ハクビシンやアライグマなど、果樹の獣害対策はなかなか悩ましいものです。今回は、袋掛け時にできる対策をご紹介します。
執筆者:飯村省一(茨城県下妻市)
『現代農業』2025年7月号
カプサイシンの匂いが嫌い!?
喜寿を迎えた現在、三十年来の趣味の果樹栽培を楽しんでいます。
10年ほど前からハクビシンによるブドウの食害が目立ち始めました。毎年、熟したブドウの芳香が漂う頃になると、ハクビシンに果実袋を破られ、中身を食べられた後の果皮が棚の下に散らかるようになりました。夕暮れ時に暗くなった畑に行ってみると、懐中電灯の光の中にキョロッとした目と特徴的な眉間の白い線。直に出くわすこともありました。
猫にも似た憎めない印象はさておき、食害を何とかせねばとナシ農家が使う防鳥ネットを幹や棚の支柱に巻いてみたものの、期待したほどの効果はありませんでした。あるときインターネット上で「嗅覚が敏感なハクビシンは、トウガラシなどに含まれるカプサイシンを嫌う」との情報を見つけ、トウガラシを棚に吊るすことや粉砕して土にまくことも考えたのですが、いずれも実行するまでには至りませんでした。
始めた本人も驚きの効果
4年前のことです。たまたま夕食で餃子を食べたとき、ラー油の匂いや辛さがトウガラシのカプサイシン由来であることに気づき、「袋にラー油を塗ればハクビシンによる食害に対応できるのでは?」とひらめきました。
さっそく、熟期に入った「ナイアガラ」の袋に絵筆でラー油の線を引いて、様子をうかがいました。効果はてきめんで、その後の被害はゼロ。以来、去年までの3年間も被害は劇的に改善し、その効果には始めた本人も驚いています。
観察の結果、ラー油を袋に塗るタイミングは最初の被害が出た直後としました。また、あくまで経験的な話ですが、一度塗れば効果は3週間程度続くのと、最近増えているアライグマにも効果があるようです。なお、現在は食卓用の小瓶のものではなく、業務用スーパーで購入した割安な大型瓶のものを使っています。
『現代農業』2025年7月号の果樹コーナーには、以下の記事も掲載されています。
袋掛けにひと工夫
- マンゴー 小型ブロワーでラクラク袋パンパン術 高橋健
- ナシ クッションテープで果実の傷つき防止 大山真史
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