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【これならできる鳥獣害対策1】大好物のラッカセイでもバッチリ効いた 極細黒テグスのカラス除け

千葉・島田忠さん

野菜や果樹にダメージを与えたり、貯蔵中のエサや穀物を盗み食い。イノシシ、シカ、サル、カラス、ネズミ、モグラ、ハクビシン、アライグマ、ヌートリア……
月刊『現代農業』の過去の記事のなかから、身近な材料をつかった鳥獣害対策の一部を公開します。

カラス
3ウネに1本、高さを50cm・1mと交互に変えて張るだけ。島田さんの畑はウネが90mと長いので、テグスがたるまないよう途中にも支柱を立てる。設置は播種後すぐ
著者

――現代農業2011年4月号で福岡のアイガモ水稲農家・古野隆雄さんが紹介してくれた極細黒テグスでカラス除け。試した農家から「効果があった!」という反響が続々と寄せられている。

50年の戦いに終止符!?

 千葉市のラッカセイ農家・島田忠さん(84歳)は、就農以来もう50年近くカラスと戦い続けてきた。

 「あいつらはラッカセイが大好物。何にも対策しなきゃ全滅だ」

 播種したそばからタネは食べられ、収穫後も株を畑に積んで乾燥させる「ボッチ」が集団に襲われる……。さんざんな目に何度もあってきた。

 「ひどいときは3分の1くらいやられた。台風とか大雨じゃないから保険も補償もない。収入もそのまんま3分の1。ほんとに腹立たしい」

 もちろん島田さんも黙ってカラスにやられていたわけではない。80aと圃場が広いので、手間や経費がかかる対策はできないが、いろんな糸での対策はとことんやってきた。木綿糸に始まり、防鳥テープや白や透明の釣り糸……、最近はカラスが黄色を嫌うと聞いて黄色の釣り糸も使ってみた。だが、どれも効果は一時的。カラスは最初は警戒するものの、すぐに慣れて、畑への侵入を完全に防ぐことはできなかった。

 そんなカラスとの「化かし合い」を長年続けてきたが、3年前ほどからは連勝中だ。使うようになったのは、0.3mmの極細黒テグス。釣具屋で1000mが1000円もしないこの「黒糸」の効果はバツグンだという。

 「カラスは畑のまわりにいるけど、何日たっても畑には近づかん。今までこんなことはなかった」

見えたり見えなかったりが効く

 極細黒テグスのカラス除け効果については、本誌でも何度か紹介してきた。目のいいカラスは、目に見える糸は簡単に避けることができるが、極細黒テグスは見えづらいので避けにくい。

 また、島田さんは「見えたり見えなかったりするのが、カラスの警戒心を解かせないのでは」と推察する。光の具合によって時々キラッと光って見える極細黒テグスは、カラスにとって、「存在は確かなのによく見えない」。他の糸と違って効果が長続きするヒミツはそこにありそうだ。

カラス 空飛ぶ頭脳犯と対決
カラス 空飛ぶ頭脳犯と対決

3ウネに1本でいい

 極細黒テグスが効果を発揮するには張り方も重要だ。島田さんもいろいろなパターンを試したが、現在は図1のようなやり方で落ち着いた。

 ポイントは、張る間隔と高さ。3ウネに1本を、1m・50cmと交互に高さを変えて張る。これが一番手間もかからず効果があって、もちろん農作業の邪魔にもなりにくいという。播種後すぐに張っておけば、一切カラスは入ってこない。

 カラスからよく見える糸の場合は、羽が傷つくのを嫌がるカラスの習性を利用して、なるべく狭い間隔で張らなければ効果が出にくい。いっぽう見えない極細黒テグスなら、頭のいいカラスが勝手に「あそこにも張ってあるかも」と想像を巡らせるのか、粗めに張るだけでも十分効果があるのだ。

 島田さんは、以前4ウネに1本にしてみたり、全部1mの高さで張ってみたこともあるが、いずれも侵入を許してしまったという。

 収穫後のボッチの場合も、図2のようにたった3本張るだけでまったく悪さをされなくなった。これで半世紀にもわたるカラスとの戦いもついに終わり……、かと思いきや「まだ気は抜けん」と島田さんはせっせと畑に通う。これぞ「勝って兜の緒を締めよ」ということか。

ボッチの頭上に1本と列の両側に1本ずつ、計3本張る。両側のテグスは高さ50~60cmほど
ボッチの頭上に1本と列の両側に1本ずつ、計3本張る。両側のテグスは高さ50~60cmほど

*月刊『現代農業』2018年5月号(原題:大好物のラッカセイでもバッチリ効いた 極細黒テグスのカラス除け)より。情報は掲載時のものです。

トウモロコシのウネ6本に1本張るだけ

宮城・千石美和

 トウモロコシの栽培と出荷を始めて約15年になりました。カラスには直播きのタネを食べられたり、収穫期にトウモロコシの上の部分だけをちょっとずつ、たくさんの実をつつかれたりして困っていました。以前、防鳥糸や白テグス、キラキラテープも試みましたが、うまくいきませんでした。

 そんなとき『現代農業』で……

続きは2018年5月号「モグラ&ネズミ&カラスと対決」をご覧ください

農家が教える 鳥獣害対策あの手この手

農文協 編

農家の実践を一挙公開!トタンや不織布、ネットなどで田畑を囲うポイントから、ワナ設置の勘どころ、皮・角の利用まで。イノシシ、シカ、サル、カラス、ネズミ、モグラ、ハクビシン、アライグマ、ヌートリア。