現代農業WEB

令和6(2024)年
4月20日 (土)
卯月
 友引 甲 寅
旧3月12日

あああ

ホーム » イベント » 【誌上タネ交換会】こんなタネが出品されました

【誌上タネ交換会】こんなタネが出品されました

自分で採った自慢のタネはありませんか?ぜひ『現代農業』誌上タネ交換会ご応募ください。応募方法はこちらです。

神奈川県・清水まゆみ

名人が残したのらぼう菜

  のらぼう菜は、アブラナ科西洋ナタネの仲間です。神奈川県川崎市の菅地区で長く栽培されてきた伝統野菜で、「のらぼう」と呼ばれ親しまれています。9月にタネを播き、冬の間に育ち、3月、春の訪れとともに収穫期を迎えます。地元では「春の訪れを知らせてくれる野菜」といわれています。

 クセがなく柔らかいので、子どもたちにも人気があります。生でサラダ、茹でておひたし、ごま和えもおいしいです。

 今回出品するのは、川崎市ののらぼう菜栽培の第一人者、故・髙橋孝次さん(享年 88 )が 70年以上自家採種し続けてきたタネです。髙橋さんは2020年12月に亡くなりましたが、その後も奥さんと愛弟子がしっかり引き継いで採種し続けています。

 髙橋さんの残したタネは早生です。また明治大学農学部の調査によると、関東の他地域ののらぼう菜とは形態や遺伝子が異なり、アスコルビン酸やカルシウムの含有量が高いとわかっています。

 詳しい栽培法や食べ方(レシピ)は、髙橋さんの著書『のらぼう菜 太茎多収のコツ』をぜひご覧ください。

のらぼう菜 太茎多収のコツ

髙橋孝次 著

のらぼう菜は東京・埼玉・神奈川で栽培される伝統野菜。似た野菜の「菜の花」に比べて苦味がなく甘みがあり、その味のよさから近年注目されている葉物野菜(セイヨウアブラナ)だ。春先の葉物の端境期に出荷でき、著者は10aで100万円以上売り上げる。本書では、著者が半生をかけて取り組んだ、のらぼう菜を太茎で長期出荷する栽培技術を解説。また、謎の多いのらぼう菜のルーツの最新研究成果、おいしいレシピ・加工アイデアも紹介する。のらぼう菜と共に生きた著者の半生の記録や、地元の小中学生に行なう食農教育も紹介。

水稲マニアの種モミ

徳島県・東出 圓朗(のぶお)

  県の農業普及所でイネを担当しており、退職後も趣味でさまざまな品種を育てています。昨年は3aの試験田に14品種のイネを栽培しました。

 誌上タネ交換会には毎年参加していて、今回は以下の品種の種モミを出品しました。

かばしこ(香子)

  日本の香り米です。種モミは秀明自然農法ネットワークから入手。普通の品種に混ぜて炊くと、香りがよくなります。私はミルキークイーンに1~2割くらいの量を混ぜて食べています。

 高知県の「ヒエリ」という香り米も栽培していますが、これら日本の品種とパキスタンの有名な香り米「バスマティ」とはほぼ同じ香り成分ですが、その含有量はかばしこやヒエリのほうが高いそうです。バスマティはそのまま炒めて食べたりしますが、日本の香り米は普通品種と混ぜて炊飯するのがピッタリです。

アクネモチの変種

  古代米のモチ種。上質で粘りの強いもちができます。少し早刈りすると玄米がヒスイ色で、緑モチとも呼ばれます。

 6~7年前から栽培していますが、2年前、他の株より出穂が1週間くらい遅いものを発見。選抜して増やしています。穂の黒紫が濃くて美しく、玄米にした時の緑色も鮮やかに出ます。

神丹穂

  出穂時の稲穂が美しい観賞用のイネです。徳島県の神社に古くから伝わっていたものが、各地の愛好家に広がったといわれています。かつては県道脇の水田10aくらいで栽培し、多くの人に楽しんでもらいました。現在は規模を縮小し、収穫したものを乾かして、氏神様に奉納してしめ飾りにしてもらっています。直売所にも出荷しています。お月見の頃になると、ススキの代わりによく売れます。

「農文協園芸部」最後のタネ

農文協園芸部

  農文協の旧事務所(東京都港区赤坂)の屋上では、さまざまな野菜や果樹、穀物などを育ててきました。本社は22年末、埼玉県戸田市に引っ越しましたが、移転先の屋上では栽培ができず、作物たちは大ピンチ!『現代農業』読者の皆さんに、残されたタネをつないでいただけると幸いです。

黒もちトウモロコシ

   10 年以上前に通販で入手した「黒もちとうもろこし」を屋上やら社屋の脇やらで育てて自家採種を重ねたもの。他の在来種と交雑したのか、白や紫の粒も混じるようになったが、食べると昔懐かしのおいしさ。粒が少し透明なのは、交雑して「ウルチ化」が進んでいるからだとか。

ボリビアの黒ラッカセイ

  職員がどこからか入手、こぼれダネで繁殖した。普通のラッカセイは茎が横に広がるが、野生に近いからか上へ上へと伸びていく。花が咲き終わって子房柄が伸びてきたら、しっかり土寄せするか茎を地面へくっつけてやる。

小粒の黒大豆

  赤坂の自然食品店で購入した豆だとかで、何年も前から農文協の屋上で育てられている。野生に近いからか、サヤはふさふさ。味は濃厚で、しばしば編集部のおやつになった。

エビスグサ

  職員が長崎県南島原市を巡回中、有機野菜農家からいただいたもの。その地域には、小豆島から島原に移住した先祖が、素麺とともにエビスグサを持ってきたという伝説が残っているとか。

農家が教える タネ採り・タネ交換

農文協 編

1,650円 (税込)

『現代農業』のタネ採り、タネ交換の記事をベースに新たな記事を加えてまとめた。「どんな野菜でも採れるの?」「タネはいつ採ってもいいの?」「交雑してヘンな品種ができてしまうのでは?」などといったタネ採り初心者の疑問や不安にやさしく答える。タネを採れば、自分の畑に合った強いタネにすることができる。市販のF1品種でも年数さえかければ強化できる。そんなタネを交換しあう交換会も全国にある。本書では全国タネ交換会一覧や、タネ交換できる農家の連絡先リスト、タネ屋推薦タネ採り向き品種リスト、作物別さくいんも収録。