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【作るの簡単、体にいい】クズ 肝臓にいい鮮やかエキス

岡山・戸田温子

野菜やくだもの、野草を砂糖漬けして作る植物の力がギュッと詰まった手作りエキス。簡単にできて、料理に健康づくりに大活躍――。

現代農業2022年7月号の「作るの簡単、体にいい 夏の植物エキス」コーナーの記事なかから、クズの花の植物エキス作りをご紹介します。

クズは二日酔いにいい薬草

発酵液から作ったクズの花ゼリー
発酵液から作ったクズの花ゼリー

 岡山県真庭市の北部の里山で、ヒノキとスギに囲まれて生活しています。薬学博士の故・村上光太郎先生との出会いがきっかけで、さまざまな薬草が身近にあることを知りました。「真庭・食べる薬草協議会」に加わり、11種類の薬草が入ったレトルトカレーの商品化と販売、月1回の野草ランチ会のお手伝いをしています。

 クズは駆除が厄介な草とされることが多いですが、その花は肝機能の改善、二日酔いによいとされる薬草です。花の乾燥粉末をハチミツで練った丸薬は漢方薬にもなっています。枯れた花では効果がないとされ、毎年8月中旬から9月中旬だけしか採取できない貴重な薬草です。

 私は採種したクズの花から色の濃いものだけを選別してエキスを作っています。色がきれいで、香りも味もいいエキスができます。

水と砂糖で7~10日間漬けるだけ

クズの花のエキスが作れるのは開花期の1カ月間だけ
クズの花のエキスが作れるのは開花期の1カ月間だけ

 エキスを作るには、まず選別した花をふるいにかけて、虫などを取り除きます。

 次に、広口のビンに3分の2程度の高さまで花を入れ、軽く上から手で押さえてから、どの高さまで入れたかわかるように輪ゴムで目印を付けておきます。空のビンの重さと比べるなどして、花の重さも量っておきます。

 ビンに書いた目印から約1cm上まで水を入れ、花の2倍の重さの砂糖を加えます。あとは空気が多少入るようにキッチンペーパーでフタをして、室内の日陰に7~10日ほど静置。布で濾してピンクに染まった液だけをチャック付きの袋やペットボトルに移します。

常温保存で酢、冷凍で長期保存

クズの花だけを摘み、ふるいにかけてゴミや虫を取り除いてから砂糖で漬け込む
クズの花だけを摘み、ふるいにかけてゴミや虫を取り除いてから砂糖で漬け込む

 エキスを常温で保存すると、さらに発酵が進んでおいしい酢になります。寿司酢やドレッシングに使います。おもしろいことに、花を採取する地域によってはワインのような味わいになることもあります。

密閉袋に入れて冷蔵・冷凍すれば長期保存できる
密閉袋に入れて冷蔵・冷凍すれば長期保存できる

 甘いエキスのまま保存したい場合は冷蔵します。すぐに使わないようなら、多少風味は落ちますが、冷凍で1年以上長期保存もできます。自然解凍して使います。甘いエキスは炭酸水で割ったジュースやクズの花ゼリーなどで楽しめます。ピンクが映えて、色と香りで食卓が華やかになります。

*月刊『現代農業』2022年7月号(原題:クズ 肝臓にいい鮮やかエキス)より。情報は掲載時のものです。

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薬草の恵みをもっとも効率よく取り入れる方法は「食べる」こと。そして薬草になる植物は春夏秋冬いつでも身近にある。75種の草木をおいしく食べる料理法を重視し、薬酒や薬草酵母、薬草茶の作り方まで紹介。