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【土着天敵】定植後2カ月は殺虫剤ゼロ ネギのウネ間緑肥が土着天敵を呼ぶ

11月からほとんど雨が降らなかったので、水不足で外葉が枯れているが、太さは十分あり、病気による欠株も見られていない

化学農薬による防除と比べると、天敵を活用した防除は、高価で難しそうなイメージがありますが、大丈夫!買わなくていい、温存ハウスで増やさなくてもいい。手間をかけず、緑肥を播くだけです。勝手に集まる土着天敵たちが、定植後数カ月間の防除作業を不要にしてくれます。

取材対象者:塚越幸寿(埼玉県深谷市)

『現代農業』2026年6月号「ネギのウネ間緑肥が土着天敵を呼ぶ」より

暑くても太さは確保できた

 1月末、埼玉県深谷市。

 「L、LLサイズのネギがとれたのは、ちゃんと夏が越せた証拠ですね」

 そういうのは30年以上白ネギを栽培する塚越幸寿さん。ボケが短く葉鞘の緑と軟白の白のメリハリがある。軟白長が30cmあり、太さもLL、Lサイズ。そんなネギを見せてくれた。

 晩秋から翌年5月ごろに収穫するネギは、5~6月に植え、秋以降に土寄せして仕上げていく。ところが近年は暑さが尋常でなく、おまけに初夏や秋も高温で、ネギの生育が長期間停滞。思うように太らず収穫が大幅に遅れたり、軟腐病や萎凋病などに感染して欠株になったりと、夏越しするネギの栽培が難しくなっている。そんななか、塚越さんのネギは順調に夏を越え、太くきれいなものが収穫できていた。

塚越さんと5月下旬に植えた「冬扇シオン」。収穫間近(ことわりのあるもの以外、すべて1月末撮影)
塚越さんと5月下旬に植えた「冬扇シオン」。収穫間近(ことわりのあるもの以外、すべて1月末撮影)
緑肥土着天敵
調製後の「冬月の雫」。正品規格の軟白30cmあり、太さもLL、Lを満たしている

緑肥で地温上昇を抑える

 激夏時代でも夏越しできた理由の一つが、「ネギのウネ間緑肥」。5~6月にネギを定植したら、ウネ間に2~3カ月で枯れる大麦緑肥を播く。すると、8月くらいまで緑肥がウネ間を覆い、地温が高温になるのを防いでくれる。

 十数年前に広まったこの技術。塚越さんも地域の農家と一緒に始めたが、土寄せ時に緑肥が枯れておらず邪魔になる、抑草が不完全で中耕除草できず草むしりの手間がかかるといった理由でみんなやめてしまった。そんななか、何年も栽培試験をして、緑肥の品種選び、播き方、緑肥ごと中耕するタイミングを確立した(『現代農業』2025年10月号p209)。

 塚越さんがウネ間緑肥に希望を持ち、試行錯誤を続けたのは、ウネ間緑肥をやった畑に害虫がこなくなったことが大きい。

6月上旬に定植した「龍ひかり2号」とウネ間に生える「マルチムギワイド」。緑肥は草丈40cmほどある(25年7月下旬、赤松富仁撮影)
6月上旬に定植した「龍ひかり2号」とウネ間に生える「マルチムギワイド」。緑肥は草丈40cmほどある(25年7月下旬、赤松富仁撮影)
11月からほとんど雨が降らなかったので、水不足で外葉が枯れているが、太さは十分あり、病気による欠株も見られていない
11月からほとんど雨が降らなかったので、水不足で外葉が枯れているが、太さは十分あり、病気による欠株も見られていない

緑肥が天敵を呼び寄せる

 「マルチムギが枯れるまで、殺虫剤は一切散布しません」

 緑肥に土着天敵がたくさん集まるので、生育前半の殺虫剤散布を省略できるのだという。

 「ムギにクモの巣が張っているからクモはいますね。バッタもいるし、ほかに害虫以外の虫もいろいろいるんだけど、どれが何を食べているのかはわかんない。ちょっと不思議な世界ですよね」

 過去に埼玉県や千葉県などで行なわれたネギのウネ間緑肥の栽培試験では、ネギアザミウマやヨトウムシ類を捕食するコモリグモやヒメオオメカメムシ、ネギアザミウマをエサとするキイカブリダニなどの土着天敵が増え、害虫密度が下がることがわかっている。天敵の同定はできていないが、彼らが畑にもいると塚越さんは考えている。

緑肥が枯れるまで殺虫剤ゼロ

 たとえば、6月下旬にネギを定植・緑肥を播種する畑では、ウネ間緑肥は8月下旬に枯れる。この緑肥が枯れるまでは土着天敵が確実に畑にいる。

 「緑肥の葉が枯れてペタンと寝ても、根元の芯のほうは生きているので、そこに天敵がまだいるんですよ。だから、緑肥が枯れても、すぐ殺虫剤を打たなくていい場合が多いんです」

 害虫の発生状況は年によって異なるが、定植から2~3カ月の間は殺虫剤がいらない。緑肥が完全に枯れて天敵の数が減り、害虫が確認された時点で殺虫剤散布を開始。ただし、「緑肥が青いときも害虫の観察は欠かしません」。

暑い時期の防除が4回以上減る

 ふつうはネギを定植したら、1~2週間おきに定期防除する……

この続きは『現代農業』2026年6月号または「ルーラル電子図書館」でご覧ください。

『現代農業』2026年6月号「緑肥で勝手に集まる土着天敵」コーナーには、以下の記事も掲載されています。ぜひご覧ください。

・年内のアブラムシ防除ゼロ クロタラリア緑肥からナナホシテントウが大量移住(高知・川竹秀幸さん)

現代農業 2026年6月号

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