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あああ

ハーベリーポットでイチゴの立体栽培

ハーベリーポット

取材対象者:橋渡賢図さん(栃木県足利市)

『現代農業』2026年4月号「ハーベリーポットでイチゴの立体栽培」より

無類のDIY好き

 イチゴハウスに入ると、中央はふつうの高設ベンチだが、サイド部分はまるで壁面緑化のようにイチゴが植わっている。近づくと、5段重ねになったプランターの各段に1~2株ずつイチゴが植わっていて、見たこともない光景だ。

 栃木県足利市にある約0.8aのハウスで「とちあいか」などをつくる橋渡賢図さんは、なんとガーデニング用プランターでイチゴを立体栽培している。橋渡さんが新規就農したのは5年前。植物工場などバイオ関係の研究者だったが、早期退職してイチゴづくりを始めた。

「じつは昔からDIYがすごく好きなんですよ。ハウスも高設ベンチも自分で組み立てました」

 ハウスを業者に発注すると高額になるので、中古オークションなどでパイプや部材を安く入手し、間口5.5m×奥行き50mの単棟ハウス3棟を自分で建てることにした。

ハーベリーポットが使える

 次に考えたのがハウス内の高設ベンチのレイアウト。ベンチを最大5列入れると2列はサイド際に置かないといけない。そこは1条植えになるので栽培本数が減ってしまう。これではベンチがもったいない。

ハーベリーポット

「定植本数を増やすには立体栽培がいいと思いました。ネット検索したときにたまたま見つかったのが、ハーベリーポットなんです」

 ハーベリーポット(Richell)は、三つ葉のような形のガーデニング用プランターで、互い違いに積み重ねると立体栽培ができる。これなら面積当たりの栽培本数を増やせるんじゃないか。さっそく就農前に自宅のベランダで5段積み重ねてイチゴを試作。手ごたえを感じたので、ハウスの両サイドの列をハーベリーポットにした(上図)。ハウス1棟当たりで栽培できる本数は、高設ベンチだけだと1320本、対してハウスサイド2列をハーベリーポットにすれば1950本植えられる。

資材代よりも定植本数

 気になるのはコストだ。ハウス3棟分の高設ベンチ(9列分)代は45万~50万円ほどかかった。対してハーベリーポットはハウス3棟、合計6列分と予備(合わせて約2500個)で約80万円。決して高設ベンチより安いわけではないが、「栽培本数を増やせるのは大きいです」と橋渡さん。

 ハウス1棟当たりの定植本数の差が630本なので、3棟分だと1890本。ハウスをもう1棟建てる本数に匹敵し、売り上げが100万円ほど変わってくる。同じ面積で売り上げを増やすにはたくさん植えるのが手っ取り早い。だから面積当たりの定植本数にこだわっているのだ。

下段に勢いのある苗を定植

 イチゴの植え方にも工夫がある。ハーベリーポットを5段重ねにしているのだが、最上段には苗を植えず、上段の株が下段の光を遮らないようにしている。また、橋渡さんは上段と日照条件がやや悪い下段で生育差が生じないように、生育のいい苗は下段に優先して植えている。

 不思議なのは、光がよく当たるハウス中央の高設ベンチと、やや日陰ができるハーベリーポットでイチゴの生育に差がほとんどないことだ。

「ハーベリーポットには園芸用の土を使っています。高設ベンチで使っているヤシ殻ベースの軽い培土より土のほうがイチゴの根にとっていいのかもしれないですね」

ハーベリーポット

少し屈むだけで作業できる

 作業面ではどうだろう。高設ベンチの最大の利点は収穫や葉かきなどの作業をしゃがまずにできること。ところが、立体栽培は最上段でも股下くらいの高さにしかならない。

「下段の作業もそんなに苦じゃないですよ。収穫は腰を曲げて屈めばイチゴに手が届きます。葉かきとかの手入れは、疲れたらポットの正面にイスを置いて座ってやっています」

 ハーベリーポットは15cmほどかさ上げした台の上にあるので、しゃがんでやるほど大変ではないそうだ。

かん水システムと防除ノズルも自作

 もう一つ気になっていたのがかん水方法だが、なんと橋渡さんは塩ビ管でかん水と追肥(液肥)ができるシステムを自分で作ってしまった。

 ハーベリーポット5段分の中央を貫くように塩ビ管を立て、下から先端に向かって水が出るように塩ビ管をつないだ(下の図)。先端から漏れ出た水や液肥が上段から下段に移動することで、自動で肥培管理ができる。

定植した面とは反対側から見たところ。ハーベリーポットの中央と下の皿を貫通するように塩ビ管を立て、先端から水が漏れ出て下に伝うことでかん水・追肥ができる(青矢印)。次作は▼の部分に定植する

 さらに橋渡さんは防除ノズルも自作……

この続きは『現代農業』2026年4月号または「ルーラル電子図書館」でご覧ください。

2026年4月号「塩ビ管、コンテナ、土のう袋でも大丈夫」コーナーには、以下記事もあります。

・省スペースで日当たりバツグン、猛暑に負けない 小さな庭の塩ビ管栽培 下村京子

・不耕起の原野から苗を守る 塩ビ管でゴーヤーのつつっぽ栽培 河野充憲

・腰がラク、草取りいらず 絶景! 倉庫の屋上でコンテナ栽培 木原英雄

・ミニトマト、茎ブロッコリー、ルッコラ 安上りで土壌病害が出ない土のう袋栽培 佐藤郁哉

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現代農業 2026年4月号

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