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【いま、ウッドボイラーがおもしろい】10tタンクにお湯をためて重油代82%減 30aのハウスに対応

ウッドボイラー 1トンタンク

燃油価格が高騰するなか、薪でお湯を沸かしてハウスを暖める「薪ボイラー」がいま注目されています。今回は、その薪ボイラーをさらに進化させた取り組みを紹介します。

取材対象者:宮下清次郎さん(長崎県諫早市)

『現代農業』2026年11月号「10tタンクにお湯をためて、重油代82%減」より

重油代で月200万円!?

 ハウス50aでミニトマトを9~6月どりしている宮下清次郎さん。ハウス内を10℃以上に保つために、重油暖房が欠かせない。13年前に経営移譲された当時の重油代は、1L当たり約50円。

「高いと感じながらも、重油代は必要だからしかたないと思っていました」

 5年ほど前からはミニトマトのブランディングに取り組み始め、単価を上げようと努力したが、それを上回る勢いで重油代は上昇し、とうとう70円に。ひと月にハウス50aの重油代が200万円かかる年もでてきた。「やばいですよね」。

 そこで、いままで当たり前だと思っていた重油に頼る暖房方法を考えなおすことにした。

ウッドボイラー 1トンタンク
誘引作業をしている宮下清次郎さん(41歳)。宮下農園としてイネとミニトマトを栽培

薪ボイラーが使えそう

 いろいろ検討した結果、注目したのが薪を使った暖房機。なかでも、薪を燃やした熱でお湯を沸かし、そのお湯から熱を取り出して加温する「ウッドボイラー」(エーテーオー(株))に惹かれた。薪の熱で空気を加温する「薪ストーブ」と異なり、薪ボイラーは薪が燃え尽きてもお湯の熱が続くかぎりはハウスを加温できるからだ。

 ただ、大型の機種でも30aのハウスの最低夜温を一晩中10℃でキープするには不安がある。そこで、ウッドボイラーについている450Lの貯湯タンクの隣に10tタンクを増設し、ハウスの真横にボイラーとタンクを置いた薪ボイラー室を建てることにした。

ウッドボイラー 1トンタンク
ボイラー室に設置した「ウッドボイラーN-500NSBⅡ」(手前)と10tの貯湯タンク。合計10.45tのお湯を作り暖房に使う
冷暖房システムの仕組み 冬(赤矢印)はボイラーで温めた湯を10tタンクにため、夜間にファンコイルを通して暖気に変えて加温する。夏(青矢印)は配管を通して地中で冷やした水を10tタンクにためて、ファンコイルを通して冷気に変え、昼間のハウス温度を下げる。このシステムは特許出願中

70℃のお湯から暖気をつくる

 加温するのは夜間だが、薪をくべる作業は午前から始まる。長さ1mほどに切った薪をボイラーの燃焼室にガンガン継ぎ足し、貯湯タンク内の水を70℃以上に上げる。燃焼室に入れた薪は1時間半ほどで燃え切るので、農作業の休憩のタイミングで薪を足す。

 夜間はバイトを雇い、午前1時まで薪をくべ続ける。約10.5tある水を70℃以上にするには時間がかかるからだ。お湯はファンコイルユニット(水が流れるコイルに風を当て、水の温度を風に移して暖房や冷房にする装置。エアコン)を通して暖気に変える。

「ファンコイルの送風機能は弱いから、何台も必要って業者に言われたんですけど、高いじゃないですか。それで、もともとある重油暖房機の送風機能を使うことにしたんです」

 ファンコイルと重油暖房機の空気取り込み口をダクトでつなぎ、暖房機の送風機能でハウスに送る。お湯が20℃まで冷めて夜温10℃以上を保てなくなったら、重油暖房機が作動するハイブリッド式にした。

10a、月15万円以上の節約

 今年1月、この暖房システムが完成。さっそく30aのハウス(15a2棟)で薪ボイラー、20aのハウス1棟で重油暖房を焚き、重油使用量を調べてみた。2月の10a当たりの重油使用量が従来のハウスでは約1500Lに対し、薪ボイラーのハウスは約267Lで、82%削減できていた。約15万円以上の節約になる。

「薪は地域の解体屋さんから塗装などがされていない木を、タダでハウス横まで運んでもらっています。今の重油代が137円くらいなんで、薪がタダで手に入って本当に助かりますよ」

 もらってきた「未利用木材」はハウス横に野積みし、定期的にボイラーに入る1m程度の大きさにチェンソーで切る。木を切る作業と、薪を夜中までボイラーにくべる作業が加わったため、人件費は月9万円ほど増えたが「重油代に比べたら、こんなの屁でもないですよ」。

解体屋からもらった木を切る宮下さん。薪は野ざらしでも問題なく燃える
解体屋からもらった木を切る宮下さん。薪は野ざらしでも問題なく燃える

2~3年で導入費用がペイできる

 気になるのが導入コスト――。

「薪ボイラーと10tの貯湯タンク、ファンコイル、ボイラー室の設備費用で約1000万円です。導入コストはかかってしまいますけど、いま大変なのは重油代のランニングコストじゃないですか。これが地域にあってタダ同然で手に入る未利用の木材を使えば、かなり下げられる。魅力的ですよね」

 宮下さんは毎年11~4月までの約5カ月間加温している。現時点の重油代を考えると、「数年でペイできちゃいますよ」。投資する価値は十分ある。重油暖房機で加温している残り20aのハウスも、ハウスの更新がすんだらこの薪ボイラーを入れる予定だそう。

ファンコイルユニット(右)と重油暖房機をオレンジ色のダクトでつなぎ、暖房機の送風機能でハウス内に暖気を送る。暖房機は明け方や寒波が来た時以外、ほぼ動かない
ファンコイルユニット(右)と重油暖房機をオレンジ色のダクトでつなぎ、暖房機の送風機能でハウス内に暖気を送る。暖房機は明け方や寒波が来た時以外、ほぼ動かない

夏の冷房にも使える

 おもしろい機能がもう一つある……

この記事の続きは『現代農業』2026年11月号をご覧ください。

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