。すると、タネが少ないことに気づきました。充実したタネをつくるには、カリをしっかり効かせることです。積極的にカリを与えるようになってからは、果実の曲がりが減りました。

 元肥と追肥で使う配合肥料の他に、カリの液肥も有効です。カリはチッソ肥料の尿素と混ぜると吸収されやすくなります。たとえば硫酸カリ1000倍、尿素……

この続きは『現代農業』2025年7月号または「ルーラル電子図書館」でご覧ください。

『現代農業』2025年7月号の「みんなで農!」コーナーには、以下の記事も掲載されています。本誌またはルーラル電子図書館でぜひご覧下さい。

  • 【野菜の気持ち3】野良生え野菜はやる気十分 中川原敏雄

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現代農業 2025年7月号

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定価
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