収穫したジャガイモのうち、小さすぎるイモや傷ついたイモ、緑化したイモって、もったいないけど捨てちゃいますよね。そんなイモたちを、ひと手間かけて「片栗粉」へ――。熊本で年2回ジャガイモを栽培する金光さんが、9kgのクズイモを最後まで使い切る方法を紹介します。
取材対象者:金光剛助(熊本県合志市)
『現代農業』2026年9月号「クズジャガイモから、自分で片栗粉をつくる」より
クズイモまで使い切りたい
熊本ではジャガイモを5月と11月の年2回収穫可能で、私も自家用畑15m²ほどで年2作つくっています。ジャガイモは、食べるに値しない小イモをそのまま放置すると、イモから芽が出て次の作にまじって生えて邪魔です。また、貯蔵中知らぬ間に芽が出たイモを畑の隅に捨てたら、それが根付いたという経験は、私だけじゃないでしょう。勝手に生えた株は病気や害虫の発生源になるので、理想は徹底的に収穫して全部胃袋に入れることです。
そこで自家製の片栗粉をつくって完全消費しています。クズイモが出る収穫後すぐと、休眠が終わり芽が出始めるころの年2作、計4回やっています。
片栗粉のつくり方
▼皮ごとつぶす
今回は捨てるはずの9kgのクズイモ(春作)を有効利用しました。使うのは収穫時に三叉鍬で傷がついたイモや緑イモ、小イモ、豆イモです。まず、前準備です。基本的に皮むきはいりません。ただし、傷イモの傷断面や、イモの芽のくぼみには泥や砂がついていて、片栗粉をつくるときに沈殿物に黒い粒が残るので注意してえぐり取ります。えぐみが残る緑イモの皮も取り除いていますが、あとで説明する水で洗い流す作業でほとんどえぐみも消えるので、そこまで神経質にならなくても大丈夫です。
ジャガイモをつぶすのに使うのは、ジューサーです。15年ほど前に通販で買ったもので、わが家ではニンジンジュースづくりにも使います。
▼水を替えて不純物を取り除く
ジューサーには水を入れずジャガイモだけすりつぶすと、アワアワした汁が出てきます。搾り汁をバットやボウルに溜めると、泡と一緒に粉砕された赤っぽい皮の色素が浮きます。丁寧に皮むきをしておけばきれいな泡になりますが、この後に何度も水替えをしたらどうせ赤っぽい色はなくなるので、皮はむきません。
しばらく静置すると底にデンプンが沈殿するので、残った赤っぽい濁り水を捨てます。このとき、小さな砂粒を見つけたら取り除きます。水を入れて底のデンプンを指でほぐしながらかき混ぜ、静置してデンプンが沈殿したら上に溜まった水を捨てる作業を何回も繰り返します。
3回目まではデンプンに赤っぽいのが残るので、すためる(傾けて水気を切る)ときに赤っぽい水をしっかり捨てることがきれいな片栗粉をつくるポイントです。5回ほど水替えを繰り返し、上澄みが完全に透明になったら、片栗粉の沈殿採取は終了です。
▼天日乾燥してミキサーで粉砕
容器の底には指で押すとあの独特の“ククッ”という感触のデンプンが溜まっています。乾燥するときは表面積を増やすために箸などで崩して小さな塊にして、バットなどの平たい容器に広げます。日が差す軒下で天日乾燥。晴天が続くと2~3日で完全に乾くので、最後にミキサーに入れて粉末にして、片栗粉の完成です。密閉容器に保存します。
料理や掃除に活用
できあがった量は、乾燥重量で578g。9kgのジャガイモから傷ついた部分や緑の皮を取り除き、赤っぽい濁り水も捨てたので、約8%の歩留まりでした。ジューサーにかける前準備からすため終わるまで約2時間。天日乾燥に約3日かかりました。
片栗粉はスーパーで買えば安いものですが、自作すると自家製ジャガイモが100%活用できます。料理はもとより、漂白剤を練り込んでカビ取り剤にも使えます。みなさんもぜひやってみてください。
『現代農業』2026年9月号の「くらし・経営・地域」コーナーには、この記事の他に以下の記事も収録されています。ぜひ、本誌またはルーラル電子図書館でご覧ください。
・【タネ友の輪っ! 農家レシピ4】ぬるぬるがおいしいオカノリのぬた 下村京子
・庭先、畑で出合える絶品里山キノコ5選 戸門剛
・「加工ねっと」研修会レポート(上)タケノコの穂先の皮は捨てるもの? 希少品?
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