執筆者:西田敏明(石川県金沢市)
『現代農業』2026年11月号「自然災害にめっぽう強い竹ハウス」より
放置竹林の孟宗竹を活用
竹林の荒廃は、全国的な環境問題となっています。原因の一つは、所有者の高齢化や後継者不足です。竹林の整備には多くの時間と労力がかかるので、地権者と行政だけでは解決が難しい社会問題と考えています。
私たち「NPO法人みんなの畑の会」では、十数年前から産官学に働きかけ、放置竹林の整備を協働のボランティア活動として進めてきました。その活動を獣害対策にもつなげ、イノシシやクマなどによる人身事故を防ぐための緩衝帯づくりにも取り組んできました。
会で運営する市民農園では、竹林から伐採した孟宗竹を使い、敷地内に農機具の倉庫などを建ててきました。こうした実践をもとに、「竹ドーム」や「竹ハウス」を開発し、普及へと取り組みを広げています。
4~5人でやれば2週間で完成
竹ハウスの骨組みは孟宗竹で組み立てるので、パイプハウスなどに比べて安価に建てられます。専門的な技術がなくても、間口4・8m、奥行き6m、高さ3mのものであれば、4~5人で2週間程度で完成するよう設計しています。
孟宗竹は主に3~4年生のもので、防腐・害虫対策のために火であぶり、油抜きしてから使います。
市民農園の利用者のみなさんの意見も踏まえつつ、基礎となる塩ビパイプとの接合方法や竹の組み方などを創案。孟宗竹のしなりと強度を生かし、豪雪、台風、地震にも耐えられる構造を目指して改良を重ねてきました。その結果、この間に能登で発生した自然災害でも壊れない、強度の高い竹ハウスができました。十数年前に建てた農機具の倉庫が現役なことから、耐用年数も長いと考えます。
▼基礎は塩ビパイプと割った孟宗竹
防草シートに等間隔であけた穴へ、長さ60cm(外径60mm)の塩ビパイプを地下30cmまで打ち込む。
塩ビパイプに「横竹」をボルト留めして、基礎を強化。横竹は竹割器で6等分にしたもので、アーチや筋交いにも使う。
▼竹はボルトで連結
天井部分。クランプは使わず、ボルトで留める。
直交する箇所(A)などはもとの状態のまま留められるが、そうでない部分(B)は片方の竹の先端を加工する。
先端を加工した竹。切り口が上向きになる竹(とくに天井付近)は、節のすぐ上を加工する。切り口から水が入って腐るリスクが減る
油抜きする。
専用の道具で竹を割る。
割った後は節を削る。
能登復興の一助になりたい
能登半島地震の復興支援を通じて、地域の資材を使い、地域住民が協働して自力再建することの大切さを感じました。資材の高騰や人手不足などから家を建てられず、生活再建が難しい方も多くいます。まずは倉庫や作業小屋、農業用ハウスは地域住民が協働して作る。そうした取り組みを、能登の基幹産業である一次産業の新たな創出や、人口が大幅に減少した能登の未来を次世代に託す一環として進めています。
5年ほど前に竹ドームの作り方マニュアルを発行し、ワークショップなどを通じて全国約750人のみなさんに頒布してきました。このたび、竹ハウスの取り組みが県の「いしかわ里山振興ファンド事業」に採択され、現在、作り方マニュアルを作成中。今秋の発行を予定しています。今後はワークショップを通じた指導者育成に取り組み、この活動を全国に広げていきたいと考えています。
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