地球上にある菌根菌菌糸の総延長は、太陽までの距離の10億倍。ありとあらゆる場所から、「生きもの肥料」を宿主作物に届ける。持続可能な栽培の救世主として、注目度急上昇中!
アーバスキュラー菌根菌(AM菌)は、7割もの植物と共生する菌類。自然界での養分循環を支える貴重な存在だ。その姿は、じつに生きもの肥料の運送業者!?
『現代農業』2026年10月号「生きもの肥料をつなぐ菌根菌 きほんとおもしろ最新事実」より
生きもの肥料とは
植物や菌糸ネットワーク、そこから漏れ出す養分とそれに集まる微生物など、生きもの全体が持つ循環的な養分を表現する概念で、外部から投入する肥料や、一般の土壌分析で測定される土壌粒子表面の無機養分に対することば。(『現代農業』2026年4月号「いま注目の菌根菌とその仲間たち 連続講座(1)」より)
これだけは知りたい、AM菌のきほん
リン酸などの養分を探し、根へと届ける
菌糸は植物の根に侵入し、内部に養分のやり取りの場である「樹枝状体」を形成。一方、先端では他の菌の力も借りつつ養水分を吸収する。吸収した養水分を樹枝状体に送ることで、植物の「第2の根」としての役割を果たす。
耕起条件や富栄養状態だと活躍しにくい
菌糸は地表20cm程度に多く存在。耕すとそのネットワークがバラバラになり、菌が減ってしまう。また、植物が使えるリンなどが多いと、菌根菌の共生率は小さくなり、数も減ってしまう。
わかってきた最新事実
地球上の菌糸の長さは地球−太陽間の10億倍
2026年6月の『Science』誌より。1万6000本を超える土壌サンプルの検査などから、地球上のすべての菌糸の長さが110京km(地球─太陽間の距離の10億倍)にも及ぶことが判明した。ちなみに、菌糸の総重量はすべての人間の重さの4~6倍になるという。
養分を探索しつつ物流ルートを確保
2025年の『ネイチャー』誌より。菌根菌は、先端部分では細い菌糸(低コスト)をあちこち伸ばして養分を探しつつ、元のほうの菌糸を束ねて養分を輸送しやすくしていく。つまり、養分の探索と物流確保を同時にやっている(進行波戦略)。
根から根へと炭素を分配する
今年6月の千葉大学の発表。2つの植物と同時に共生し、根と根を橋渡しした菌根菌の菌糸が、一方の植物からもう一方の植物へと炭素を運ぶことを実験的に証明した。植物間のエネルギー分配に活躍していそうだ!
『現代農業』2026年10月号の「さらに広がる! 菌根菌と菌糸の世界」コーナーには、この記事の他に以下の記事も収録されています。ぜひ、本誌またはルーラル電子図書館でご覧ください。
・有機不耕起栽培の畑、土手、育苗土で 菌根菌を調べてみると(神奈川・仲野晶子さん、(株)アライヘルメット・千徳毅さん)
・ウッドチップ堆肥に大きな効果!? 不耕起自然栽培へ 明石誠一
・【菌根菌写真館22】菌根菌の「資材」って、実際どうなの!? 千徳毅
・菌糸ネットワークがつなぎ、回す 生きもの肥料とはなにか 小八重善裕
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