雑草抑制やバンカープランツになるウネ間緑肥。白ネギでも十数年前に広まったが、作業性が悪いといって断念する人が続出。この技術が近年の高温対策に再注目を浴びている。土寄せを邪魔しないような上手いやり方を紹介。
取材対象者:塚越幸寿(埼玉県深谷市)
写真・文:赤松富仁
『現代農業』2025年10月号 「ウネ間緑肥は1条播きで根が枯れるまで土寄せを待つべし」より
ウネ間緑肥の畑はひんやり涼しい
もう10年以上ネギのウネ間で緑肥栽培を続けている、埼玉県深谷市の塚越幸寿さんの畑にお邪魔しました。7月下旬、折しも、隣の熊谷市の正午の気温が35.8°Cという猛暑のなかです。2日前に雨が降ったといいますが、ネギ畑を見渡すと砂漠状態。畑からの照り返しで、汗がにじみ出てきます。
ところが、リビングマルチ(生き草マルチ)をしている10aほどのネギ畑の前にくると、照り返しが少なく、気持ちひんやりと感じられるのです。塚越さん曰く、「90cmほどのウネ間の中心に、クリーンシーダ(播種機)で10aあたり1kgほどのムギを1列薄播きするだけでこの効果です」。
葉先に枯れがほとんど入っていないのを見ても、ネギにとってとてもいい生育環境だとわかります。比較に見せてくれたリビングマルチをやっていない畑では、葉先枯れが多発していました。
バンカープランツ効果も魅力
リビングマルチ栽培には、さらに目を見張ることがあります。塚越さんが緑肥栽培を始めたきっかけは、12年ほど前にネギ部会でリビングマルチが奨励されたこと。でも当初はムギの播種量や緑肥を播いた場合の土寄せのタイミングなど誰もわからず、手探り状態でした。土寄せのときに管理機の爪に緑肥の生きている根が絡みついて往生するやら、土寄せしたいのに緑肥が枯れず刈り払い機や除草剤を使うやら、てんやわんやだったのだそうです。
そんなことに懲り、みんなリビングマルチをすぐやめてしまった。ただ塚越さんは、アザミウマやヨトウ、ハモグリバエといった害虫の天敵のクモに注目。緑肥をすみかにクモが集まってきて、緑肥が枯れるまで殺虫剤なし、無農薬栽培できることに大変関心を持ちました。みんながやめても一人リビングマルチを続け、5年ほどかけて栽培マニュアルを完成させたのです。
播種機で株間20cm1条播き
マニュアルの一端を紹介します。ネギを定植する日、先にウネ間になる予定の部分の真ん中にクリーンシーダ(播種機)で「マルチムギワイド」のタネを株間20cmで3~4粒ずつ1列だけ播いていきます。その後、ひっぱりくんでチェーンポット苗を定植します。このときひっぱりくんではね上げた土が、ムギのタネに被さり覆土となるのです。
あとはムギが枯れてから最初の土寄せをして、さらに1カ月ほど先まで、無農薬でいけるのです。ネギの緑肥栽培はやるべきでしょう。
ウネ間緑肥のポイント
品種選び
「マルチムギワイド」は草丈30~50cmで生育が止まり、出穂前に枯れる(播種後約2.5~3カ月)。葉幅が広いので被覆力が高く、「てまいらず」より早く枯死するので土寄せの邪魔になりにくい。
播き方
株間約20cm3~4粒ずつの1条薄播きなのでネギの生育を邪魔しない。緑肥同士も競合せず草丈を30cmほどに抑えられる。
土寄せのタイミング
緑肥の葉が完全に枯れ……
この続きは『現代農業』2025年10月号または「ルーラル電子図書館」でご覧ください。
2025年10月号「ネギのウネ間緑肥に本気で挑戦」特集には、この記事の他に以下の記事も掲載されています。
- 緑肥を薄播きしていい冬ネギがとれた 石橋大司
- ウネ間緑肥は裸地より10°C以上地温を下げる 編集部
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