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〈農業情報サイト「ルーラル電子図書館」をつかいこなす〉「今日のオススメ」もおもしろい

愛知県・小澤岩次

青枯病でミニトマト10aが全滅

 わが家は露地野菜から始まり、親の代に施設栽培のピーマンに転換。オイルショックによる作物転換(重油代のかからないものへ)を経て、現在ミニトマトをメインに栽培しています。

筆者(52歳)。ハウスミニトマト45a、水稲45aを栽培。農薬や化学肥料をなるべく使わない栽培を目指す

 『現代農業』は、親の世代から長年購読してきました。私にとって当初のイメージは「水稲栽培に特化した本」。施設栽培が大きく技術革新してきているのに、有機農法や自然農法の記事が多く、新技術については紹介程度しか載っていないと思っていました。

 施設栽培では、雨を凌いだり、理想の温度管理ができたりと、計画的な栽培が可能です。ただし、問題となるのが、連作。露地と違い雨による土壌の洗い流しもなく、同じ場所で同じ作物をつくり続けるので、pHや養分バランスが偏ってきます。施設栽培への転換以降、年々生育は悪くなり、病気も発生。土壌改良剤の投入や、薬剤による土壌消毒なしでは、栽培が難しくなってきていました。だましだまし栽培を続けていましたが、10年ほど前、ついにミニトマトで重度の青枯病が発生してしまいました。

 当時は油剤系の土壌消毒剤に、定植前の粒剤、植え穴にも粒剤を入れ、栽培中に病気の症状が現われれば液剤を流すなど、農薬に頼りっきりでした。それに加えて、青枯病に強い台木を使っていたにもかかわらず、収穫目前という頃になって、10aの圃場を全滅させてしまったのです。

微生物資材の記事が助けに

 ここで考え方を一転させることができたのは、『現代農業』の記事のおかげでした。じっくり読み直してみると、土壌と向き合い、植物生理をうまく生かす術について、実践例や生産者目線でのポイントが多く紹介されていることに気付かされたのです。

 青枯病被害の後、地域の栽培指導員からは「青枯病が出たのなら土壌から離れ、隔離栽培するしかない」とまで言われました。しかし、諦めきれない私は、本誌で紹介(次ページ上)があった微生物資材「コフナ」を利用した土壌還元消毒に挑戦。再挑戦1年目から、何とかミニトマトを栽培できる圃場に回復させることができました。今では農薬による土壌消毒は一切せず、コフナ、米ヌカ、牛糞堆肥による還元処理のみで数年栽培しています。

 土壌は生きている。いい菌も悪い菌も共存していて、バランスが重要である。メーカーや指導機関がなかなか言ってくれないことを、学ぶことができました。本誌の記事は実際に取り組む人の目線で書かれているので、共感でき、同じ悩みからの克服ストーリーにも触れることができます。

筆者が参考にした伊藤健さんの還元処理の記事も、ルーラル電子図書館に収録。コフナや米ヌカをまいたハウスに水を引き入れ、テーラーで代かきする

両親は冊子、自分はルーラル

 そんな私にとって「ルーラル電子図書館」は念願のサービスでした。自宅の棚(と床)には、これまで届いた毎月の『現代農業』を並べて(積んで)ありますが、なにしろ何十年分もあるので、以前は「ちょっとあの記事を読み返したい」という時に、なかなか見つけることができませんでした。

 昨年3月に農文協東海支部の職員が来訪し、ルーラルをデモしてくれました。存在は知っていましたが、どういうサービスかは知らず、実際に見るのは初めてです。スマートフォンやタブレットで見ることができ、思い立ったときに記事や農業技術について調べられます。一番気に入ったのは、「検索窓」です。グーグルと同じくキーワードで検索すれば、求める記事に、ピンポイントでたどり着ける! その場で契約を決めました。

 現在は、ルーラルと冊子の『現代農業』を両読(両方とも購読)しています。冊子はおもに両親用です。80歳間近ですが、2人ともまだまだ野菜づくりには意欲的で、本誌もよく読んでいます。ただ、電子より冊子のほうが慣れているので両読してるわけです。冊子が届くと、まず私がパラパラと読んで、最新事情やルーラルでは検索しないであろう記事にも目を通したら、後は両親へ。私はもっぱらルーラルを利用……という流れになります。

酢や石灰の記事を参考に実践

 圃場では、空き時間や作業の確認が必要なときなどに、スマホでササッとルーラルを見ています。タブレットも軽トラに置いておいて、大きな画面で見たい場合に使っています。

 最近よく見ているのは、共存や共生といった話題です。土壌には土壌の世界があり、植物は微生物の力を借りて生きています。一方、地上部でも環境や植物のもともとの生理、他植物との共生作用などが関わり合っています。私は、このバランスを崩さない・よくする農業――大きくいえば「化学農薬・化学肥料に頼らない自然型農法」に思いを置いています。

 昔から伝わる農法や自然界にある物の活用法など、本誌の実践記事はすごく参考になります。私が実践した例だと、酢や石灰。酢は液肥に混ぜて散布したり、土壌にまいて微生物のエサにしたり。石灰は、うどんこ病防除に消石灰をふりかけている他、カルシウム剤としても使っています。技術の変化に関係なく参考になる事例は多く、ルーラルでは古い記事から見られるので、大変参考になります。

「今日のオススメ」がヒントに

 また、ルーラルのトップ画面で毎日更新される「今日のオススメ」は、空いた時間によく見ています。農業のトレンドや時期に合った話題を提供してもらっている感じで、アイデアのタネになります。ここにはよく「ばあちゃんの知恵袋」的な記事や「あっちの話こっちの話」なども載り、ほんわりした話題の中にもヒントがある気がして、必ず目を留めるところです。

 欲を言えば、一つの記事を載せるだけでなく、関連する他記事へのリンクも載せてもらいたい。興味のある話題については、いろんな記事を見てより考えを深めたいと思います。また、過去のオススメの一覧があると、忘れた時に便利ではないでしょうか。

「ルーラル電子図書館」のトップ画面。「今日のオススメ」は、2020年追加のコンテンツ。時期に合わせた『現代農業』の過去記事などを毎日更新・紹介する

 『現代農業』のように、先端技術から民間農法にまで触れられる冊子は、他にないように思います。そんな本誌が「ルーラル電子図書館」の導入で、今まで以上に身近になりました。

(愛知県豊川市)

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*月刊『現代農業』2022年3月号(原題:農業が面白くなるルーラル電子図書館(11)「今日のオススメ」もおもしろい)より。情報は掲載時のものです。