野菜・草花 病害虫 菜園 2025年 9月号 栽培のコツ 試し読み 【江戸農書の栽培技術6】カブをおとりにダイコンを守る!? 『軽邑耕作鈔』より 2025-08-27 江戸時代の農業技術書『軽邑耕作鈔』(けいゆうこうさくしょう)に記された、「カブを植えてダイコンを守る」というユニークな栽培方法。農薬を使わない自然農法を実践する著者が、先人の知恵を活かした害虫対策を紹介します。 執筆者:高内 実(広島県東広島市) 『現代農業』2025年9月号 「今に活かせる、江戸農書の栽培技術6 カブをおとりにダイコンを守る!?」より 私は自然農法で作物を育てるため、農薬を使いません。よって天敵温存法を多用し、さまざまな作物や緑肥をバランスよく配置しながら、特定の昆虫だけが増えて繁殖するといったことがないよう心掛けています。 今回は江戸のお百姓さんも使っていた「おとり栽培」について解説いたします。 カブラハバチをカブのやわらかい葉に誘う 江戸時代も後半にさしかかる弘化4(1847)年、岩手県で酒造・質屋を営んだ淵沢圓右衛門が著した農書『軽邑耕作鈔』に、カブによるおとり栽培というものが紹介されています。 『軽邑耕作鈔』より 大根〈ねりま也〉土用中頃迄に蒔べし〈但し苧坪也〉。五六日めに生る也。其より百十日余にして抜べし。〈蕪種をうね間へ蒔きて置バ葉へ付く黒き羽虫是へばかり付もの也〉 〈意味〉 練馬大根は夏土用の半ばごろまでに播くようにする。このダイコンは麻を中心とした畑での輪作でつくるものであり、5、6日目に出芽し、さらに110日あまりで収穫できるのである。カブの種子をウネ間へ播いておくと、ダイコンの葉を食い荒らすカブラハバチがそちらへばかりつくので被害が回避できる。 つまり、ダイコンの葉っぱにつくカブラハバチの幼虫を、少しの時間差で播種したカブのやわらかな葉っぱに誘うことで、ダイコンへの食害を減らすというものです。 ダイコンと同じウネの端にコカブなどを播く。こちらのほうが葉がやわらかくおいしいので、カブラハバチの幼虫が集中する ウネ端にラディッシュやコカブ 私の場合、もともと一つのウネに多くの野菜を混植していますが、カブラハバチの幼虫が目立ってきたら、ウネの一番外側に生育の早いラディッシュやコカブを播いて、それらに幼虫を誘導しています。 カブラハバチの食害を回避し、立派なダイコンが収穫できる。ダイコンは江戸時代、救荒作物として重宝された カブは食べられてあまり生長できませんが、その間にダイコンが大きくなります。ある程度生長すれば、カブラハバチは寄生しなくなるため、この方法は今でも重宝しています。 『軽邑耕作鈔』1847年、淵沢圓右衛門著。陸中の地頭・淵沢による畑作農書。繰り返された大凶冷や飢饉を背景に、救荒作物のヒエやダイコンに力点を置きつつ、畑作物14、野菜40、イネについて93の栽培を解説。*筆者・高内は「江戸農書を読む会」を主宰しています。また、農文協「ルーラル電子図書館」では、250以上に及ぶ農書を閲覧できます 連載「今に活かせる、江戸農書の栽培技術」第1回:『農業全書』より 大蘿蔔(だいこん)を作る法&耔(くさおおう)第2回:『農業蒙訓』より 収量倍増 サトイモの尻落とし植え第3回:『農業全書』より 活着・生育抜群! 断根定植法第4回:『除蝗録』より 田んぼのウンカのベタベタ防除第5回:『農業全書』より 食料安保にカブ栽培のすすめこれらは全て「ルーラル電子図書館」でご覧いただけます。 ルーラル電子図書館は、年額制の有料会員向けサービスです。 ルーラル電子図書館の会員になると… 『現代農業』の最新号が電子書籍ですぐ読める 便利な検索機能で、『現代農業』の過去の記事が読み放題 動画で農機具のメンテや栽培のコツを分かりやすく解説 豊富な写真から、園地で病害虫をサッと特定、 登録農薬もすぐわかる ルーラル電子図書館についてもっと詳しく見る 現代農業 2025年9月号特集:カメラは見た! 鳥獣の正体、負けないヒント定価1,100円 (税込) 9月号を注文する 定期購読する Tags: ダイコン, カブ, 農書