長野市・相沢耕市さん、阿部惣一さん

2021年3月号では、長野での縦穴排水の流行っぷりを、余すところなく紹介した……つもりだった。ところがその後、試験場や生産部会などで穴掘り機を購入・貸し出しする事例が相次ぎ、地域の縦穴熱はよりいっそうの高まりを見せているという――。
静かでパワフルな「マイ」電動オーガ
「軽くてね、静かでしょ。エンジン式に比べて振動も少ないし……いいんですよ」
長野市松代町、丸ナスが鈴なりになった小さな畑で、相沢耕市さん(68歳)は語る。相沢さんは3月号の表紙にも登場したキク農家。2020年は長雨で周囲が湿気によるセンチュウ害に悩む中、事前に畑に縦穴を掘っていたため、被害はほとんど出なかった。その際は指導機関が用意した実演用のエンジンオーガを使ったが、このたび、念願のマイオーガを手に入れたのだという。それも、ちょっとお高いバッテリー式のオーガなんだとか。
「エンジン式のものと同じくらいパワーもありますし、電池もぜんぜん減りません。1回充電しただけで、300回くらいは掘れますよ」
相沢さん、普段は物静か。ここまで熱を入れて語るとは、マイオーガにぞっこんの様子だ。オーガを手に入れたタイミングもよかった。所属するJAグリーン長野の花卉部会では、今年エンジンオーガを購入してレンタルを始めた……が、予想以上の人気で、2カ月先まで予約ギッチリなのだという。
「自分で持っていれば、好きなときにいろいろと使えます。植え穴を掘るときとか、フラワーネットの支柱立てにも。これまで手動の穴掘り機を使っていたので大変でしたが、オーガなら、5cm径のドリルで掘って角材を数回打ち込むだけです。妻も気に入っちゃって、『私が掘る、私が掘る』って」
バッテリー式オーガとは


縦穴掘りを実演


毎年しける畑……今年はカボチャが調子いい
ところで、相沢さんが立つこのナス畑、近所に住む阿部惣一さん(73歳)のもの。阿部さんも、縦穴の効果を実感した一人だ。相沢さんが表紙になった2021年3月号を見て、すぐさま連絡。オーガを借り、直売野菜を育てるこの畑で実際に使ってみた。
「うちの畑はもともと田んぼだったりして、水が抜けにくくって、毎年しけっちゃってたんだよね。一昨年はジャガイモつくったんだけど、もうぜんぜんダメ。ピーマンなんかもダメだった」
これまでもスコップで畑周囲に溝を掘ったり、土を移動して水が流れるようにしたり、いろいろ対策してみたが、目に見える効果はなく、毎年湿害が出ていたという。しかし今年の春、縦穴をガンガン掘ってから植えてみたら……。
「いやぁ、カボチャもナスもしっかり育って、ホントに調子がいい。カボチャなんて、こんなに大きくなることないよ。確実に効果あったと思うね」
阿部さん、とにかく穴は多いほうがいいと考え、・・・
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