畑の土を改良したり、よい状態に保つ方法として「太陽熱養生処理」があります。『現代農業』2023年7月号では、編集部によってその再現実験が掲載されました。ここでは、本誌に載せきらなかった実験のようすや裏話などをお届けします。
太陽熱養生処理とは…?
「作付け前の畑に有機物や有用菌を入れて十分にかん水し、透明マルチで被覆。微生物によって土をよくする技術。微生物が有機物を分解して発生した炭酸ガスが土中深くまで浸透するので、短期間に深くまで土がやわらかくなる。太陽熱で地温が高くなるので、土壌中の病原菌や害虫、センチュウ、雑草なども防除できる。『現代農業』では「太陽熱消毒」といわず、土づくりの効果も期待して「太陽熱処理」と呼んできた。(一社)日本有機農業普及協会の小祝政明さんらは「太陽熱養生処理」と名づけ、普及している。」(『現代農業』2023年7月号p142より)
いつも現代農業WEBをご覧いただき、ありがとうございます。現代農業WEBチームのくらいち&たじはるです。『現代農業』2023年7月号の特集で、編集部によって「太陽熱養生処理」の再現実験が行われるということで、WEBチームも参加してきました。
その実験のようすを、時系列でご紹介します!
3つの試験区をつくって比較しました。
【A区】土+緑肥(有機物)+えひめAI(有用微生物)
【B区】土+緑肥
【C区】土のみ
ふつう太陽熱養生処理は、積算温度が300度になるまで行なう必要があるため、夏中心に行ないます。(日中の気温が一番高い温度を足し続け、その合計値を積算温度といいます。)
しかし、今回の実験を行なったのは、春先です。念のため、期間を1カ月間とり、積算温度が300度を超えてから以降も計測を続けました。
実験開始!
▼1日目 日光の当たる屋上に設置してすぐ、水蒸気でビニール袋がくもり始めました。
▼3日目 すべての区でまだ変化はみられません。
▼5日目 A区で土が少し柔らかくなってきた?よい調子!
そして10日目、事件がおきる…
鳥獣害の代名詞、カラス襲来!
その日もいつものように計測のために実験場に行くと、不穏な黒い影が2つ。そうです、カラスが土をイタズラしにやってきたのです。
カラスに絶対にイタズラさせてはいけない!そう思った私は、正面から滑空してくるカラスから土を守るため、とっさに土に覆いかぶさりました。
「ギャアア」という鳴き声とともに髪の毛を2、3本もって行かれましたが、その日は土を守り切りました。
その後も鳥害に苦しむ…
カラスたちは人間など恐るるに足らずと言わんばかりに、計測のたびに周囲を飛び回ります。そしてついに、密閉用ビニールには嘴でつついた穴が空き、微生物によって発生した貴重な二酸化炭素は空気中へ…
急いでビニールテープでカラス除けを作り、応急処置を行ないました。
めげずに計測を続けること、1ヶ月
カラス害により一時は諦めかけた実験でしたが、土の中では見た目では気づかないような変化が起こっていました。
土を触ってみると、有用微生物を追加したA区が明らかにやわらかい!団粒構造がつくられていたのです!
それでは、地力チッソの変化はどうだったでしょうか。
有用微生物あり(A区)となし(C区)を比べると、A区で地力チッソが増えています!
このように、外見では大きな変化はなかった実験でしたが、土の中では日々変化が起きていたのです。
やはり太陽熱養生処理は効果がありました!
失った髪の毛も無駄にはならなかった!
まとめ
いかがでしたか?
今回は原稿作成の都合で、時期をずらして実験しましたが、もっと暑い季節に行えばさらに効果があらわれるでしょう。その際、鳥よけも忘れず、カラスには十分お気をつけください。
「太陽熱養生処理」については、「ルーラル電子図書館」で過去の関連記事を見ることができます。ぜひチェックしてみてください!
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BLOF(ブロフ)理論で有機菜園
農文協 編
2,420円 (税込)
有機栽培でも驚くような収量がとれ、味が濃く栄養価の高い野菜がつくれる!本書では、小祝政明氏の提唱した「BLOF」理論の基礎と実践を、家庭菜園向けにわかりやすくイラスト豊富に解説。太陽熱養生処理で土壌団粒を高速につくり、ミネラルバランスを整えて光合成能力を最大限に発揮させ、アミノ酸を根から直接吸収させて「炭水化物」を余らせる生育に。小さい畑での太陽熱養生処理のコツ、酵母菌・納豆菌・乳酸菌などの有用微生物の増やしかた・使い方、野菜43種のBLOF流の栽培レシピも掲載。