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【野山の枝ものでクリスマスリース】サルトリイバラ ぷりっぷりの実をリースに

枝ものや葉ものを「ほしい」という人が増えている。まずは、家の周りや野山を探してみよう!

大阪府・伊藤雄大

製作中のクリスマスリース。フジのつるを芯材にして、スギの葉、ヒノキの葉、サルトリイバラの実を使った。茶色いのはサルトリイバラの葉だが、この後思いなおして外した
製作中のクリスマスリース。フジのつるを芯材にして、スギの葉、ヒノキの葉、サルトリイバラの実を使った。茶色いのはサルトリイバラの葉だが、この後思いなおして外した

サルトリイバラ

分類:サルトリイバラ科シオデ属

生育地:北海道南部~九州に自生。日当たりや水はけがよい場所を好む

特徴:多年生、雌雄異株のつる植物で、11~1月に赤い実がつく。関西圏を中心に、円形~楕円形の葉は柏もちを包むのに使われる

枝物の利用:つるの表面はうねうねと変化があり、リース作りに向く。また、赤い実を活かし、生け花や正月のしめ飾りなどで喜ばれる

大きくて光沢のある赤い実

 昨年はハボタンやストックが定植後の大雨で壊滅し、そのまま売り物のない12月を迎えてしまった。なんとか売り物をひねり出そうと考え、急遽、作ったこともないクリスマスリースを編む毎日が始まった。

 クリスマスリースといえば赤い実が必須だが、どこにでもあるガマズミの実は枝ごと切ってから数日で、乾燥してシワシワになった。それはそれで味があるのでリースの材料になる。

 一方、サルトリイバラの赤い実はブルーベリーのように大きく、光沢がある。「サンキライ」として花材になるだけあって、何日経ってもぷりっぷりのままで持ちがよい。実がたわわにつくのは日当たりのよい上のほうなので、周りの木に登って採らないといけないが大変な思いをする価値はある。切りやすいところでつるを切ってひっぱり、家や畑で細かく切りなおす。トゲトゲがうっとうしく、前は山仕事をするたびにヤッケに穴をあけられ「枯れてまえ!」と敵視していたが、見る目が変わった。

 「赤い実にもいろいろある」と知ると面白くなり、直売所で売るなら「わが町にはなんでもある」ことをリースで表現したくなった。作りものの飾りは一切使用せずに、素材はすべて山や野から集めて「山のリース」として販売することにした。

フジのつる、スギの葉をベースに

 芯材はフジのつる。畑のキウイやマタタビなども試したが、12月に入ると乾燥が進んでいるようで柔軟性がない。フジのつるだけが輪っかにしても折れなかった。芯材を覆い隠すベースは、山に大量にあるスギが基本。スギの葉は寒い日が続くと茶色っぽくなってしまうが、スギ林の奥のほうの木は霜に当たらないのか12月でも青々としていた。スギはボリュームを出すのにはうってつけだが葉がチクリと痛いので、ヒノキやサツマスギなどの葉で覆って手触りをよくするとともに質感も変えてみた。

 装飾はサルトリイバラの実の他、育てていたワタやユーカリ、アンスリウムの花、小さいマツカサなど。夜な夜なコタツで編んだ手作りのリースを1,500~1,800円で販売し、12個売れた。自分が作ったあのリースが誰かの家に飾られている風景を想像するだけで、昨年のクリスマスはよい気分で過ごせた。

(大阪府能勢町)

*月刊『現代農業』2019年11月号(原題:サルトリイバラ ぷりっぷりの実をリースに)より。情報は掲載時のものです。

枝もの

『現代農業』2019年11月号の巻頭特集「野山から売れる 枝物・葉っぱ図鑑」の「売れる枝物図鑑」コーナーには、以下の品目も掲載されています。

アオモジ/アジサイ/ガマズミ/サクラ/サルトリイバラ/ツルウメモドキ/トウガラシ/ナツハゼ/ナンテン/ニシキギ/ハナモモ/ヒペリカム/マツ/マユミ/モクレン/ドドナエア/ヤナギ/アカシア/サクラ・ハナモモ/ユーカリ/シキミ/パンパスグラス/アカメガシ・シモツケ/ロウバイ

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