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【カビなし、きれいな干し柿をつくる】30%まで乾燥で仕上がり一変 「干しかけ」も大人気

近年は秋の気温がなかなか下がらず、干し柿がつくりにくい!? 色よくおいしく仕上げる工夫をご紹介します。

執筆者: 青木伸代(京都府与謝野町)

『現代農業』2026年11月号「30%まで乾燥で仕上がり一変 「干しかけ」も大人気」より

縁起物にもお茶請けにも

 京都府の北部、与謝野町で野菜づくりをしながら農産加工直売所「あつえ彩菜館」の運営に携わっています。畑は20aほどで、イモやマメ、果菜類を栽培。母が知人からタネをもらい40年あまりつくり続けてきたマメ類を絶やしたくないと、毎年播種からタネとりまでを頑張っています。『現代農業』の「誌上タネ交換会」では、うっかりなくしてしまったタネの「タネ返し」をお願いし、危機を救っていただいたこともあります。

 当地では昔から大美濃柿で干し柿をつくるのが習わしで、ほとんどの家の庭に樹があります。町内では「与謝のころ柿」という高級な贈答品としてつくられるものもあります。干し柿は「大晦日に食べることで一つ年をとる」縁起物としても、甘いおやつの少なかった頃のお茶請けとしても欠かせないものでした。

近年はカビたり落ちたり

 わが家にも大美濃柿の樹があります。40年あまり前は11月末にカキをぼり(丹後弁で収穫すること)、皮をむいて干すと木枯らしが吹いて、カビることなく乾きました。ほどよく乾いたら揉んで形を整え、ワラを敷いた箱に入れて、日当たりのよい縁側でさらに干すと、白く粉を吹いて柿霜ができ、上等の干し柿ができあがるものでした。

 ところがいつの頃からか、11月より前にカキが熟してぼらなくてはならなくなり、気温が高いので干してもカビたり乾かずに熟柿になってボトボト落ちたりすることが多くなりました。

 そこで、硫黄でいぶすとか、干す前に熱湯にくぐらせるとか、その湯に食酢を入れるとか、皆おのおのの工夫や経験を伝え合って試行錯誤しました。私は「天気のよい日に数日干して表面が乾いたら冷凍し、12月以降気温が下がってから軒に干す」と叔父が教えてくれたようにしていました。

 小美濃柿の苗木も植えました。大美濃柿より小ぶりで、早く乾いて干し柿ができやすいだろうと考えたのです。

 その後、前述の農産加工直売所に食品乾燥機が導入され、使用料を払えば個人も使えるようになりました。私はここで表面だけ乾燥させて冷凍し、気温が下がってから干していました。それでも思うようなものはなかなかできませんでした。

生柿の30%重まで乾燥する

 そんななか2023年に農文協の新刊書紹介を見て「これだ!」とすぐに注文したのが『1週間で絶品干し柿』です。読んで、まあ世の中にはこれということを突き詰める人がいるものだと感心しました。干し柿の歴史から各地のつくり方、カキの種類もさることながら、自作の道具や実験データまで網羅されています。干し柿愛に感化され、私も干し柿づくりを大事に続けたいと思いました。

 一番参考になったのは、皮をむいた実の重量の30%ほどまで乾燥させてから、揉んだり柿霜を出す手立てをとったりすることでした。さっそくむいた柿の重さを量り、乾燥機にセット。それまでより3倍の時間を乾燥機にかける必要があることがわかりました。

 知り合いでシイタケ用乾燥機を使って干し柿をつくっている方にも本を見せました。その方も近年カビが生えやすく、丹精して干した柿をたくさんほかす(捨てる)ことに悩んでいましたが、本を参考に取り組まれ、「ほんまに柿霜が出てきたぞ」と喜んでおられました。

皮をむいて食品乾燥機のトレイに並べた小美濃柿
皮をむいて食品乾燥機のトレイに並べた小美濃柿
30%重になるまで乾燥させてから揉んで形を整えた様子

「干しかけの干し柿」が大人気

 25年は春から異常でした。まずウメが大豊作で過去最高の加工量でした。プラムやプルーン、照手水蜜桃なども驚くほどなりました。こんな年は天変地異が起こるのではないか、自然の恵みを蓄えて備えよという警告なのではと、せっせと加工に取り組みました。そしてカキ。どこもかしこもたくさんなり、ぼっても食べきれない、もらってくれる人もない~。そんな秋でした。

 せっせと食品乾燥機で乾燥させては、揉んで布団干しに下げていく。できあがりに近づいたらヒモを外して冷蔵する。柿霜が出るように冷蔵庫から出しては揉んで、という手順で、失敗なく干し柿がつくれました。直売所で販売するほか、小美濃柿の小さい干し柿は保育園のおやつに買っていただくこともありました。それでも昨年は柿が多すぎて乾燥機にかけた後に干す場所がなくなったので、そのまま直売所で「干しかけの干し柿です。おうちで干して完成させてください」とポップを付けて販売しました。

 すると「干し柿づくりは大変だけど、ここまでしてあったらやるわ~」と、次々に売れ、こういうものに需要があるのだと大発見でした。完全に仕上げた干し柿を直売所で販売される方も例年より多かったので、競合を避ける意味でもよかったと思います。

ヒモをつけて布団干しに仕上げ干しをしているところ。昨年はこの干しかけの状態のものを直売所で販売したところ、大人気だった
ヒモをつけて布団干しに仕上げ干しをしているところ。昨年はこの干しかけの状態のものを直売所で販売したところ、大人気だった

 今年は裏年ですが、予想以上に実がなっています。昨年は干し柿に加工しきれず、多くを無駄にしてしまいました。今年は一つ残さず加工しきって、カキの樹の頑張りに応えたいと思います。

1週間で絶品干し柿

簡単、無添加、きれいにできる

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現代農業 2026年11月号

特集:安くて頑丈 ハウス・倉庫・小屋作り

定価
1,100円 (税込)

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