身近な材料だけで、理想の土をつくりましょう!有機栽培等に欠かせない「ボカシ肥」は、肥料分を土やモミガラで薄めて発酵させたもの。山形県の小野寺喜作さんは、エダマメの残渣や落ち葉、モミガラなどの植物資源だけで極上のボカシをつくっています。
執筆者:小野寺喜作(山形県鶴岡市)
『現代農業』2026年10月号「エダマメ残渣、モミガラ、落ち葉 身近な植物資源だけでボカシづくり」より
有機農業歴26年、試行錯誤の日々
小野寺家ではかつて義母がブロイラーを飼っていたので、鶏糞を堆肥化して野菜をつくっていました。その後、韓国自然農業を学び、土着菌を使ったボカシづくりを試験的に開始。2000年に有機JAS認証制度ができたのを機に、有機農業に取り組み始めました。試行錯誤するなか、07年に作付けのすべてを無農薬・無化学肥料栽培に切り替え、農薬を使う罪悪感から解放されてラクな気持ちになったことを今でも覚えています。
同時期に、空いた鶏舎で本格的にボカシづくりを始めました。当初は自家鶏糞堆肥も材料に使っていましたが、現在はエダマメの残渣堆肥(枝葉、廃棄マメ、野菜クズなど)、米ヌカ、モミガラ、前年に残ったボカシ肥料、落ち葉など、身の回りにある植物資源を循環利用しています。
堆肥をベースにボカシをつくる
▼エダマメ残渣堆肥づくり
ボカシをつくる前に、まずエダマメ残渣堆肥をつくります。8~9月、収穫しただだちゃ豆の残渣(葉、茎、根、莢)を屋外に積み上げておきます。10月以降、残渣をトラクタのロータリで撹拌しながら、野菜クズや雑草、落ち葉、モミガラ、せん定枝、米ヌカなどを追加し、半月に1回切り返します。1年ほどで植物の繊維がある程度分解され、サラサラな土のような状態になります。
▼ボカシづくり
10月に、米ヌカ、モミガラくん炭、エダマメ残渣堆肥、前年の自家ボカシ(種菌)を空いた鶏舎に運び入れ、トラクタのロータリで混ぜます。材料を混ぜたとき発酵しやすいように、水分量60%ぐらいを目指して米ヌカやモミガラくん炭の量を調整します。
2~7日で発酵が進み、温度が50~70℃になったら10~14日に1回混ぜて全体の発酵を進めます。ある程度発酵したボカシにまたエダマメ残渣堆肥や米ヌカ、モミガラくん炭を足して切り返すのを繰り返し、ボカシを増やします。エダマメ残渣堆肥全量をいきなりボカシにしようとすると、発酵ムラができるので、少しずつ足しています。
畑をゆるやかなボカシ状態に
約4カ月ほどかけてつくったボカシを、春先から畑や田んぼで使います。露地は耕耘前に、20kgの肥料袋で反当たり約13袋、約2aのハウスは水稲の苗を片付けたあとに約10袋散布します。野菜の播種直前に施用するとボカシ中の菌が土中の有機物を分解・発酵して芽が出ないことがあるので、7~10日前に散布します。定植は直前でOKです。
野菜は基本的にボカシの元肥だけで栽培。生育状況を見て、ウネ間や通路に追肥的に利用することもあります。私はボカシのことを肥料というより、作物にとって生育しやすい、居心地のよい土をつくるためのものだと思っています。畑の土を「ゆるやかなボカシ状態」にするイメージです。
ボカシは菌がある程度有機物を分解しきった状態なので、施用してすぐ作物が養分を使え、土中にいる微生物の栄養源にもなります。そのため、初期生育が遅いと感じたことはあまりなく、野菜は慣行栽培と遜色なく収穫できています。
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