執筆者:谷崎友一(高知県四万十市)。水稲約5ha
『現代農業』2025年6月号
エサの食いつきで比較実験
高知県で水稲を5haほどつくっています。今回はタンニン鉄に含まれる二価鉄が、ジャンボタニシの食欲を抑える効果に可能性を感じたのでお伝えします。
二価鉄資材がジャンボタニシ対策になることを知っていました。「同じ二価鉄なら、もしやタンニン鉄でも効果があるのでは?」と思い立ち、検証してみました。
水を入れた三つの水槽を用意し、一つは何も加えず、あとの二つにはそれぞれ二価鉄資材、自家製のタンニン鉄を同量入れました。すべてにエサのベーコン(動物性で比較的ジャンボタニシが食べる)と葉っぱを入れ、ジャンボタニシを10匹ずつ入れて12時間以上撮影し、食いつきや動きを観察してみました。

ジャンボタニシはタンニン鉄水槽では動きが鈍い

結果は、当然水だけの水槽のエサが一番食べられていたのですが、なんとタンニン鉄水槽の食いつきが一番少ないという結果に! 動画で確認してみると、タンニン鉄水槽のジャンボタニシの動きがとにかく鈍く、効果を実感しました。

圃場レベルでの実験ではなく、タンニン鉄の二価鉄含有量も正確にはわかっていません。ですが、渋柿から作った自家製タンニン鉄のジャンボタニシの食欲減退効果は期待できそうです。

ジャンボタニシは二価鉄が苦手
ジャンボタニシなどの軟体動物が二価鉄を体に取り込むと、自身の細胞内の過酸化水素と反応して猛毒の活性酸素(ヒドロキシルラジカル)が発生してダメージを受ける。
経費がかからず、量を自由に使えるタンニン鉄の活用は、以前に投稿した流し込みによるイネの発根作用(2024年4月号p112)と併せて、ジャンボタニシ対策としても一考の余地ありと考えてもよいと思います。

『現代農業』2025年6月号「困った病害虫相談室2025年版」コーナーには、ジャンボタニシの他に以下の病害虫も掲載されています。
- ネキリムシ 厚紙ガードでネキリと縁切り 小島直子
- タマネギの貯蔵腐敗 ネギアザミウマ防除に力を入れる 井手洋一
- 果樹のシンクイムシ 害虫たちはギンナン汁が大嫌い 松村暁生
本誌または「ルーラル電子図書館」でぜひご覧下さい。

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