体にうれしい野草。畑でつくれば毎年確実に収穫できます。里山の自生地も草刈り次第で守っていけます。
執筆者:後藤直行(JAえちご上越)
『現代農業』2026年5月号「大人気のヨモギ 「切り下」で増やす」より
美容・健康分野で需要増
JAえちご上越管内では、以前からヨモギを採取して加工業者向けに出荷してきました。伝統的な利用法であるお灸用艾(もぐさ)の需要は底堅く、近年ではむしろ毎年のように増量の希望が来ています。ほかにも健康志向の高まりで、ヨモギ蒸しといった美容・健康分野での需要が飛躍的に伸びています。
ヨモギを使った食文化も再評価されており、製菓業界から問い合わせをいただいています。ヨモギはまさに「ハーブの女王」。抹茶の次に来るフレーバーだと思います。
この多くの需要に対して、自生のヨモギをとるだけでは追いつけないとJAでは感じていました。県の普及員から、ヨモギ栽培は「比較的簡単」と聞いたので、生産を呼びかけたところ、答えてくれたのが柄山(からやま)そば生産組合(笠鳥健一組合長)でした。水田転作の受け皿としてソバ栽培に取り組んできた生産組合ですが、2021年に地権者に了解を得てヨモギ栽培を2aから開始しました。
切り下を畑に投入する
ヨモギの植え付けには「切り下」を利用します。切り下とは、ヨモギの葉を収穫した後に残る、茎の部分です。これを大量に畑へ投入し、管理機で土と一緒に耕耘することで、土中の茎から一斉に根を発生させる増殖法です。
1年目の6月初旬、このときは最初なので切り下のかわりに自生のヨモギをとってきて畑に入れました。すると1カ月もしないうちにヨモギが芽吹いてきました。ものすごい生命力です。
初年度は雑草対策を徹底
ところが、そこから他の雑草との壮絶な闘いが始まりました。ヨモギは定着すれば強健ですが、1年目の幼い時期は、もとからその土地に根を張る旺盛な雑草に負けそうになりました。
そこで7月に一度、ヨモギも他の草もすべてモアで除草しました。そのあとはヨモギが旺盛となりましたが、油断するとまた雑草が地表を覆い尽くしてしまうため、根気強く手で草取りを続け、その年を終えました。
2年目の4月、前年のヨモギが再生して芽吹き始めると、一面がヨモギ畑となり安堵しました。1年目の徹底した管理が、2年目以降の安定した収穫を支える土台となりました。
この経験から、新たな圃場に栽培するときは、植え付け前の雑草対策を徹底したうえで切り下を投入しています。ヨモギ畑は現在4a、管内全体では約70aに広がりました。
年に2回収穫できる
収穫は植え付け2年目から。草刈り鎌を用い、地際から刈り取ります。6月に1回目の収穫をして、再生してきた8月頃に2回目の収穫をします。10aあたり乾燥ヨモギで100~150kgが見込めます。
鳥獣害がなく、無肥料でよく育ち、防除も必要ないので、中山間地の遊休地や条件不利地での栽培にも向いています。
数年間は植えっぱなし
ヨモギは一度活着すれば、数年間は連続して収穫が可能です。ただし年数が経ち地下茎が込み合ってくると、茎が細長く伸びて徒長し、収量や品質が低下する、と普及員から指導がありました。
そこで柄山そば生産組合では、7年目の27年度は春先に畑を耕耘して地下茎を分断(間引き)し……
この続きは『現代農業』2026年5月号または「ルーラル電子図書館」でご覧ください。
2026年5月号「野草を増やす、育てる」コーナーには、以下の記事も掲載されています。ぜひ本誌またはルーラル電子図書館でご覧ください。
・まるで巨大ホウレンソウ!? 耕作放棄地でオオバコ栽培 畑美貴
・5月以降の高刈りで薬草を増やそう 松原徹郎
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