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【花農家で広がる外気導入】外気と炭酸ガスを混ぜ混ぜ導入 キクの夏の開花遅延がゼロに

外気導入

「外気導入」とは、循環扇などの装置を使って、ハウス外の空気を内部へ強制的に送り込む方法です。夏は、外気を取り入れることでハウス内の温度を下げる効果があります。冬は、暖房機の空気取り込み口と外気をつなぐことで酸素濃度の高い空気を取り込み、燃焼効率を高めることができます。また、暖房機が必要な空気を外部から直接取り込むため、ハウスの隙間から冷気が入り込むのを抑える効果も期待できます。

執筆者:越川智尋(愛知県田原市)

『現代農業』2026年7月号「キクの夏の開花遅延がゼロに」より

驚き!真夏の夕方、モワッとしない心地よいハウス

 愛知県田原市で「八右衛門園藝」の屋号で、輪ギクやディスバッドマム、ダリア、草花類、アールスメロンを栽培しています。

 盛夏時のメイン品目は、盆から彼岸にかけて出荷する輪ギクです。輪ギクは近年の夏の高温多湿のせいで開花や生育が遅れてしまい、物日に間に合わなくなる問題が起きていました。

 ハウスの中より外気のほうが温度・湿度ともに低いので、自然換気を試みたのですが、窓を全開にしても換気がなかなか進まず、どうしても外気より高温多湿になってしまいました。そこで注目したのが「外気導入」の技術でした。

 ハウス壁面に取り付けたファンを回して、ハウス内の空気より湿度が低い外気を強制的に入れることで、ハウス内の気圧を上げ、元からあった高温多湿の空気を押し出すことが外気導入のしくみです。ハウス内の湿度が下がることで植物の蒸散が促され、それによって生じる気化熱でさらにハウス内温度を下げることもできます。

 外気導入の技術は見たことがありすでに知っていたのですが、自分のハウスでやってみる決め手となったのは2024年6月、市内のトマト農家のハウスを見学したときのことです。中に足を踏み入れて驚きました。真夏日の夕方だったにもかかわらず、外気導入によって温度も湿度も低くモワッとせず、とても心地よい空間だったのです。そのあとすぐ導入に至りました。

筆者(47歳)。施設約40aで、輪ギクなどの切り花やメロンを栽培(写真提供:鈴木玖美佳、以下Sも)
筆者(47歳)。施設約40aで、輪ギクなどの切り花やメロンを栽培(写真提供:鈴木玖美佳、以下Sも)

既存の暖房機のファンを利用前室作製に数万円のみ

 新しい機器は導入していません。既存の温風式暖房機と灯油焚きの炭酸ガス発生装置を使っています。

 ハウスの中に「前室」という空間を作り、その中に暖房機と炭酸ガス発生装置を置いて、暖房機のファンで吸い込んだ外気と炭酸ガスを前室内で混ぜ混ぜしてからダクトを通じてハウス内へ導入しています。この「前室」は、壁付近の一部の空間を鉄パイプとフィルムで隔離したもの。ハウスのガラスを数枚外して、外気の取り込み口を設けています。コストは数万円、1日で作れます。

 取り込んだ外気は、炭酸ガス施用のために配置したダクトを利用して、キクの株元へ直接送り込みます。

花農家
外気導入設備のイメージ図 取り込まれた外気は、炭酸ガスと混和され、ダクトを通じてハウスに運ばれる。外気に押し出されたハウス内の空気は、天窓から排気される
暖房機と炭酸ガス発生装置を置いた前室(ハウス内から見たところ)。暖房機の送風機能を使うと、外気が取り込まれる
暖房機と炭酸ガス発生装置を置いた前室(ハウス内から見たところ)。暖房機の送風機能を使うと、外気が取り込まれる
前室から延びたダクトで、外気と炭酸ガスがキクの株元まで届く
前室から延びたダクトで、外気と炭酸ガスがキクの株元まで届く
ハウスの外から見た外気の取り込み口(矢印)。虫が入らないように防虫ネットで被う(S)
ハウスの外から見た外気の取り込み口(矢印)。虫が入らないように防虫ネットで被う(S)

かん水量を増やす必要があった

 外気導入を最初に実施した24年は、近年にない猛暑の年でした。そのせいか外気導入によるハウス内温度の低下を肌では感じなかったものの、朝方にハウスへ入ったときの湿度が以前とまるで違い、例年よりもハウス内での作業が快適でした。

 ただ、輪ギクの開花遅延は収まりませんでした。原因は、外気導入で蒸散が促されたために起きた水不足です。それに気づき、昨年はかん水の頻度を増やしました。前年よりは気温が低く推移したこともあり、真夏の開花遅延を起こすことなく出荷することができました。また、外気導入を始めてから、過湿による下葉の黄化も減りました。

 今後はすべてのハウスで外気導入ができるようにしたいと考えています。

外気導入
開花遅延することなく生育が揃った、出荷直前の7月のスプレーマム(品種はセイスピカ)

秋や冬にも外気を取り込む

 外気導入は真夏だけの技術ではありません。

 ふつう、秋に炭酸ガス発生装置を使うと……

この続きは『現代農業』2026年7月号をご覧ください。

『現代農業』2026年7月号には、以下の記事も掲載されています。ぜひ本誌をご覧ください。

花農家で広がる外気導入

・夏の平均気温が1℃下がってバラの秀品率が上がった(栃木・田邉正剛さん)

現代農業 2026年7月号

特集:鎌、刈り払い機、モア よし、今夏の草刈り 楽しみだ

定価
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