お酢をかけて雑草を選択的に枯らす「酢除草」がいま産地で進化・拡大中です。現代農業2023年6月号「酢除草」コーナーのなかから、ネギの除草に酢を使う横山さんの記事の一部を公開します。
長野・ 横山和彦
悩みの種ナンバーワンが 雑草
こんにちは!(株)土あげ商店の横山和彦と申します。長野県坂城町でおいしさにこだわった野菜づくりをしながら、全国の農家への栽培アドバイスを行なっています。ネギ産地である埼玉県深谷市にて10年以上アドバイザーをしていたため、特にネギを得意としています。
2020年9月頃より、ネギ畑で酢除草の試験を始めました。
きっかけは二つあります。一つは、ネギ農家の悩みの種ナンバーワンが雑草だからです。深谷では夏になると「草がどうしようもないね」という言葉があいさつ代わりになるほど、とにかく皆さん困っています。しかも、ネギの雑草対策は技術的進歩が少なく、画期的な除草剤もありません。10年以上前から何とかしたいと思っていました。
もう一つは、現代農業20年9月号にて、酢除草の記事を見たからです。イネは枯れずに、他の雑草はけっこう枯れるとあり「もしかしたら、ネギも枯れないかも!」と思いました。
酸度3%で10a150L作条散布
そこで、『現代農業』や他の情報を調べながら、さっそく試験をしました。3年間で、埼玉県と長野県において8パターンほど条件を変えて行ないました。
その結果、高温・乾燥時に酸度3%のお酢を 10aあたり100〜150L作条散布(ネギが植えてある列のみにスジ状に散布)すると高い除草効果が得られることがわかりました。ネギの薬害症状はほとんどありませんでした。
散布後の雑草は、葉が焼けるように枯れます。枯れるスピードは速く、高温晴天時は1時間ほどで枯れ始めます。ただし茎や根はほとんど枯れないので、復活が早いのは残念です。
▼ 効果が出やすい雑草の種類
主に、葉肉が薄く、散布液が付着しやすい広葉雑草によく効く印象です。畑地だとアカザ、クローバ、ドクダミ、田んぼだとコナギ、オモダカなど。キク科雑草にも多少効果が見られます。
一方で、薬剤が付着しづらい、または水分を多めに含んでいる雑草には効きづらいようです。そのためネギにも効かないのかと思われます。具体的にはイネ科雑草、カヤツリグサ科雑草全般、スベリヒユなどです。また、広葉雑草でも、大きくなればなるほど効きづらくなってしまいます。
▼ 副次的な嬉しい効果
濃いお酢を作条に散布すると、除草以外にもネギにとって嬉しい効果がたくさんあります。
・病害虫を忌避する
・高温乾燥に強くなる
・根張りがよくなる
・ガッチリする
また、除草剤と違って使用回数制限がないことや、土に優しい成分であること……
詳しくは2023年6月号をご覧ください
2023年6月号「酢除草」コーナーでは、この他にも以下の記事も掲載しています。ぜひ本誌でご覧ください。
- コウノトリ育むお米 機械除草後にブームスプレーヤで散布 森田強
- 田植え機を改造し酢散布機を自作(兵庫・小橋季敏さん)
- 湛水中のアゾラにドローンで散布 本田忠寛